バンコクの安宿街、カオサンに一人でＶＩＳＡ待ち滞在をしている時でした。
夏祭りのようなカオスをもつこのストリート。かなりなツーリスティックなところ
ですが、それもまたよし。タイに来てここだけにしかいないのは問題だと思う
けど、KIKIは結構気に入ってます。（だって便利なんだも〜ん）

ある日、ディオールＧＨにて、ＫＩＫＩは自称的屋のバックパッカーのお兄さんと、
指輪の仕入れをしているというおっちゃんと知り合いになりました。
皆一人旅だったので、夜ご飯を食べに行くことになりました。
行き先はもちろん（？）タイスキ。今回一人だったため、諦めかけていたので、
気分はウハウハでした。
「ワーイ。ビールビールビーーールッ。」
今はなき「ショウグン」まで歩いて行き、ビールを頼み、鍋のセットもばっちり。
あとはグツグツと煮えるのを待つばかりでした。

「タイはやっぱり暑いですねぇ。」なんてとりとめのない話をしていましたが、
なんだか間が持ちません。ま、それは気にせず、
久々のタイスキは嬉しいなぁ〜♪なんてＫＩＫＩは呑気に
シンハーを飲んでいました。
「おもしろい話をしてあげましょうか？」　と突如おっちゃんが言いました。
「おもしろい話？いいですね。」　兄ちゃんとＫＩＫＩに反対する理由はもちろん
ありません。
「ちょっと変わった話なんですがねぇ。」
少しイヤな予感はしました。

「この世は三次元です。横、高さ、奥行きでなりたっていますよねぇ。」
「……？」　　「はぁ。」
「それで四次元はよく言われていますが、それに時間が加わったものです。
一般には大体四次元までしか伝えられていません。そうですねぇ？」
（何の話なん。いったい？？）とＫＩＫＩは思いつつ、先を聞きます。
「それでは五次元の世界とはいったいどんなのだと思いますか？それは
お釈迦さまの世界です。どういった世界かっていうとね。ＸＸＸＸＸＸ。」
（もう何年も前の話なので内容は忘れちゃいました。間違っていたらすいません。）

「それでね。９次元はね。Ｘ＊☆ＸΩ≠……。」
とりあえずずっとこんな感じで、１次元、１次元の説明が続いていきます。
な、なんだー、このおっさんは〜！？変なのにつかまってしまったぞー。
的屋の兄ちゃんを見てみると、人がいいのか感銘を受けているのか、
フンフンと聞いています。

グツグツグツグツ、、、、、。タイスキはどう見てももうできています。
ちょっと煮立てすぎの感じもするぐらいです。
それでもおっちゃんの話は進みます。口をはさむ隙もあたえてくれません。
おっちゃんの額にはうっすらと汗がでています。ショウグンはちゃんと冷房も
きいているのに、、、。

そのころは何次元の話をしていたのでしょうか、たぶん２３次元まではいって
いたと思います。でも、KIKIは腹が減っていた。
そしてこのままだとタイスキがひからびちゃう。それはイヤダァ〜ン。（←誰？）
しゃべることに対して自己陶酔している人に話し掛けるのはかなり勇気がいる。
「あの〜。もうできているんですが〜。」　
かなりドキドキしましたが、そっと言ってみました。

おっちゃんの耳に届くのは時間がかかったようですが、突如我に返ったかのように
「あ、じゃあ食べましょうか。」　なんておっしゃって頂けました。あぁよかったぁ〜。
そして皆めいめいにタイスキをよそいます。
（やっと食べれる〜）とハグハグ食べ始めました。

おっちゃんを見るとよそったもののハシが動いていません。
「オヤ？」っとＫＩＫＩが思った瞬間です。
「それでね、さっきの続きなんですが、２４次元はねＸ＊☆ＸΩ≠……。」
まだ続けるのです。でも今はもうつきあってられません。
ＫＩＫＩと兄ちゃんは話を聞きつつタイスキを食べます。おっちゃんは話に夢中で
タイスキに手もふれません。まだまだ世界を語ります。

鍋の中身は残り少なくなっていきます。せっかくのタイスキなのにあんまり
おいく感じられません。それにしてもこの人食べんでいいんかいな……。
もうこの段階になると何言っていはったか忘れちゃいましたが、ようやく終わった
みたいでした。おっちゃんが口にしたのは、お茶だけです。
ちょうどこちらも変にお腹はいっぱいになっていました。
的屋の兄ちゃんが聞きます。
「それいったいなんの話なんですか？」
「幸○の○学です。」
あ、いたたた。宗教の批判はしませんが、そういった話は、はっきり言って
タイでタイスキを食べながら聞きたくはなかった。

翌日また的屋の兄ちゃんに会って話すると、
「イヤ〜、昨日は参りましたねー。あの人なんか指輪の仕入れなんて言ってた
けど、実はクスリやりにバンコク来てるみたいだよ。」
その時まだまだ旅慣れず、世間知らずのＫＩＫＩ、ラリリの方の話を聞いたのは
初めてだったので、
（クスリやるとああなるんかぁ。）と変に感心してしましました。

ちょぴりイタかったタイスキのメモリーです♪