フレスコについて

ワークショップ  ― フレスコ画小品制作 ―  において

………………………………………………… たかはしびわ

フレスコというのは壁画の技法で、ミケランジェロやジォットといった人たちが教会の壁に描いた絵も、このフレスコという技法で描かれています。
普通、絵具は色の顔料を何らかの媒材(接着剤)に練りこんで使います。例えば油絵具なら乾性油、水彩絵具ならアラビアゴム、アクリル絵具ならアクリル樹脂、が媒材にあたります。これらの媒材が、紙なり板なりキャンバスなりに顔料と一緒にくっついているわけです。
ところが、フレスコの場合、この媒材というものを一切使いません。顔料を水で溶いて、描くのです。媒材がないために、普通なら乾いたあと顔料が取れてしまいますが、フレスコでは、壁の材料である消石灰モルタル(漆喰)がまだ濡れているうちに描くことで、水と一緒に顔料が壁の中に染み込んでいき、ちょうど刺青のように壁の中に閉じ込められてしまいます。こうなると絵具の剥落ということは起こり得ず、壁自体が破壊されない限り、作品は保たれるのです。フレスコが『永遠の絵画』といわれるゆえんです。ちなみにフレスコとは「新鮮な」という意味で、壁が濡れている(=新鮮である)うちに描くことからつけられたとのことです。また、顔料自体の色が見えるという点でも新鮮である、とも言えそうです。