植物が健全に育つにはまず土を作ること
植物が気持ちよく根を張れる場所
居心地の良い土とはどんな土のことでしょうか?
■健康な土とは? |
ひとことでいえば森林の土です。 森林の落ち葉が積もった地面を掘ってみると幾層にも積み重なった葉を見ることが出来ます。 土に近い場所ではその落ち葉が黒く朽ちて形をとどめていないでしょう・・・ また、トビムシやヤスデ、ミミズなど小さな虫たちも見つけることが出来ます。 森林は小さな虫や微生物によって落ち葉や動物の死骸などの有機物が分解されて土に還元されています。 このように自然のサイクルがうまく回って安定した状態が健康な土といえます。 |
■不自然な土壌環境 |
畑や田んぼが多いところはとても自然豊かに思えます。 しかし人間が手を入れてしまったところは自然と言えません。自然の摂理に逆らったことなのです。 人間が故意に有機物を施してやらない限り、自然の循環が上手くいかず土中の養分が減る一方なのです。 また、環境の変化で微生物が減るのです。 |
■病める土 その@ 無機質肥料(化学肥料)の使用 |
第二次世界大戦以後、先進国の化学化が進み農業や園芸の分野も化学化が当たり前になってしまいました。化学肥料に化学合成農薬・・・
私は、「有機肥料」と「化学肥料」は人間に置き換えると「口から摂る食物」と「栄養分だけを直接摂る点滴」に似ていると思いました。必要な時に必要な分だけ栄養素を与えられる便利な化学肥料。 農薬の散布で全く病害虫のついていない植物・・・これが理想の農業、園芸だと思われてきました。 しかし、理想は長く続きません。 化学肥料の多施で土壌の健康は失われ、保肥効果などがなくなってきました。 そのためさらなる化学肥料の施用・・・植物は肥満状態になり病原菌発生など悪循環に陥ります。人間でも肥満は病気になる危険が大きいですよね。植物も同じことなのです・・・ 有機物が土壌で分解される過程で発生する微生物の死骸や分泌物、そしてそれらと根の関係・・・無機質の養分である化学肥料では得ることの出来ない数多くの利点を持つのが有機物、有機質肥料です。 |
■病める土 そのA 化学合成農薬の使用 |
日本は世界的にも群を抜いた農薬使用国なのです。それは、どうしてでしょうか? 確かに降水量が多い、湿度が高いという自然条件が病害虫を多くしている理由のひとつですが、一番の原因は日本人の性格でしょう! 「やればやるほど効果が出る」という詰め込み主義。 害虫が1匹もいなくならなくては気が済まない完璧主義・・・・など日本人の一般的な特質が農薬を多用させるのでしょう。 化学合成農薬を使うとなぜ悪い? 化学合成農薬(今後「農薬」と呼びます)は人間がつくり出した化学物質です。誕生してまだ間がなく、人体に対してどのような影響があるのか、はっきりしていません。農薬の多用によって体調を崩すという話はよく耳にすることです。 さらに土壌も計り知れないダメージを受けています。 土壌害虫駆除のために農薬を使って土壌消毒をすると有害な微生物(病原菌)だけでなく有益な微生物まで死滅してしまいます。有害な微生物と比べて有益な微生物は力が弱く回復しにくいものが多いのが現状です。また、微生物だけでなく、ミミズなどの数多くの土壌小動物までも死んでしまうのです。 多くの小動物がいなくなると言うことは天敵(人間にとっては益虫)もいなくなるということです。 また、、農薬を頻繁に使用していると今まで使っていた農薬が効かなくなることもあります。これは病害虫に抵抗力がついたためです。そうなれば怖い物なしで病害虫が大発生します。 良かれと思って使用した農薬が後には病害虫の大発生、植物への大打撃を招くのです。これは土壌散布に限らず葉面散布でも同じ事なのです。 農薬をできるだけ使わない方法 第一に土を育ててください。土壌の物理性や微生物の働きをよくすると植物が強くなります。 植物も生き物ですから強く生きようとする力をもっているはずです。その手助けをしてやるために環境をよくするのです。 根は人間でいう口、臓器の役割を全て果たす大事な部分です。それを丈夫にすること・・やはり根の環境である土を育てることなのです。 そして、多種の植物を植えましょう。蝶や蜂がやってくる花、アブラムシが好む花もいいですね・・・ 植物が多い事ことは根の分泌物もそれぞれ違い、土壌に多種の微生物を寄せ付ける良い効果があると思います。さらに害虫やって来ればそれを食べる益虫が必ずやって来てくれます。 健康に育った植物ならば害虫には負けず、益虫によってカラダをきれいに掃除してもらえるはずです。 最後に、大らかな気持ちです・・・ 少々虫が付いたって平気!という気持ちを持つことが大事ですね! 少しの虫くらい手で取り除けるし、良い環境ならば天敵がやっつけてくれるはずです・・・ その他に、予防として木酢液やEMで発酵させたストチュウ、ニンニクや唐辛子、ネギなどなど・・・ いろんな方法を試してみるのも良いかもしれません。殺すのではなく回避させるものがほとんどですが・・・ |
■良い土って? |
森林の土が有機物をたっぷり含んだ循環性のよい土であるということはお分かりいただけたと思います。 では、具体的にどんな土がよいのでしょうか・・・ 通気性(乾きやすい)、排水性(水はけ)、保水性(水持ち)、保肥性(肥料持ち)が良いなど挙げられます。 これを満たす土、それは団粒土です。 |
■団粒土とは? |
団粒土は土の種類、シルトと粘土で構成されます。粘土とはご存じのようにヌルヌルした非常に粒子の細かい土です。シルトは粘土よりも粒子は粗いのですが、砂よりも細かくこれもヌルヌルしています。 しかしそれらだけでは団粒は出来上がりません。 まず、粘土とシルトが凝集(集合)することが必要です。その要因の一つは乾燥です。そしてもう一つの要因は根の伸長です。根が土の粒子を押し分けて伸びていくとき周りの粘土やシルトが凝集されるのです。 その後に活躍するのは有機物です。有機物が微生物によって分解されていく過程で作られるガム状の高分子が、集まった粘土とシルトを糊付けするのです。 しかし、有機物が分解されていく過程の物質が糊の役割を果たすということは、いずれその糊も分解されてしまうということです。団粒の寿命はそう長くはないのです。 有機物を施して新たに団粒を作るように働きかけなくてはなりません。 また、この場合、分解がかなり進んだ腐植(「有機物のはなし」参照)中心の有機物よりも未熟な有機物の方が団粒形成には効果的だとされています。分解の過程でのエネルギーが強いからです。 |
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