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7/17 イラガの変身

イラガの終齢幼虫です
このころになると、もの凄く大食漢でアッという間に葉がなくなってしまいます
春、一斉に孵化したイラガがそろそろ蛹になる季節がやって来ました
バラの「キング」にはたくさんのイラガが付いてしまいました(-_-;)
それを取るのが日課にまでなっていました・・・そして今朝、見てみると・・・
AM 9:00
イラガの幼虫が繭に変身しているようです
糸のようなものを吐き出して、カラダを覆いました  その中ではイラガが激しく動いています
幼虫はカラダを背中の方に折り曲げて繭の中に納まろうとしています

口(吐糸口)から糸(絹糸)を吐いて、まずカラダの前半分が入る粗い目の網を作ります
その後、カラダを反転して後ろ半分が入る網を作り、カラダ全体を網に納めます
網の目が粗いので幼虫の刺毛は繭の外に飛び出していますが
その刺毛の生えている角(肉角)は網の中に納まっています
繭の中で幼虫は少しずつ動きながら絹糸を出して網目を細かくしていきます
AM 9:30

不思議です・・・
色が付いて、カラダが隠れてしまいました
繭の中の幼虫は肛門から、白いドロドロした液を何度かに分けて出します
そして、口(吐糸口ではなく食べ物を食べる口)からは薄い褐色のドロリとした液を吐き出します
AM 10:30

さらに色が変化してきました
何やら模様らしきものも浮き出てきました
触れてみると
まだまだ柔らかいものです
中ではまだイラガが動いています
幼虫は繭の中で前に進んだり、止まったりしながら、この白いドロドロした液と
薄い褐色の液を繭の中から編み目に押しつけます
頭と胸と腹で押して、繭の形を整えながら網目に塗り込むのです
AM 10:50

色が茶色に変わってきました
そして模様もはっきりと現れてきています
この時点ではまだ幼虫が動いているのが
分かりますし、繭も柔らかいのです
実は、模様は、幼虫が繭の中で動いた時に出来るものです
繭の外側は白いドロドロした液が塗られた層(網目からはみ出しています)
そして一番内側は絹糸で作られた層
その中間は白いドロドロした液と褐色の液が混ざり合った層なのです

カラダや肉角が繭に触れているところは褐色の液で塗られていきます
また、肉角などの出っ張りで隙間が出来るところには、白いドロドロの液が流れ込み、
白い模様が出来上がる仕組みになっています
要するに褐色の部分は繭と幼虫が接した部分、白い部分は塗り残しということでしょう
よく見てみると確かに褐色の部分は肉角で擦ったようなラインです
広い褐色の部分は腹が当たっていたところですね

AM 11:30

それらしくになってきました!
イラガの繭の模様はそれぞれ違いますね!
それは、白や褐色の液を出す際に、イラガの体勢は個々で異なり、それによって
液の流れ方が違うためなのです
PM 1:45

もう完成ですね♪
完全に硬くなるのには数日かかるようですが、数時間で かなり硬くなりました
イラガの繭は縦(長軸方向)では7.7s、横(短軸方向)では6.4sまで耐えられるそうです
イラガの繭の硬さの秘密は、回転楕円体(※1)であり、繭層が厚く、しかも
何層にもなっています
そして、絹糸の網目にキッチリと詰まった褐色の液に含まれるタンパク質が
硬い層を作り出すのです

では、白いドロドロした液は何でしょう?
白いドロドロした液はシュウ酸カルシウムと尿酸であり、これは水に溶けにくい物質です
しかし、繭の硬さには直接には関係なく、おそらく、褐色の液のタンパク質を網目から
漏らさないためのものだと考えられています

※1 回転楕円体・・・断面は円形だが、縦に切ると楕円形である球体のこと
参考図書・・・偕成社発行 石井象二郎著書「わたしの研究 イラガのマユのなぞ」
セイボウ↓ 「イラガイツツバセイボウ」ではないでしょうか・・・・?


イラガの天敵にはカマキリやヤドリバエなどがいます
そして近年増加しつつあるのがイラガの繭に
寄生する外来種のイラガイツツバセイボウです
(蜂の仲間で「青蜂」と書きます)


左のセイボウは数匹でイラガの多発地帯をうろついていました
「イラガイツツバセイボウ」はイラガの繭に穴をあけ、繭の中に産卵します
孵化した幼虫はイラガを食べて育ちます
イラガは繭のてっぺんを大きく、くり抜いて誕生するのですが
イラガイツツバセイボウは、繭の横など、全く異なる場所に小さめの穴をあけてイラガの繭から誕生します
繭を見ればどちらが誕生したのかがすぐにわかるそうです


追 記
イラガの繭の模様は白いドロドロの液と褐色の液との混ざり具合、
塗り具合でできることを知りました
おぉ〜!そう言えば・・・ちょっとグロイ話になりますが・・・
イラガの小さな幼虫をフミツブースすると、緑色の体液が飛び出ます
しかし、終齢幼虫をフミツブースすると、白と緑の体液が飛び出ます
緑色のケムシにしては変だな〜〜!と思っていましたが、それは繭の材料だったのですね



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