植物は微生物なしには育ちません!
微生物を見直して
微生物の住みやすい環境をつくってやりましょう・・・

■土中の微生物
土中には計り知れないくらい多くの微生物がすんでいます。
土を小さじ1杯で1億くらい存在すると言われています。
その中には植物にとって有利なものもいれば有害なものもいます。
また、植物の根がある場所(根圏)は微生物の種類は少ないものの根からの恩恵を求めて数は多く活動が活発です。密度は非根圏の26倍から120倍と言われています。
なお、根圏の厚さは根から1o前後と言われています。
根がない場所(非根圏)では微生物の種類は多いものの数は少なく不活発です。
■土中の微生物の種類
細菌・糸状菌・放線菌・藻類・原生動物の5つに分別されますが主に植物に関わるのは前3者です。
◇細菌(バクテリア)
土の中に一番多く見られる微生物で、土壌微生物の中で一番小さい存在です。
また細菌の中には酸素を必要としないものもいて土中の約10%はその性質をもつ細菌なのです。
◇糸状菌(カビ)
酸素を必要とする好気性の微生物です。
主な役割としては有機物の分解です。
分解しにくいものを効率的に分解してその後さらなる分解を容易にします。
◇放線菌(土壌酵素)
ほとんどは酸素を必要とする好気性の微生物です。
抗生物質を作り出す菌も多く、有害な菌を抑制する働きを持つものもいるのです。
また、いろいろな色素やニオイを出すものも多く土のニオイは放線菌によるものなのです。

■微生物の働き
微生物は土中の有機物を分解して植物が養分を取り込みやすくする働きをします(無機質への分解)
土を肥やすために有機物を投入するのは微生物の力を借りるためなのです!
◇有機物分解の過程
枯葉や枯れ枝など大きなものは主にミミズやヤスデ、ダンゴムシなどの小動物が食べます。
歯のない微生物にとっては噛むことが出来ないのです。かみ砕かれた有機物や小動物の糞は細菌、糸状菌、放線菌によって糖やタンパク質、でんぷんに分解します。やがてセルロースがセルロース分解菌などによって分解されます。そして植物の骨格、リグニンと呼ばれる微生物でもなかなか分解されない物質が残り、腐植を作り出します。しかし腐植も徐々に糸状菌などによって分解されます。
最終的には炭酸ガス、水、アンモニア、硝酸塩、リン酸などの無機物に変換されるのです。
有機物の分解には数え切れないほど多くの微生物が関与していて、バトンタッチしながらリレー方式で進められているのです。
■微生物が土を肥やす(腐植)
有機物をある程度まで分解するとリグニン(木質)という植物の骨格を形成していた繊維物質が残ります。
これは分解しにくい物質ですが後々には微生物によって分解されてしまいます。
このリグニンは微生物の作用を受けて変質していきます。一方、エサを得て増殖した微生物はどんどん死に絶えていきます。(※微生物は短命です!)
リグニンの変質物と微生物の死骸(タンパク質)が再び微生物の作用を受けて腐植を構成します。
腐植は粘土と結びつくため、腐植そのものを取り出すことは大変困難です。
しかし熟成有機物のたっぷり入った土は黒々としています。その黒々とした色こそ腐植なのです。
リグニンはキノコの一種の菌によって分解されます。キノコが生えてくれば有機物の分解はほぼ終わりに近づいたということです。
腐植の作用
ゆっくりと養分になる
微生物のエサになる
土の構造を良好に保つ
保肥性がある
■微生物と根っこの関係
微生物と根っこは切っても切り離せない密接な結びつきがあります。
根っこからの分泌物(糖・アミノ酸・ビタミンなど)は微生物のエサとなります。
また、微生物の分泌物や自身も植物の養分になったり、土中の養分を運んだりします。
そんな植物の有利になる微生物が根のまわりに住みつくと病原菌は寄りつくことができません。
※根のまわりに住みつく微生物のことを根圏微生物といいます。
微生物と植物は持ちつ持たれつ、不可欠なパートナーなのです。

市販されている根圏微生物の一種で「菌根菌」というのをよく耳にします。
この菌は植物の根の内部に菌糸をのばし根から直接養分をもらう一方根以外に伸びた菌糸は土の養分を得て植物の根に送ります。
菌糸は7〜10pも伸びるので菌根菌のおかげで根が届かないところにある養分をも得ることができるのです。しかし、肥沃な土壌では菌根菌は共生しない方が多いそうです。(お互いに必要がないんですね・・・)
養分の少ないやせた土壌でこそ利用したい微生物です。
■根圏微生物の落とし穴
根圏微生物は植物によって集まる種類が違ってきます。
その植物ばかり繰り返し育てていると根圏微生物の種類が偏ってきてしまいます。
ある一定の微生物ばかりが根のまわりを占拠してしまい、他の微生物たちが近づくことが出来なくなるのです。
その微生物たちの中には根の分泌物だけでは満足できなくなり根の中に入り込み植物の細胞を殺してエサにするものもでてきます。
そういった悪循環を連作と呼びます。また、その微生物を病原菌と呼びます。
■病原菌の性質
病原菌はエサ(根の分泌)がないときには土中でじっと耐えています。
そして一旦エサを与えられると凄い勢いで悪さをしはじめます。
有益な菌に比べて病原菌はしぶとく力も強いのです。
化学肥料や農薬で荒れた土地には病原菌が多く力も強いため、良い菌は押しのけられて植物に悪影響がでるのです。(土壌病害)
■微生物の大切さ
悪さをする病原菌も異常繁殖しなければただの微生物です。
中には増えすぎなければ植物に良い影響を与えるものもいるでしょう。
微生物を扱う上で一番大事なことは微生物相(多種の微生物)を豊かににするということです。
そしてよりよい微生物を根のそばに住みつかせるところにあります。
■微生物を増やすには・・・
一番に、エサ(有機物)を放り込んでやることです。土壌の微生物たちはいつも空腹状態で新たなエサ(有機物)をじっと待っているのです。
そこへ有機物を与えられると待ってましたとばかりに増殖しはじめ、あっという間に食べ尽くしてしまいます。(分解)
そしてエサがなくなると死んでしまったり、新たにエサを与えられるのをじっと待っています。
なので・・・定期的に有機物を投入し微生物を活性化してやることです。
どんな有機物がよいのかは・・・「有機物のはなし」を読んでみてください


EM生ゴミ堆肥を熟成中に発生した菌糸



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