それは衝撃的な出会いだったんだな。
一度本屋へ足を運ぶとたいてい2時間は居座る僕は
その日、とにかく新品の洋書が読みたくなって
とある書店へタンブリングな自転車を真夏の日差しの中
一目散に転がしたんだな。
去年の夏はとても暑かったのをよく覚えている。
何しろ自分からその暑さの中に飛び込んでったから。
突然、淫靡な女の人に誘惑された昼休み
突然、怪しげな中年男にまとわりつかれた午後
とにかくいろいろなことがおこる最中、何かに取り憑かれたように
ずっと読んでいたんだな。
そしていろんなことが解決した。それで誰とも会いたくなかった。
※著作権の関係上ぼかしてあります
もうとっくのとうに星屑になっちまったヘルマン、
あの雨さえ降らなければ君の家までたどり着いたのに、去年の夏…。
ヘルマンを読みながら、いつも聞いていたアルバム、
それはアルクーパーの「孤独な世界」。アルクーパーがどんな人か
なんていう音楽評論じみた話などさらさらするつもりはない。
きっと今も夜ふけた街上のどこかで、開いた窓から流れ込んできた
夜を兄弟にして、小卓の上のランプに言葉を読んで聞かせている
ことだろう。たとえそれがついぞ届かぬ唄だとしても…。
※著作権の関係上ぼかしてあります
彼に、そんな夜の兄弟として今夜、鎮魂歌を送ろう…。