整体指導体験シリーズ1
感応道交氈@ーー野口整体・身体文化教育道場 
         事例を通して知る野口整体の実際

野口整体 気・自然健康保持会 啓哲塾編

(目次)

はじめに  

野口整体 気・自然健康保持会 について

第一章  内観・心と体を整理するーー自分自身を開拓する
     神谷晴奈さんの体験談を聞く(2002年10月6日 東京活元指導の会にて)

第二章  セルフリードとアザーリード  山本英夫

第三章  編集職人TOMOさんの整体体験記

第四章  「人生が変わったときーー整体歴1年半、神谷晴奈さんに聞く」を読んで   八木達也さん

編集後記 編集職人TOMO

野口整体 気・自然健康保持会 案内


     『感応道交I』は、個人指導(整体指導)に興味がある、あるいは個人指導を受けてみようとお考えの方には、まず読んでいただきたい一冊です。第1章から3章までの三人の方の体験談は、金井省蒼先生の「個人指導(整体指導)」というものをイメージすることの助けになることと思います。特に、初めて個人指導を受けられる方は、前もってお読みになって、しっかりとイメージを持って指導に臨んでいただきたいのです。

     ここで少し本書の内容をご紹介しましょう。「はじめに」(金井省蒼先生)と第三章「編集職人TOMOさんの整体体験記」からの抜粋です。どうぞご覧下さい。


    「はじめに」より 

     ……そして、ようやくここ数年に至りまして、私なりの野口整体に目覚めることができました。「金井省蒼の野口整体なるもの」として世間に問うことができればと思いまして、本書出版に着手した次第です。野口整体は、他の整体とは根本的に異なりまして、単なる整体術ではないのです。宇宙や生命の根源であるエネルギーに焦点を合わせ、私たち人間においては、「その裡(うち)なるもの」という表現をされることが多かったのですが…、その「裡(うち)なるもの」を、「裡なるもの」たらしめるための操法として野口整体を開発されたのです。

     ですから、もともと在る生き生きとした、「裡なるもの」を、そのようにせしめる操法ということですので、操法を受ける方の在り方も大変重要になってまいります。こちらは、そのご本人の心の在り方、気の在り方を受けて、ガイドしてあげたり、促進してあげるためのあらゆる操法を試みるわけです。

     そして、どれだけ相手の身になって対応できるか、どれだけ相手の心の裡をつかんだ上で対応できるかということがこちらの課題になってきます。そのために、操法を始める前から、お迎えし、受け入れる準備を進めていくのです。操法を受ける方も、受ける準備を心身ともにしていただくとともに、こちらもその準備をして、それで具体的な道場での操法の時を迎えるということなのです。

     そして、お互いの気の交流の融合を図りながら心身をよりよい状態にもっていくというようにするのです。それはまさに「感応道交」という言葉の世界でもあります。お互いの感性が響き合い、気の流れや命の流れが交わり、渦巻きというか、竜巻きのようになって、心身の状態を整えて行くというイメージであります。

     お互いの気がすれ違っていては渦巻きは起きません。操法を受ける方が、良くなりたい・良く生きたいという気持ちで、こちらにぶつかってきてくれる、気と気のぶつかり合いが大事なのです。ですから、求心力をもった心の姿勢が大事だということです。こちらも、その求心力を察して、気を合わせていくようにすることで、「感応道交」し、渦巻きが起こるのです。……


    第三章 「編集職人TOMOさんの整体体験記」 

    (27ページより)

     整体指導を受けて、心や体、あるいは生きる姿勢がどのように変わったかを語っていただきます。
    TOMOさんは、フリーライターをなさっている、東京都在住、四十代の女性です。永沢哲氏の『野生の哲学』で野口整体に出会い、当会のホームページをご覧になって、昨年(2002年)5月、初めて東京の活元指導の会に参加されました。その際に衝撃的な体験をされ、その後すぐ、個人指導(整体指導)にも通われるようになりました。以後一年余りの間、ご自分の心と体に積極的に取り組まれておられます。

    (55ページより)

    腰を意識する

     その日の整体指導がとても実り多かったのは、「腰」の感覚が初めて体感として感じられたことでした。生まれて初めて、といったら大げさかもしれないけれど、腰というのは、こうやって体を支えているんだということを意識しました。腰が決まると、自然にお腹に呼吸がいって、肩の力が抜けるという感覚…。「ああ、やっと…」と思いました。日本舞踊をお稽古していて人より腰を意識する環境にありながら、今までの整体指導で、何度も「腰」を教えてもらっても全然ピンとこなかったからです。
    ……

    (61ページより)

    ●病むことは力

     本当に不思議なことだと思うのですが、体が整って腰ができてくると、とても難しくて困難だと思えたことにしっかり取り組むことができ、自分にとって最も大切なことを優先してきちんと取り組んでいくと、心や気というものが澄みわたってきます。体と心と気は一つという感覚です。
     あっ、気ってこういうものなんだあ、と気づくことも多くなってきました。指導を受けて体に感じる気だけでなく、人や物事が動いていく気運のようなものも。野口整体の愉気とは、ただ単に体を治すためだけでなく、もともと人間にそなわっている良い気を交換し合うことを広く指しているのだなと思いました。……