植物はどうやって栄養をとっているのでしょうか?
どんな栄養が必要なのでしょうか?

■植物の栄養分
有機化学者リービッヒによって植物が吸収するのは有機物が微生物に分解されて生じた無機物であることを明らかにしました。(この理論で化学肥料の発達に大きな影響を及ぼしました)
最近では、無機物だけではなく有機物の分解過程に発生するアミノ酸なども植物が直接摂取できることが分かりました。
植物の必須元素は16です。そのうち、酸素、炭素、水素を除く13の元素は植物の根から吸収されます。これらの元素は植物が吸収する量の大小によって3つに分けられます。(肥料の三要素)
植物の体は大部分は水分です。水分を除くと約92%が酸素、炭素、水素で残りの約8%が13の元素から成っているわけです。
■肥料の三要素
植物にとって必要な栄養分はよく「チッ素・リン酸・カリ」と聞くでしょう。
この三大要素は植物にとって不可欠な重要な栄養分です。植物の主食です!
チッ素は植物にとってもっとも大事な養分で茎葉や根などを生育させる、養分の吸収を促進させるなどの働きがあります。
リン酸は葉茎や根の伸長を助け開花や結実を促進します。
カリは暑さ、寒さなどの環境の抵抗性や病害虫などに対する抵抗性を強めます。
■他には何が必要?
三要素の他に中量要素と呼ばれるカルシウム、マグネシウム、イオウが必要です。植物の副食です!
カルシウムは植物体を丈夫にし、根の生育を促進します。
マグネシウムはリン酸の吸収や植物体内の移動を助けます。
イオウは根の発達や植物体内のいろんな作用を助けます。
さらに鉄、銅、亜鉛など微量栄養素という、人間にとってはビタミンのような栄養素も不可欠です。
微量栄養素は主に「活力剤(アンプル剤)」として市販されていますね・・・
これは土壌に施す有機物や有機質肥料には含まれているので土壌では欠乏しません。
しかし、鉢栽培では水やりで流失するので欠乏することがあるためです。ですから活力剤だけでは肥料不足になってしまいます。
植物が必要とする栄養素は16元素50種以上にも及ぶと言われています。
■肥料の種類
肥料には有機質肥料と無機質肥料に分けられます。
一般的に原料が動植物由来であるものを有機質肥料と呼び、化学合成で作られたものを無機質肥料(化学肥料)と呼びます。
※有機質肥料・・・油かす、魚粉、骨粉、家畜糞など
■有機質肥料
微生物によって分解されてはじめて植物の栄養素となります。分解されないと植物に吸収されないため、効果が遅くなります。(ゆっくりじわじわ効くのです)
また、土壌の物理性の改善にも役立ちます。
■無機質肥料(化学肥料)
最大の長所は植物が必要とするときに必要な量だけ必要な養分を与えることが出来るということです。
化学肥料は水に溶けやすく溶けた肥料は直ちに植物に吸収されます。
しかし・・・化学肥料が全てそのまま植物に吸収させる訳ではなさそうです。
例えば、窒素は50%は化学肥料の養分をそのまま吸収して育ちますが残りの50%は無機化(土の中で分解して土壌中や空気中に放出されること)の状態で取り込まれます。しかしその50%の30%から50%はいったん微生物が食べて分解して形で植物が摂るわけです。ですから化学肥料でも微生物の力を借りている訳です・・・
しかし、お手軽だからといって化学肥料ばかり使っていると土壌の物理性が悪くなります。
有機物が不足してガチガチの荒れた土になります。
■有機質肥料のススメ
有機質肥料の最大の特徴は「微生物の力を借りる肥料」ということです。
「微生物のはなし」でもお分かりのように微生物を活用するということは土壌を活性化するということです。
化学肥料を多用して悪循環を招くよりも土のため、微生物のため、そして植物のために有機質肥料を使用していただきたいのです。


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