食材一覧表
穀物
品名 あわ(黄粱米) 気味 甘、平 経絡 脾・胃・腎 |
主冶 益気、中和、止洩.霍乱下痢を止め,小便を利し,煩熱を除く. |
品名 あわ(白粱米) 気味 甘、微寒 経絡 脾・胃・腎 |
主冶 熱を除き,気を益す.飯に炊いて食えば,中を和し,煩渇を止める. |
品名 あわ(青粱米) 気味 甘、微寒 経絡 脾・胃・腎 |
主冶 胃痺,熱中,消渇,洩痢を止め,小便を利し,気を益し,中を補し,身を軽くし,天年を長くする.粥に煮て食う(別録).脾を健にし,洩精を治す. |
品名 おおむぎ(大麥) 気味 鹹,温にして微寒なり,毒なし.五穀の長となす.人をして熱多からしむ. 経絡 脾・胃 |
主冶 消渇.熱を除き,気を益し,中を調える(別録).虚劣を補し,血脈を壯にし,顔色を益し,五臓を實し,穀食を消化し,洩を止め,風気を動ぜぬ.久しく食すれば人體を肥白ならしめ,肌膚を滑らかにする.麪にすれば小麥に勝り,燥熱がない. |
品名 こむぎ(小麦)(小麥) 気味 甘,微寒 経絡 少陰,太陽 |
主冶 客熱を除き,煩渇,咽燥を止め,小便を利し,肝気を養い,漏血,唾血を止め,婦人を妊娠し易くする(別録).心気を養う.心病にはこれを食うがよし. |
品名 こめ(米)(粳米)(うるしね) 気味 甘,苦,平 経絡 脾・胃 |
主冶 気を益し,煩を止め,渇を止め,洩を止める(別録)中を温め,胃気を和し,肌肉を長ずる.中を補し,筋骨を壮にし,腸,胃を益す. |
品名 さけ(米酒) 気味 苦甘辛,大熱,毒 経絡 |
主冶 薬勢を行らし,百邪,悪毒の気を殺す(別録).血脈を通じ,腸,胃を厚くし,皮膚を潤し,湿気を散し,憂を消し,怒を発し,言を述べ,意を暢べる(蔵器). |
品名 しょうちゅう(燒酒) 気味 甘辛,大熱,大毒 経絡 |
主冶 冷積寒気を消し,湿痰を燥し,鬱結を開き,水泄止め,霍乱,瘧疾,噎膈,心腹冷痛,陰毒で死せんとするを治し,蟲を殺し,瘴を辟け,小便を利し,大便を堅くする. 赤目腫痛に効がある(時珍). |
品名 しょうゆ(醤)
気味 鹹,冷,利 経絡 |
主冶 熱を除き,煩満を止め,あらゆる薬,及び熱湯の火毒を殺す(別録).一切の魚肉,菜蔬,蕈の毒を殺し,ならびに蛇蟲,蜂蠆等の毒を治す(日華). |
品名 す(米醋) 気味 酸,苦,温 経絡 |
主冶 癰腫を消し,水気を散じ,邪毒を殺す(別録).産後の血運を治し,癥塊堅積を除き,食を消し,悪毒を殺し,結気,心中の酸水,痰飲を破る(臓器). |
品名 そば(蕎麦) 気味 甘し,平,寒にして毒無し.思邈曰く,酸し,微寒なり.これを食えば消化し難く,久しく食えば風を動じ,頭眩を起こす.麪にし,豬,羊肉を和し,熱して食うは八九回以上は良くない.過ごせば熱風を患い,鬚眉が脱落して再び生えることが稀である. 経絡 脾・胃・大腸 |
主冶 腸,胃を実し,気力を益し,精神を續ぎ,能く五臓の滓穢を錬る(孟詵). |
品名 とうもろこし(玉蜀黍) 気味 甘,平 経絡 大腸・胃 |
主冶 中を調え,胃を開く(時珍). |
品名 はとむぎ(薏苡仁) 気味 甘,微寒 経絡 脾・肺・腎 |
主冶 筋急し,拘攣して屈伸し得ぬもの,久風湿痺.気を下す.久しく服すれば身を軽くし,気を益す(本経). |
品名 もちごめ(いね)(稻) 気味 苦,温 経絡 脾・胃・肺 |
主冶 飯にすれば中を温め,熱多くし,大便を堅からしめる(別録). |
品名 もやし(糵米) 気味 甘,温 経絡 脾・胃・膀胱 |
主冶 脾を快くし,胃を開き,気を下し,中を和し,積を化す(時珍). |
品名 らおしゅ(老酒) 気味 経絡 |
主冶 血を和し,気を養い,胃を温め,寒を辟け,痰を発し,火を動ずる(時珍). 臘月に醸造したものは数十年経っても腐敗せぬ. |
豆類
品名 あづき(赤小豆) 気味 甘,酸,平 経絡 心・小腸 |
主冶 水腫を下し,癰腫の膿血を排す(本経).寒熱,熱中,消渇を療じ,洩利を止め,小便を利し,腹張満を下す.吐逆,卒澼(別録). |
品名 えんどう(豌豆) 気味 甘,平 経絡 脾・胃 |
主冶 消渇には,淡煮して食うが良し(臓器).発明 豌豆は土に属する.故にその主冶たる病は多くは脾,胃に関するものだ(時珍). |
品名 くろまめ(黒大豆) 気味 甘,平 経絡 脾・腎 |
主冶 腎病を治し,水を利し,気を下す.諸風熱を制し,血を活かし,諸毒を解す(時珍). |
品名 ささげ(豇豆) 気味 甘,鹹,平 経絡 脾・腎 |
主冶 中を利し,気を益し,腎を補し,胃を健にし,五臓を和し,営衛を調え,精髄を生じ,消渇,吐逆,泄痢,小便頻数を止め,鼠莽の毒を解す(時珍). |
品名 しろまめ(黄大豆) 気味 甘,温 経絡 脾・胃・大腸 |
主冶 中を寛にし,気を下し,大腸を利し,水張,腫毒を消す(寗原).集解 時珍曰く,大豆には黒,青,黄,白,斑の数色あって,黒いものだけを薬にいれ,黄,白豆は炒って食い,豆腐にし,醤を醸造し,油を搾る. |
品名 そらまめ(蠶豆) 気味 甘,微辛,平 経絡 脾・胃 |
主冶 胃を快くし,臓腑を和す. |
品名 とうふ(豆腐) 気味 甘,鹹,寒,小毒 経絡 脾・胃・大腸 |
主冶 中を寛にし,気を益し,脾,胃を和し,張満を消し,大腸の濁気を下す. |
品名 なたまめ(刀豆) 気味 甘,平 経絡 肺・脾・腎 |
主冶 中を温め,気を下し,腸,胃を利し,おく逆を止め,腎を益し,元を補す. |
品名 いんげんまめ(白扁豆) 気味 甘,微温 経絡 脾・胃 |
主冶 中を温め,気を下す(別録).五臓を補し,嘔逆に主効がある.久しく服すれば頭が白くならぬ. |
品名 ぶんどう(緑豆) 気味 甘,寒 経絡 心・胃 |
主冶 元気を補益し,五臓を和調し,精神を安んじ,十二経脉を行らし,浮風を去り,皮膚を潤ほす.常にこれを食うがよし.煮汁は消渇を止める. |
野菜類
品名 かぶら、かぶ(蕪菁) 気味 苦,温 経絡 |
主冶 五臓を利し,身を軽くし,気を益す.長く食うがよし.発明 羊肉に和して食うが甚だ美である. |
品名 かぼちゃ(ぼうぶら)(南瓜) 気味 甘,温 経絡 脾・胃 |
主冶 中を補し,気を益す. |
品名 からし(芥)ながらし、からしな 気味 辛,温 経絡 肺・大腸 |
主冶 鼻に帰し,腎の経の邪気を除き,九竅を利し,耳,目を明にし,中を安んじ,久しく食すれば中を温める. 発明 時珍曰く,芥は性辛熱にして散ずる.故に能く肺を通じ,胃を開き,気を利し,痰を豁するが,久しく食っては温が積もって熱となり,辛の散が甚だ盛なために人の真元を消耗し,肝木に病を受け,眼目を昏くし,瘡痔を発するものだ. |
品名 きくらげ(木耳) 気味 甘,平,小毒 経絡 胃・大腸 |
主冶 気を益し,飢えず,身を軽くし,志を強くする.殻を断ち,痔を治す. |
品名 キャベツ(はぼたん) 気味 甘,平 経絡 胃・腸・肝 |
主冶 久しきに亙ってこれを食えば,大いに腎を益し,髄脳を填て,五臓,六腑を利し,関節を利し,経絡中の結気,心下に結伏せる気を通じ,耳目を明にし,身体を壮健にし, 睡眠を少なくし,心力を益し,筋骨を壮にする. |
品名 きゅうり(胡瓜) 気味 甘,寒 経絡 胃・小腸 |
主冶 熱を清し,渇を解し,水道を利す. |
品名 くわい(慈姑) 気味 苦,甘,微寒 経絡 心・肺・肝 |
主冶 百毒,産後の血悶で攻心して死せんとするもの,難産,胞衣不出には,壔汁一升を服す.又,石淋を下す. |
品名 ごぼう(惡實) 気味 苦,甘 経絡 |
主冶 傷寒寒熱で汗の出るもの,中風で顔の腫れるもの,消渇で中が熱し,水を欲するもの.久しく服すれば,身体を軽くし,衰老を防ぐ.発明 根は脯にして食うが甚だ良し. |
品名 ごま(胡麻) 気味 甘,平 経絡 |
主冶 傷中虚羸に五内を補し,気力を益し,肌肉を長じ,髄脳を填てる.久しく服すれば身を軽くし,老衰せぬ. |
品名 ごまあぶら(胡麻油)(香油) 気味 甘,微寒 経絡 |
主冶 大腸,産婦の胞衣の落ちぬものを利す.生油を腫に摩る.禿髪を生ずる. |
品名 こんにゃく(蒟蒻) 気味 辛,寒,毒 経絡 |
主冶 癰腫,風毒には腫上に摩し傅ける.搗き砕いて灰汁で煮て餅にし,五味で調理して食えば消渇に主効がある.気味 性は冷である.甚だ人体に益せぬ.冷気の人は少し食うが良し.生では喉を刺激して血を出す. |
品名 さつまいも(甘藷) 気味 甘,平 経絡 脾・腎 |
主冶 虚乏を補し,気力を益し,脾,胃を健にし,腎陰を強くする功は薯蕷に同じ. |
品名 さといも(芋) 気味 辛,平滑,小毒 経絡 脾・腎 |
主冶 腸,胃を寛にし,肌膚を充て,中を滑する. |
品名 しいたけ(香蕈) 気味 甘,平 経絡 胃 |
主冶 気を益し,飢えず.風を治し,血を破る. |
品名 しそ(蘇) 気味 辛,温 経絡 |
主冶 肌を解し,表を発し,風寒を散じ,気を行らし,中を寛にし,痰を消し,肺を利し,血を和し,中を温め,痛みを止め,喘を定め,胎を安にし,魚蟹の毒を解し,蛇,犬の咬傷を治す. |
品名 しゅんきく(茼蒿) 気味 甘,辛,平 経絡 肝・肺 |
主冶 心気を安じ,脾,胃を養い,痰飲を消し,腸,胃を利す. |
品名 しょうが(生薑) 気味 辛,微温 経絡 肺・脾 |
主冶 久しく服すれば臭気を去り,神明に通ずる.五臓に帰し,風邪,寒熱,傷寒,頭痛,鼻塞,欬逆,上気を除き,嘔吐を止め,痰を去り,気を下す. |
品名 せり(水斳) 気味 甘,平 経絡 肺・胃 |
主冶 婦人の赤沃.血を止め,精を養い,血脈を保し,気を益し,人体を肥健ならしめ,食を嗜ましめる. |
品名 ぜんまい(薇) 気味 甘,寒 経絡 |
主冶 久しく食すれば餓えず,中を調え,大,小腸を利す. |
品名 だいこん(萊菔) 気味 根は辛,甘,温 葉は辛,苦,温 経絡 肺・胃 |
主冶 散にして服し,及び炮き煮て服食すれば,大いに気を下し,穀物を消化し,中を和し,痰癖を去り,人体を肥健にする.生で擣いて汁を服すれば消渇を止める. |
品名 たけのこ(竹筍) 気味 甘,微寒 経絡 肺・胃 |
主冶 消渇に水道を利し,気を益す.久しく食うがよし.隔を利し,気を下し,熱を化し,痰を消し,胃を爽にする. |
品名 たまねぎ(胡葱) 気味 辛,温 経絡 肺 |
主冶 中を温め,気を下し,穀物を消化し,食を能くし,蟲を殺し,五臓の不足の気を利す. |
品名 とうがらし(辣茄) 気味 辛,苦,大熱 経絡 |
主冶 中を温め,気を下し,寒を散じ,湿を除き,鬱を開き,痰を去り,食を消し,蟲を殺し,毒を解し,嘔逆を治し,噎隔を療じ,瀉痢を止め,脚気を去る.これを食えば風を走し,火を動じ,目を病み,瘡痔を発する.凡そ虚で火あるものは服することを忌む. |
品名 とうがん(かもうり)(冬瓜) 気味 甘,微寒 経絡 肺・大腸・膀胱 |
主冶 小腹水張.小便を利し,渇を止める.熱するものはこれを食うが佳し.冷えるものがこれを食えば痩せる.にて食えば五臓を練る.このものは気を下すが為である.身体を痩せて軽健ならしめようとするものは長くこれを食うがよし.肥えようとするものは食ってはならぬ. |
品名 ながいも(薯蕷)(山薬) 気味 甘,温,平 経絡 肺・脾・腎 |
主冶 傷中.虚羸を補し,寒熱邪気を除き,中を補し,気力を益し,肌肉を長じ,陰を強くす.久しく服すれば,耳,目を聰にし,身を軽くし,餓えず,天年を延べる. |
品名 なす(茄) 気味 甘,寒 経絡 脾・胃・大腸 |
主冶 寒熱,五臓の労.気味 志曰く,凡そ久冷の人は多く食ってはならぬ.人を損じ,気を動じ,瘡,及び痼疾を発する.李廷飛曰く,秋後に食えば多く目を損ずる.時珍曰く,按ずるに,生生編に二十『茄は性が寒利である.多く食えば必ず腹痛し,下痢し,婦人は能く子宮を傷める』とある. |
品名 にら(韮) 気味 辛,微酸,温,甘,温,平 経絡 肝・胃・腎 |
主冶 傷中.虚羸を補し,寒熱邪気を除き,中を補し,気力を益し,肌肉を長じ,陰を強くす.久しく服すれば,耳,目を聰にし,身を軽くし,餓えず,天年を延べる. |
品名 にんじん(胡蘿蔔) 気味 甘,辛,微温 経絡 肺・脾 |
主冶 気を下し,中を補し,胸隔,腸,胃を利し,五臓を案じ,人をして健食ならしめ,益あって損なし. |
品名 にんにく(葫)(大蒜) 気味 辛,温,毒 経絡 太陰,陽明 |
主冶 五臓に帰し,癰腫,チク瘡を散じ,風の邪を除き,毒気を殺す. |
品名 ねぎ(葱) 気味 辛,平.葉は温 経絡 手太陰,足陽明 |
主冶 湯にすれば傷寒寒熱,中風,面目の浮腫を治し,能く汗を出す.一切の魚肉の毒を殺す. |
品名 はくさい(菘)(白菜) 気味 甘,温 経絡 胃・腸・肝・腎・膀胱 |
主冶 腸,胃を通利し,胸中の煩を除き,酒渇を解す.食物を消化し,気を下し,瘴気を治し,熱気嗽を止める.冬の汁が就中佳し. |
品名 ほうれんそう(菠薐) 気味 甘,冷,滑 経絡 大腸・胃 |
主冶 血脈を通じ,胸膈を開き,気を下し,中を調え,渇を止め,燥を潤す.根が就中良し. |
品名 ゆり(百合) 気味 甘,平 経絡 心・肺 |
主冶 邪気,腹張,心痛.大,小便を利し,中を補し,気を益す.肺を温め,嗽を止める. |
品名 らっきょ(薤) 気味 辛,苦,温,滑 経絡 手の陽明 |
主冶 金瘡,瘡敗.身を軽くし,餓えず,老いに耐える.少陰の病で厥逆し,洩痢するもの,及び胸痺刺痛を治し,気を下し,血を散じ,胎を安ずる. |
品名 れんこん(蓮根)(藕節) 気味 澀,平 経絡 心・脾・胃 |
主冶 擣汁を飲めば,吐血の止まぬもの,及び口,鼻の出血に主効がある. |
品名 わらび(蕨) 気味 甘,寒,滑 経絡 |
主冶 暴熱を去り,水道を利し,人をして睡らしめる. 発明 多食すれば陽気を消ずる.故に人をして睡らしめ,人の脚を弱からしめるのだ. |
果実類
品名 あんず(杏) 気味 酸,熱,小毒 経絡 肝・腎 |
主冶 脯に曝して食えば,渇を止め,冷熱毒を去る.心の果であって,心病にはこれを食うが宜し. |
品名 いちぢく(無花果) 気味 甘,平 経絡 |
主冶 胃を開き,洩痢を止める.五痔咽痛を治す. |
品名 ぎんなん(いちょう)(銀杏) 気味 甘,苦,平,濇 経絡 肺・腎 |
主冶 生で食えば疳を引き,酒を解す.熟して食えば人を益する. |
品名 うめ(梅)(白梅) 気味 酸,鹹,平 経絡 |
主冶 薬に和して誌に點ける.悪肉を蝕す. |
品名 かき(柿)(柹) 気味 甘,寒,澀 経絡 心・肺・大腸 |
主冶 耳,鼻の気を通じ,腸,胃の不足を治し,酒毒を解し,胃間の熱を壓し,口乾を止める.発明 臓器曰く,酒を飲んで紅柿を食えば人をして酔い易からしめ,或は心痛して死せんとする.別録に『酒毒を解す』とあるのは失だ. |
品名 きんかん(金橘) 気味 酸,甘,温 経絡 |
主冶 気を下し,膈を快にし,渇を止め,酲を解し,臭を辟ける.皮が尤も佳し. |
品名 くり(栗) 気味 鹹,温 経絡 脾・胃・腎 |
主冶 気を益し,腸,胃を厚くし,腎気を補し,人をして飢えに耐えしめる. |
品名 くるみ(てうちぐるみ)(胡桃) 気味 甘,平,温 経絡 腎・肺 |
主冶 これを食えば人をして肥健ならしめ,肌を潤し,鬚髪を黒くする.多食すれば小便を利し,五痔を去る. |
品名 くろざとう(沙餹) 気味 甘,寒(温) 経絡 |
主冶 心腹熱張,口乾渇.中を和し,脾を助け,肝気を緩にする. |
品名 こしょう(胡椒) 気味 辛,大温 経絡 |
主冶 気を下し,中を温め,痰を去り,臓腑中の風冷を除く.発明 胡椒は火に属して性が燥である.これを食えば膈を快くするので喜むものが多いが,積久すれば脾,胃,肺の気を大いに傷める. |
品名 さくらんぼ(みざくら)(櫻桃) 気味 甘,熱,濇 経絡 脾・肝 |
主冶 中を調え,脾気を益し,人をして顔色を好からしめ,志を美ならしめる. |
品名 ざくろ(安石榴) 気味 甘,酸,温,濇 経絡 大腸・腎 |
主冶 咽喉の燥渇.多食すれば人の肺を損ずる.多食すれば歯を損じて黒からしめる. |
品名 さんざし(山楂子) 気味 酸,冷 経絡 脾・胃・肝 |
主冶 煮汁を服すれば水痢を止める.頭を沐し,身を洗えば瘡癢を治す.食積を消し,脾を補し,小腸疝気を治し,小児の瘡疹を発する. |
品名 さんしょう(蜀椒) 気味 辛,温 ,毒 経絡 |
主冶 邪気,欬逆.中を温め,骨節,皮膚の死キ,寒熱痺痛を逐い,気を下す.久しく服すれば頭白からず,身を軽くし,天年を増す. |
品名 しろざとう(石蜜) 気味 甘,寒,冷 経絡 |
主冶 心,肺の燥熱を潤し,嗽を治し,痰を消し,酒を解し,中を和し,脾気を助け,肝気を緩にする.発明 石蜜は甘くして喜んで脾に入る.食すること多ければ害が必ず脾に生ずる. |
品名 すいか(西瓜) 気味 甘,淡,寒 経絡 心・胃・膀胱 |
主冶 煩を消し,渇を止め,暑熱を解す.中を寛にし,気を下し,小水を利し,血痢を治し,酒毒を解す. |
品名 すいかノたね(瓜子仁) 気味 甘,寒 経絡 |
主冶 (木島)現在は種子は薬用とするよりも中華料理の前菜として生で,あるいは炒って食用にする. |
品名 すもも(李) 気味 苦,酸,微温 経絡 肝・腎 |
主冶 曝して食えば痼熱を去り,中を調える.骨節間の労熱を去る.肝の病にはこれを食うが宜しい. |
品名 ちゃ(茶)(茗) 気味 苦,甘,微寒 経絡 手,足の厥陰 |
主冶 瘻瘡.小便を利し,痰熱を去り,渇を止め,人をして睡を少なからしめ,力ありて志を悦からしめる.久しく食すれば人をして痩せしめ,人の脂を去り,人をして睡らざらしめる.これを飲むには熱するが宜く,冷なれば痰を聚めるものである. |
品名 なし(梨) 気味 甘,微酸,寒 経絡 肺・胃 |
主冶 熱嗽.渇を止める.切片して湯火傷に貼れば,痛まず,爛れぬ.肺を潤し,心を涼し,痰を消し,火を降ろし,瘡毒,酒毒を解す.発明 梨は,多食すれば脾を動じ,少なければ病に功力を及ぼさない.梨を用いるにはこの点を斟酌すべきものである. |
品名 なつめ(棗)(大棗) 気味 甘,平 経絡 脾・腎 |
主冶 心腹の邪気.中を安んじ,脾気を養い,胃気を平らにし,九竅を通じ,十二経を助け,少気,津液少なきもの,身中不足,大驚で四肢重きを補し,百薬を和す.久しく服すれば身を軽くし,天年を延べる. |
品名 バラミツ(波羅蜜) 気味 甘,香,微酸,平 経絡 |
主冶 渇を止め,煩を解し,酒を醒まし,気を益し,人をして悦澤ならしめる. |
品名 はすノ葉(荷葉) 気味 苦,平 経絡 |
主冶 渇を止め,胞を落とし,血を破り,産後の口乾,心,肺の躁煩を治す.血脹腹痛,産後胎衣の下らぬには,酒で煮て服す.荷鼻は胎を安じ,悪血を去り,好血を留め,菌, 蕈の毒を殺す.いづれも水で煮て服す. |
品名 はすノ実(蓮実) 気味 甘,平,濇 経絡 心・脾・腎 |
主冶 中を補し,神を養い,気力を益し,百疾を除く.久しく服すれば身を軽くし,老いに耐え,餓えず,天年を延べる. |
品名 バナナ(甘蕉) 気味 甘,大寒 経絡 脾・胃 |
主冶 生で食えば,渇を止め,肺を潤す.蒸熟し晒し裂き舂いて仁を取って食えば,血脈を通じ,骨髄を塡てる. |
品名 びは(枇杷) 気味 甘,酸,平 経絡 脾・肺・肝 |
主冶 渇を止め,気を下し,肺気を利し,吐逆を止め,上焦の熱に主効があり,五臓を潤す. |
品名 ぶどう(葡萄) 気味 甘,平,濇 経絡 肺・脾・腎 |
主冶 筋骨湿痺.気を益し,力を倍し,志を強くし,人をして肥健ならしめ,饑にたえ,風寒を忍ばしめる.久しく食すれば身を軽くし,老いず,天年を延べる.酒に作れる. |
品名 ぼけ(木瓜)かりん 気味 酸,温 経絡 手,足の太陰 |
主冶 湿痺脚気,霍乱の大いに吐下するもの,転筋の止まぬもの.湿を去り,胃を和し,脾を滋し,肺を益し,腹張して善く噫するもの,心下煩痞を治す. |
品名 みかん(蜜柑)(柑) 気味 甘,大寒 経絡 肺・胃 |
主冶 腸,胃中の熱毒を利し,丹石を解し,暴渇を止め,小便を利す.気味 多食すれば人をして肺冷して痰を生じ,脾冷して痼癖を発し,大腸が瀉利し,陰汗を発する. |
品名 もも(桃) 気味 辛,酸,甘,熱,微毒 経絡 |
主冶 脯にして食えば顔色を益す.肺の果である.肺の病はこれを食うが宜し. |
品名 ゆず(橙) 気味 酸,寒 経絡 |
主冶 酸汁を洗い去って切り,盬,蜜を和して煎成して貯え,それを食えば悪心を止め,能く胃中の浮風,悪気を去る.魚,蟹の毒を殺す. |
品名 ゆずノ皮(柚) 気味 苦,辛,温 経絡 |
主冶 醤酢に作れば香美であって,腸,胃の悪気を散じ食を消し,気を下し,胃中の浮風気を去る. |
品名 らっかせい(落花生)ナンキンマメ 気味 辛,甘,香 経絡 脾・肺 |
主冶 肺を潤し,脾を補し,和,平にして結構なものだ.久しく服すれば男子を多く生む.多食すれば翻胃を治す.然しその性は能く火を動じ,痰を生ずる.普通人はただ少し吃うが宜し. |
品名 りゅうがん(龍眼) 気味 甘,平 経絡 心・脾 |
主冶 五臓の邪気に志を安じ,厭食すれば蠱毒を除き,三蟲を去る.久しく服すれば魂を強くして聡明にし,身を軽くし,老いず.神明に通ずる.胃を開き,脾を益し,虚を補し,智を長ずる.発明 食品としては茘枝を貴しとするが,資益するには竜眼を良しとする.蓋し茘枝は性熱であるが,竜眼は性和平である. |
品名 りんご(林檎) 気味 酸,甘,温 経絡 脾・肺 |
主冶 気を下し,痰を消し,霍乱肚痛を治す.消渇のものはこれを食うが宜し. |
品名 レモンノ皮(枸櫞)(ぶしゅかん) 気味 辛,酸 経絡 |
主冶 気を下し,心頭の痰水を除く.酒で煮て飲めば痰気咳嗽を治す.煎湯は心下気痛を治す. |
肉類
品名 あひるノ肉(家鴨)(鶩) 気味 甘,冷,微毒 経絡 |
主冶 虚を補し,客熱を除き,臓腑,及び水道を和し,小児の驚癇を療ず.丹毒を解し,熱痢を止める.頭に生じた瘡腫には,葱,豉と和して煮て汁を飲む.卒然の煩熱を去る. いづれも白鴨を用いる. |
品名 うこっけい(烏骨鷄) 気味 甘,平 経絡 |
主冶 虚労羸弱を補し,消渇,中悪,鬼撃,心腹痛を治し,産婦に益し,婦人の崩中帯下,一切の虚損の諸病,大人,小児の下痢禁口を治す.いづれも煮て食い汁を飲む.搗き和して丸薬にするもよし. |
品名 うしノにく(牛肉)(黄牛肉) 気味 甘,温 経絡 脾・胃 |
主冶 中を安じ,気を益し,脾,胃を養う.腰脚を補益し,消渇,及び唾涎を止める. |
品名 うしノちち(牛乳) 気味 甘,微寒 経絡 |
主冶 虚羸を補し,渇を止める.心,肺を養い,熱毒を解し,皮膚を潤す.冷補し,熱気を下す.蒜を和して前沸して食えば,冷気ゲン癖を去る.老人は煮て食うが益がある. 薑,葱を入れれば小児の吐乳を止め,労を補す.老人には粥に煮るが甚だ宜し. |
品名 うしノい(牛の胃) 気味 甘,温 経絡 |
主冶 消渇,風眩.五臓を補す.醋で煮て食う.中を補し,気を益し,毒を解し,脾,胃を養う. |
品名 うしノきも(牛の肝臓) 気味 経絡 |
主冶 肝を補し,目を明らかにする.瘧,及び痢を治す.醋で煮て食う. |
品名 うずら(鶉) 気味 甘,平 経絡 脾・胃 |
主冶 五臓を補し,中を益し,気を続け,筋骨を実し,寒暑に耐え,結熱を消す.小豆,生姜と和して煮て食えば洩利を止める.酥で煎じて食えば下焦を肥らせる.小児の疳,及び下痢五色を患うものは,毎朝これを食うが有効だ. |
品名 すずめ(雀) 気味 甘,温 経絡 心・小腸・腎・膀胱 |
主冶 冬三ヶ月間これを食えば陽道を起こし,人をして子あらしめる.陽を壮にし,気を益し,腰膝を暖め,小便を縮め,血崩,帯下を治す.精,髄を益し,五臓の不足の気を縮める.常にこれを間断なく食うがよし. |
品名 チーズ(酪) 気味 甘,酸,寒 経絡 |
主冶 熱毒に渇を止め,解散し,発利し,胸中の虚熱,身体,面部の熱瘡,肌瘡を除く.燥を潤し,腸を利し,腫を摩し,精血を生じ,虚損を補し,顔色を壮にする. |
品名 にはとり(鶏)丹雄鶏肉 気味 甘,微温 経絡 脾・胃 |
主冶 婦人の崩中漏下,赤白沃.神を通じ,悪毒を殺し,不祥を避ける.虚を補し,中を温め,血を止め,能く久しき傷瘡の瘥えぬものを癒す.肺を補す. |
品名 にはとり(鶏)白雄鶏肉 気味 酸,微温 経絡 脾・胃 |
主冶 気を下し,狂邪を療じ,五臓を安ずる.傷中,消渇.中を調え,邪を除き,小便を利し,丹毒風を去る. |
品名 にはとり(鷄の肪) 気味 甘,寒 経絡 |
主冶 耳聾.禿頭病で髪の落ちるもの. |
品名 にはとり(鷄の肝) 気味 甘,苦,温 経絡 |
主冶 陰を起こす.腎を補し,心腹痛を治す.漏胎下血を安ずるには,一羽分を切って酒五合に和して服す. |
品名 にはとり(鷄の卵)(鷄子) 気味 甘,平 経絡 |
主冶 心を鎮め,五臓を安じ,驚を止め,胎を安じ,妊婦の天行熱疾で狂走するもの,男子の陰嚢湿痒を治し,また喉聲失音を開く.醋で煮て食えば痢赤白久,及び産後の虚痢を治す.光粉と共に炒り乾かしたものは疳痢,及び婦人の陰瘡を治す.豆淋酒に和して服すれば賊風,麻痺を治す.醋に浸して壊れしめて疵カンに傅ける.酒にして用いれば産後の血運を止め,水臓を暖め,小便を縮め,耳鳴を止める.蝋に和して炒って用いれば耳鳴聾,及び疳痢を治す. |
品名 にはとり(鷄の卵白) 気味 甘,微寒 経絡 |
主冶 目熱赤痛.心下の伏熱を除き,煩満,欬逆,小児の下泄を止める.婦人の難産で胞衣の出ぬもの.いずれも生で呑む.醋に一夜浸して用いれば,黄疸の破れて大いに煩熱するを療ず.赤小豆末を和して一切の熱毒,丹腫,顋痛に塗るが神効がある.冬期の生みたてのものを酒につけて七日間密封し,取り出して毎夜顔に塗ればカンソウ,サ皰を去り,顔色を悦澤ならしめる. |
品名 にはとり(鷄の卵黄) 気味 甘,温 経絡 |
主冶 醋で煮て用いれば産後の虚痢,小児の発熱を治す.煎じて食えば煩熱を除く.練って用いれば嘔逆を治す.常山末を和して丸にし,竹葉湯で服すれば久瘧を治す.炒って油を取り,粉に和して頭瘡に付ける.発明 鶏子黄は気,味倶に厚い.陰中の陰である.故に能く形體を補するのだ. |
品名 にかわ(阿膠) 気味 甘,平 経絡 |
主冶 心腹内崩,極端に労して洒洒として瘧の如き状態となり,腰腹痛し,四肢酸痛するもの,婦人の下血.胎を安ずる.久しく服すれば身を軽くし,気を益す.虚男子の小腹痛労羸痩,陰気不足,脚酸で久しく立つ能はざるもの.肝気を養う. |
品名 ひつじ(羊肉)(マトン) 気味 苦,甘,大熱 経絡 脾・腎 |
主冶 中を暖める.字乳の餘疾,及び頭脳大風で汗を出し,虚労し,寒冷するには,中を補し,気を益し,心を安じ,驚を止める.痛みを止め,産婦を利す. |
品名 ぶた(豚肉)(豕)(豭猪肉) 気味 酸,冷 経絡 脾・胃・腎 |
主冶 狂病の久しく癒えぬを療ず.丹石を壓し,熱毒を解す.肥熱の人が食うに宜し. 腎気虚竭を補す. |
品名 ぶた(豚の脂膏、肪)ラード 気味 甘,微寒 経絡 |
主冶 地膽,亭長,野葛,硫黄の毒,諸肝の毒を解し,腸,胃を利し,小便を通じ,五疸,水腫を除き,毛髪を生ず.血脈を利し,風熱を散じ,肺を潤す.膏薬に入れれば諸瘡に主効がある.皮膚を悦くし,手膏として用いれば皹裂せぬ. |
品名 ぶた(豚の肝) 気味 苦,温 経絡 肝 |
主冶 切って生にて薑,醋で食えば脚気に主効がある.微し洩するものだ.先に利しつつあるものは服してはならぬ.肝を補し,目を明らかにし,肝虚浮腫を療ず. |
品名 ぶた(豚マメ)(腎臓) 気味 鹹,冷 経絡 腎 |
主冶 腎気を理し,膀胱を通ずる.膀胱水臓を補し,膝を暖め,耳聾を治す.発明 ・・・腎に虚熱あるものは食って宜いが,腎気虚寒のものの場合は宜きものではない.今は一般にこの意味に深い理解を缺き,往々にして豬腎を食って補の功があるものと考えているが,右の関係に慎重な注意を要する. |
品名 ぶた(豚の腸) 気味 甘,微寒 経絡 大腸 |
主冶 腸を潤し,燥を治し,血痢,臓毒を調える. |
品名 ぶた(豚ハツ)(心臓) 気味 甘,鹹,平 経絡 心 |
主冶 驚邪,憂恚.虚悸,気逆,婦人産後の中風,血気驚恐. |
魚介類
品名 あわび(鮑)(石決明) 気味 甘,鹹,平 経絡 肝 |
主冶 目障瞖痛,盲.久しく服すれば精を益し,身を軽くする. |
品名 いか(烏戝魚) 気味 酸,平 経絡 肝・腎 |
主冶 気を益し,志を強くする.人に益あり.月経を通ず. |
品名 うなぎ(鰻) 気味 甘,平,毒 経絡 肝・腎・脾 |
主冶 五痔,瘡瘻.諸蟲を殺す.湿脚気,腰腎間の湿風痺で常に水で洗うように覚えるものを療ず.五味を用いて煮て食えば甚だ補益する.諸瘡瘻,瀝,腸風を患う人は常食するがよし.発明 この魚には毒があるけれども,五味を以って羹に煮て食えば能く虚損,及び久病の労瘵を補す. |
品名 えび(乾蝦) 気味 甘,平 経絡 脾・肝・腎 |
主冶 蝦米(かべい): これを食えば腎を補し,陽を益す.鶯爪(あうさう):乳なきもの,及び乳病を治する蝦米酒.鮮蝦米一觔の淨肉を取り,搗爛らして黄酒で熱服する.少時して乳が催す.再び猪蹄湯を飲む.一日数回.その乳は泉の如くになる. |
品名 えび(すぢえび)(鰕) 気味 甘,温 経絡 脾・肝・腎 |
主冶 羹にして食えば鼈瘕を治し,痘瘡を托し,乳汁を下す.一定の方法に依って製したものは陽道を壮にする.煮汁は風痰を吐す.搗いて膏にして蟲疽に傅ける. |
品名 かき(牡蠣) 気味 鹹,平,微寒 経絡 心 |
主冶 傷寒寒熱,温瘧で洒洒たるもの,驚恚怒気.拘綾,鼠瘻,婦人の帯下赤白を除く.久しく服すれば,骨節を強くし,邪鬼を殺し,天年を延べる. |
品名 かつお(まながつお)(鯧) 気味 甘,平 経絡 胃 |
主冶 人をして肥健ならしめ,気力を益す. |
品名 かに(蟹) 気味 鹹,寒,小毒 経絡 肝・胃 |
主冶 胸中の邪気,熱結痛,喎隦,面腫.能く漆を敗る.これを焼けば鼠を招く.諸熱を散じ,胃気を治し,経脈を理し,食物を消化する.醋で食えばキ節を利し,五臓中の煩悶の気を去り,人に益あり. |
品名 くらげ(白皮子) 気味 鹹,濇,温 経絡 肝・腎 |
主冶 痰を消し,積を行り,帯を止め,風を袪る. |
品名 くるまえび(たいしょうえび)(海鰕) 気味 甘,平,小毒 経絡 脾・肝・腎 |
主冶 飛尸,蚘蟲,口中の甘チク,齲歯,頭瘡.疥癬,風瘙,身痒を去り,山蚊子の人の肉に入りたるを治す.その当初に食えば瘡が発して癒える. |
品名 こい(鯉魚) 気味 甘,平 経絡 脾・腎 |
主冶 煮て食えば,欬逆上気,黄疸を治し,渇を止め,水腫脚満を治し,気を下す.発明 時珍曰く,鯉は陰中の陽であって,その功は小便を利する特長がある.故に能く腫脹,黄疸,脚気,喘嗽,湿熱の病を消するのだ.鱠にすれば性が温になる.故に能く痃結冷気の病を去る.焼けば火に従って化する.故に能く風寒を発散し,肺を平らにし,乳を通じ,腸,胃,及び腫毒の邪を解するのである.按ずるに,劉河間は『鯉の水を治する,鶩の水を利するは,所謂その気の相感に因るものだ』といってある. |
品名 こんぶ(海帶) 気味 鹹,寒 経絡 肝・脾 |
主冶 分娩を催す.婦人の病を治し,また風を療じ,水を下す.水病,癭瘤を治するその功力は海藻に同じ. |
品名 わかめ(昆布) 気味 鹹,寒,滑 経絡 |
主冶 十二種の水腫,癭瘤,聚結気,瘻瘡.積聚を破る.陰キ腫を治するには含んで汁を嚥む. |
品名 しじみ(蜆) 気味 甘,鹹,冷 経絡 |
主冶 時気を治し,胃を開き,丹石薬の毒,及び疔瘡を壓し,湿気を下し,乳を通ず.糟で煮て食うが良し.生で浸して取った汁で疔瘡を洗う.暴熱を去り,目を明にし,小便を利し,熱気,脚気,湿毒を下し,酒毒目黄を解す.浸した汁を服すれば消渇を治す. |
品名 すっぽん(しなすっぽん)(鼈) 気味 甘,平 経絡 肝 |
主冶 傷中に気を益し,不足を補す.熱気,湿痺,腹中の激熱には,五味で煮て食う.微泄するものだ.婦人の漏下五色で羸痩するものは,常にこれを食うが宜し. |
品名 たつのおとしご(海馬) 気味 甘,温,平 経絡 |
主冶 難産,及び血気痛に主効がある.発明 時珍曰く,海馬は雌雄對をなし,その性温暖なるもので,交感の意味があるから,難産,及び陽虚,房中術に多く用いるのであって,蛤蚧,郎君子の功力のようなものだ.蝦もやはり陽を壮にするから,その性は同じものと見える. |
品名 たにし(ひめたにし)(蝸 ) 気味 甘,寒 経絡 |
主冶 燭舘,目を明にし,水を下す.渇を止める.酒を醒まし,熱を解し,大,小便を利し,黄疸,水腫を消し,反胃,痢疾,脱肛,痔漏を治す. |
品名 どじょう(鰌魚) 気味 甘,平 経絡 脾・肺 |
主冶 中を暖め,気を益し,酒を醒まし,消渇を解す.米粉と共に羹に煮て食えば,中を調え,痔を収める. |
品名 なまこ(海參) イリコ(干したナマコ) 気味 鹹,寒 経絡 心・腎 |
主冶 薬性考――虚火燥結には,木耳と共に切爛し,猪の大腸に入れて煮て食う.食物宜忌――味甘く鹹し.腎の経を補し,精髄を益し,痰涎を消し,小便を攝し,陽を壯にし,痿を療じ,瘡蟲を殺す. |
品名 はまぐり(文蛤) 気味 鹹,平 経絡 胃 |
主冶 悪瘡,五痔を蝕す.欬逆,胸痺,腰痛,脇急,鼠瘻,大孔出血,婦人の崩中漏下.能く煩渇を止め,小便を利し,痰を化し,堅を軟にし,口,鼻中の蝕疳を治す. |
品名 ふぐ(めふぐ)(河豚) 気味 甘,温,毒 経絡 |
主冶 虚を補し,湿気を去り,腰脚を理し,痔疾を去り,蟲を殺す. |
品名 ふぐ(めふぐ)(河豚) 肝及び子 気味 大毒 経絡 |
主冶 時珍曰く,呉地方では,その血は毒があり,脂は舌を麻せしめ,子は腹を脹し,眼は眼華を生ぜしめるというので『油は麻し,子は脹し,眼睛花すと』いう語がある.しかし,江陰地方ではその子を盬漬にし,その白を糟漬にして埋めて置き,それを調理して食う.諺に『命を捨てて河豚を喫う』とはこれであろう. |
品名 ふな(鯽魚) 気味 甘,温 経絡 脾・胃・大腸 |
主冶 五味と合わせて煮て食えば虚羸に主効がある.中を温め,気を下す.発明 震亨曰く,諸魚は火に属するものだが,鯽だけは土に属し,胃を調え腸を実するの功がある.多食してはやはり能く火を動ずる. |
調味料
品名 がんえん(岩塩)光明盬 気味 鹹,甘,平 経絡 |
主冶 頭痛,諸風,目赤痛,眵涙多きもの. |
品名 ごま油 白油麻 気味 甘,大寒 経絡 |
主冶 虚労を治し,腸,胃を滑し,風気を行り,血脈を通じ,頭上の浮風を去り,肌肉を潤す.食後に一合を噉い,終身輟めぬがよし.又,乳母に与えて服まさすれば孩子が永く病を起こさぬ. |
品名 さけのかす(糟) 酒糟 気味 甘,辛 経絡 |
主冶 中を温め,食物を消化し,冷気を除き,腥を殺し,草菜の毒を去り,皮膚を潤し,臓腑を調える. |
品名 はちみつ(蜂蜜) 気味 甘,平 経絡 |
主冶 心腹邪気,諸驚癇痙.五臓を安じ,諸不足に気を益し,中を補し,痛みを止め,毒を解し,衆病を除き,あらゆる薬を和す.久しく服すれば,志を強くし,身を軽くし,饑えず,老いず,天年を延べ,神仙となる. |