菌根菌のこと


菌根菌は植物にとって有益な微生物です。
菌根菌は土中に菌糸を張るのと同時に植物の根に侵入し、根の内部にも菌糸を伸ばします。
土中の菌糸は土中の養分を得て植物に送る働きを持ち、また根の内部の菌糸は植物から糖などの炭水化物を得る働きを持ちます。
土中の菌糸は一日に1〜3oも伸び、7〜10pもの長さになることもあります。
よって、根が届かない場所の養分を吸収して植物に送ってくれるのです。
特にリン酸を吸収する力が特異的に強く、植物にもリン酸をよく供給します。

菌根菌といっても種類はとても多く存在します。
特定の植物にだけ付く菌根菌もいれば、アーバスキュラー菌根(VA菌根)のように多くの植物に付くものもいます。

菌根菌は約4億年前もの化石に見られるほど、起源の古い菌で特に暖温帯から熱帯域に多く存在します。

本来、健康な植物は根から侵入してくる菌(病原菌)から自衛する手段をもっています。
根の表皮を硬くして菌の侵入を防いだり、病原菌が表皮を溶かそうと分泌する酵素を阻害する物質を出たりします。
また、それらを突破して侵入してきた菌を殺す抗生物質を持ったり、それによって新たな抗生物質を作り出したりします。
そんな何層もの強力なバリアを持つ根に入り込む菌根菌は植物と絶対的な共生関係にあります。
植物はお互いが利用し合い、お互いにとってより良い状況をうむ、菌根菌の感染を喜んで受け入れるのです。
また、菌根菌は根の養分吸収に役立つだけでなく、菌根菌感染が引き金となって、植物自体が防衛機能をつくり出し、病気を抑える働きを備えるようになります。

しかし、こうした利点ばかりのアーバスキュラー菌根菌ですが、リン酸濃度の高い場所では成長が悪く、期待した結果は得られないようです。
本来、菌根菌とは養分が少ない土壌に生息して植物が届かない場所から養分を取り込み、植物に送る働きを特長としてきました。
よって、あまりにも肥料分の多い土壌ではその存在の必要性がないのではないでしょうか・・・
菌根菌は自然界の多くの場所に存在していますが近年、化学肥料や農薬の多用で多くの畑から姿を消している菌なのです。
こんな、素晴らしい働きをしてくれる菌を放っておくなんて惜しいと思いませんか?!
今一度、菌根菌を呼び戻すため、土のことを考え直してみませんか・・・


菌根菌は雑草の根にもよく付いています。
雑草を根ごと、植物の近くに鋤き込むことも一つの手段ですね!
また、炭は菌根菌のよい住みかになります。根の近くに炭をまくのも効果的です♪