「細雪」のおはなし

何気に谷崎潤一郎の「細雪」が好きです。
谷崎氏の他の有名な作品も読んだけど「細雪」以外は「まぁオモシロかった」ぐらい
「細雪」15回は最低読んでるな(好きな本は何回もしつこく繰り返して読むタチ)
今回またはまったので前から気になってた、おおまかな出来事をピックアップして
年表↓を作ってみました(ヒマ人…)。だから何ってものですが。
基本的にこうゆう表作るの好きなんです。
足かけ5年もの話なんですね。えーと本文の紹介ですか?それはね
昭和10年代の関西の旧家、蒔岡の4姉妹の物語 といっても主に2番目の
幸子(既婚)の目をとおしてる。当時の上方の上流階級の日常生活、衣食
花見や蛍狩りなど季節の行事が散りばめられた中に「いき遅れ」の三女の
雪子の見合や四女妙子の恋愛騒動などがえがかれている・・・
ってとこでしょうか。  けっこうな長編だけど文章的には読みやすい と
関西人の私は思う。下2人の恋愛模様も「家」とゆう固定観念をとれば
今と同じそれぞれの計算高さみたいなのが見えて面白いし。

特に雪子、建前は家の者が「いい」というならどこへでも嫁に行くって言ってるわり
にはワガママだよな。さりげにあそこが嫌とか言って。おまけに最後感謝の一つも
しないんだからたいしたものや。それでも不思議と憎めない…。
それに反して家に拘らない妙子って当時としては異端だけど、結婚相手に望むのが
【タフで技術があって自分を愛してくれる人】っちゅうのはすっげーまともやんね。
それを【浮気性でボンボンなので働く意思が薄い家柄だけが取柄】な啓坊を勧める
蒔岡姉妹ってどうなのよ!?と思ったけど当時は現在より家柄重視ですものね。
ってまぁ今でもこういうのってあるやんけど。
ラストの雪子の下痢説に色々あるけど私は谷崎氏の後書きどおり「書くのに疲れた」
で尻切れトンボっぽなっただけなように思えます。
それはさておき私この話を読み終わると『その後の姉妹達がどうなるか?』 も
想像するのが好きなのであります。だって昭和16年以後っつったらどんどん戦争に
突入していくし、特に鶴子のトコの男の子達は兵隊になるだろうし・・・
ってなんでこんなにはまってるのでしょうね?
恐らく色々事件は起こるもののメロドラマチックだし、当時の上流階級の雰囲気、
美しい登場人物のキャラクター性、当時の文化が味わえるのがいいんでしょうね。


- - - 「細雪」出来事 - - -
11年
11月
・ピアノ会
・雪子見合い:瀬越(MB化学社員)by井谷
12月・瀬越との見合い断る(母の精神病のため)
12年
1月
・妙子人形の個展を開く
3月・貞之助、幸子、妙子 カタリナ家の晩餐に招かれる
・幸子黄疸にかかる/丹生夫人達の押しかけ訪問
4月中・恒例の京都への花見
6月・本家東京へいく話がおこる
8月末・四姉妹芦屋にそろう
・本家+雪子 東京へ引っ越す
10月頃・悦子 不眠症、神経衰弱になる
13年
1月
・陳場夫人より雪子の見合いの問い合わせ
/本家の子供達の病気により延期
3月・雪子久々に芦屋に戻る
・幸子流産する
・雪子見合い:野村(独り言癖あり)by陳場
4月中・恒例の花見の後雪子東京へ帰る
  - - - ここまで上巻 - - -
 月・啓坊芦屋を訪れる(妙子の洋裁&洋行を辞めさせて欲しい)
・幸子と妙子の話合:上は啓坊を養うため
6月・芦屋の家で舞いの会/妙子も舞う/板倉の出現
7月・阪神大水害/妙子死にかけたのを板倉に助けてもらう
・雪子見舞いがてら芦屋へくる
8月中・舞のおさく師匠亡くなる
8月下・隣家シュトルツ一家ドイツへ帰る
・↑見送りのため雪子、悦子を連れて東京へ
・幸子も春を連れて上京
9月・東京の本家を台風が襲う/幸子、浜屋へうつる
・悦子を神経科の医者に見せる
・幸子へ啓坊から「妙子と板倉の恋愛を注意する」手紙が届く
9月中・幸子と妙子の話合(板倉のことは気にかけていない、洋行の希望)
11月末・本家より妙子の洋行は許さない旨告げられる
12月・玉置女史の都合で妙子の洋行も中止することに
14年
1月
・幸子と妙子の話合(妙子、板倉との結婚の意思を明かにする)
2月下・大阪三越で舞の会/雪子が見にきがてら芦屋へ
/啓坊、板倉のカメラをはたき落とす
3月・カタリナの見送り
4月中・恒例の花見
・悦子しょう紅熱にかかる(雪子が看病)
5月初・妙子お金の件をいいに上京す+幸子
5月中・板倉中耳炎の手術の失敗で死す
  - - - ここまで中巻 - - -
6月・蛍狩りがてら大垣で雪子の見合:沢崎(傲慢めな金持)by辰夫の姉
↑先方から断られる
9月下・父母の法事を大阪で行うため本家+雪子来阪
・妙子啓坊と寄りが戻っていることがバレる
10月末・妙子家を出る/貞之助とは顔を合わさないことに
15年
2月
・雪子の見合:橋寺(医系会社の専務コブあり)by井谷、丹生
3月上・↑見合、雪子電話にうまく出れない事件で破談
3月中・妙子大腸カタルで啓坊の家で寝こむ
4月・幸子、妙子の見舞いに行き知り合いの病院へ移す
・幸子、春に啓坊のとこへお金の支払いにいかせたことから
 妙子が啓坊から金品を搾取してたことを知る
・妙子を除いた4人で花見
4月下・妙子退院、5月末に歩けるように
6月・幸子、貞之助夫婦奈良へ旅行
8月・幸子、貞之助夫婦富士へ旅行
9月・貞之助、妙子と久々に顔を合わせる
10月初・幸子、雪子、妙子の話合(啓坊の満州行きへ同行する話から
 啓坊へお金で世話になってたいたと雪子が冷静に追求)
10月中・幸子、雪子、妙子 井谷の見送りに上京する
・雪子の見合:御牧(華族の庶子、無職)by井谷
・幸子、ホテルで妙子に妊娠を告げられる
10月下・貞之助、妙子の妊娠で走りまわる
/妙子を有馬へ行かせる/相手の三好との話合
/啓坊へ妙子を忘れて欲しいとの話合
11月下・御牧芦屋を訪問する
16年
1月初
・見合の返事をする
・御牧の父が住む京都の家へ招かれる
3月下・本家で結納
4月中・4人で恒例の花見
・妙子の死産(退院後三好の元へ)
4月下・雪子結婚式のため東京へ向かう

昭和11年段階で鶴子(36)幸子(34)雪子(30)妙子(26)悦子(7)春(18)
貞之助(42.3)啓坊(29.30)板倉(25.6?)




→ 谷崎潤一郎記念館の細雪展に行ってきたレポ(2011)



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2003.10.............