パソコンのファイルを掃除していたら変なものが出てきた。
どうやら雨の日に保育園に娘を迎えに行ったときのことらしい。

雨の庭
雨の日の保育園
お外で遊べないのは面白くない
プールに雨がダイビング
滑り台を雨が滑ってる
ジャングルジムを雨がおりてくる
いつのまにか保育園の庭は雨でいっぱい
みんな集まってにぎやか
こっちでは大きなくじらの形
あっちには小さなアイスクリーム
ここにもチューリップがある
あっ、長靴の足跡にも集まって遊んでいる
そこへ大きな蛇があらわれて
ここにももっと大きな蛇があらわれて
みんなをつぎつぎとのみこんで
一つになって大きな龍になっちゃった
にょろりにょろりとお庭を走って
砂粒や葉っぱやビビー弾を流していく
あれあれ、雨の中をお散歩していたダンゴムシも流れていく
どこへいくの
もう帰っちゃうの
もっと遊んでいってよ
きょうはお庭で遊べないんだから
遊んでみせて
大きな蛇は誰かがお庭に傘の先っぽで開けた穴に吸い込まれていく
小さな穴なのに側にいったらきっとゴォーゴォーと音が聞こえそう
たまらず穴に駆け寄った
はだしでびちゃびちゃ歩くのは
砂浜を歩くみたいで気持ちいい
穴はわたしの小指よりも小さいのに
大きな蛇を飲み込んでいく
じーっとみる
わたしもいっしょにつれていって
なにして遊ぶのなにがあるの
つばをペッとはいてみる
雨といっしょに小さな穴に吸い込まれちゃった
鼻くそをを落としてみた
これまた穴に吸い込まれちゃった
そっと人差し指をいれてみる
ほらみろ吸い込めないだろう
ところが指の周りがどんどん吸い込まれて大きな穴になって
わたしも吸い込まれちゃった
ちょっと水を飲んだけど
泥の味がする水だけど
苦しくなかった
どこにいくのかな
上を見ると心配そうに覗き込む先生の顔が見えた
先生もおいで楽しいよ
途中でミミズに顔を舐められて
次にもぐらに舐められた
どこまでも流れて流れて
だんだん恐くなってきた
おうち帰りたいよ
目から流れた涙もいっしょに流れていく
いつのまにか大きな川に浮かんでた
プカリプカリと浮かんでた
周りには保育園の庭にいた雨がいる
恐くないよといってくれる
もうすぐだよ
もうすぐってなに
もうすぐさ
気がついたら大きな海に浮かんでた
プクリプクリと浮かんでた
ほらいまだよ
声を上げて雨粒たちが空に上がっていく
ほらおいで
えいっ
いつのまにかお空に浮かんでた
ホワンホワンと浮かんでた
白い雲になって浮かんでた
下には小さい小さい家がみえる
小さい小さい車も見える
ありんこみたいな人も見える
蚊みたいな飛行機も見える
あっ 保育園だ
そらいくよ
雨粒たちが声をかける
つぎつぎと保育園めがけて降りていく
いっしょにえいっと飛び降りる
ジャングルジムにおりたかったけど
ちょっとずれて滑り台に降りちゃった
つるつるすてんと降りちゃった
見上げると傘をさした先生がいた
先生はお花畑に立っていた
あれ、雨止んだのかな
ちがうちがう
先生は花柄の傘をさしていたんだ
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