エンジン始動

 


 

 さて、ジェネレーターカバーの脱着に手間取っていた私は、会社からスクレーパーを持ってきて再挑戦いたします。

 カバーの合わせ面にスクレーパーを当てて、コンコンコンと軽く叩いていきます。いろいろな方向からコンコン叩くと、少しずつカバーがせり出してきました。更に慎重にスクレーパーを当てていくと、ポコッとカバーが外れてくれました。こちろん、ガスケットを切りながら。

 出てきたジェネレーターは、新品と見間違えるほどピカピカ状態です。多少のサビはあっても良さそうなものですが、ほんとピカピカなのです。

 そのジェネレーターの取り付けボルトに工具を取り付け回してみます。

 シュッシュッシュッと、適度な圧縮圧を感じさせながら、クルクルと回ってくれます。
回す際に、コツンとかカツンとか変な感触はありません。本当に、スムーズにクルクル回ってくれます。

 「おっ!いいねぇ〜、いい感じだねぇ〜」

 と、気分がよくなった私は、キャブのオーバーホールにとりかかるのでした。

 

 

 さて、外したキャブのネジを取り外していきます。いくつものボロキャブをばらした経験上、絶対に硬く固着しているものと、覚悟していました。

 慎重にドライバーを当てて、グッと回します。

 スルッと、ネジは簡単に緩みました。他のネジも慎重に回しますが、スルッスルッと緩んでいきます。
あっけないほど簡単に、ネジが緩みます。ここまで放置されていたバイクのキャブが、こんなに簡単にばらせることは、今までになかったことです。

 軽く緩んだネジを外し、フロート室を覗きます。ネジは緩んだものの、フロート室はあの赤茶けたガソリンが混入し、見るも無残な状態にあると、覚悟をしていました。

 が、なんとここもピカピカ!腐食などまったくありません。

 「えっ!ほんとかよ!ここまでピカピカだとなんか気持ち悪いな〜」

 と、思わず言ってしまうほど、ピカピカなのです。

 冗談で、このバイクは走りたがっていると言っていましたが、なにか本当にそんな気がしてきて、ちょっと怖くなりました。そのくらい、ピカピカなのです。

 

 

 これが外したキャブの内部です。もちろん、オーバーホールする前の状態です。
本当に、綺麗でしょ。ガソリンが固着したような赤茶けた跡も、まったくありません。フロートの動きもスムーズで、このまま使えそうな状態でした。

 とは言うものの、このまま使うわけにもいかないので、オーバーホールします。
ジェット類を外し、灯油の中にドブ付けです。この状態で一晩置きます。キャブ内のガソリンの通路やエアーの通路に、灯油をいきわたらせる為です。ジェット類の詰まりは意外と簡単に取れますが、キャブのエアーの通路などは、なかなか取れません。ここはゆっくりと慎重に、作業していきましょう。

 

 

 綺麗に見えたキャブも、一晩おくと汚れが浮き上がってきました。これを、ゴシゴシと真鍮ブラシで磨き、キャブクリーナー等で、エアー通路を掃除していきます。

 ジェット類もキャブクリーナーで掃除し、エアーブロウします。ここで改めてビックリ!メインジェット、スロージェット類も、詰まっていませんでした。メインジェットが詰まっていないことはあるのですが、スロージェットが詰まっていなかったのは初めてです。

 キャブ本体、ジェット類をエアーブロウし、組みつけていきます。このときの注意は、必ず元のキャブに取り付けるということ。特にフリーピストンは、必ず元のキャブに取り付けます。さらに今回のV型エンジンは、前後でジェットの番数が違うことがあるので、気をつけなければなりません。

 もちろん私は、ちゃんと元のキャブに組み込んだのですが、前後のジェットの違いなどは確認しませんでした。ま、私の整備は、そんなもんです。

 

 

 これがオーバーホールしたキャブです。上につくアルミのお皿は、キャブの取り付けステーを兼ねるもので、これに付けないと、エンジンに取り付けられません。今流行の、エアボックスのような形状に、「13000回転以上回すぞ〜!」というホンダのエンジニアの意気込みが感じられますね。

 さて、これをエンジンに取り付けます。

 これがまたやっかいな仕事で、Vバンクの中に取り付けるのですが、なかなか上手く納まってくれません。
ここは、力ワザです。インシュレーターを緩め、グリグリと押し込んでいきます。ポスッと、引き込まれるように収まったら、定位置に来た証拠です。インシュレーターの収まり具合を確認して、固定していきます。

 さらに厄介な、アクセルワイヤーや、チョークワイヤーを取り付けていきます。
いやぁ〜、V型エンジンは大変ですね。正直、これでエンジンがかからなかったら、このレストアを終了したいくらい、面倒でした。

 ここでちょっと戻ります、アクセルワイヤーの整備です。

 せっかくキャブが外れているのですから、ここでアクセルワイヤー、チョークワイヤーを整備します。と、言っても注油して動きをズムーズにするだけなのですが。アクセルワイヤーは、グリップ部を外し注油し、チョークワイヤーも同じく注油していきます。これを忘れると、後で泣くんですよね。

 

 

 これがキャブを取り付けた状態、キャブはまったく見えません。なんともガッカリな仕上がりです。

 ここまできたら、エンジンを始動したくなるのが、心情ってもんでしょう。一気に、始動まで突き進みます。

 さて、ジェネレーターカバーを元に戻し、プラグを掃除します。アクセルワイヤー、チョークワイヤーの動きをチェックします。ガソリンを隣にあるSRXから少し拝借します。

 小さなオイル注油用のボトルを利用して、キャブにガソリンを流し込みます。少しずつ、燃料ホースから流し入れます。ホースからあふれてきたら準備はOk、バッテリーを取り付けセルスターターを回すだけです。

 キーをONにします。

 インジケーターが点灯しません。

 「あれ?」と、バッテリ端子を触ったり、いろいろチェックしてもわかりません。

 「あ〜ぁ、ここで終わったか。意外な結末だったね。」

 と諦めかけた時、

 「ピカッ!」

 とオイルランプが点灯しました。どうも、メインスイッチの接触不良のよう。二度三度メインスイッチを回すと、明るく点灯するようになりました。

 さて、いよいよセルスイッチを押します。

 キュルキュルキュル、、、、キュルキュルキュル、、、、

 なかなかかかりません。チョークを思いっきり引くと、

 ボッボッボッ

 とかかりそうになるものの、ダメみたいです。

 チョークを引くとかかりりそうになるってことは、ガスが薄いってこと。やっぱりエアークリーナーボックスも取り付けないといけないみたいです。
 さっそく、エンジン始動を中止して、エアークリーナーボックスを取り付けます。

 

 

 エアークリーナーボックスを取り付けて、改めてエンジン始動です。

 キュルキュルキュル、、ボボボボボボウォン!

 エンジンは、あっけないくらい簡単にかかってくれました。キャブのオーバーホール後はこんなもんです。

 しばらくアクセルをひねってアイドリングさせます。始めは、ボボッボボッと不安定な回転だったものが、だんだんボボボボボと安定していきます。

 ふとタコメーターに目をやると、動いていません。

 「あ〜ぁ、やっぱり電気系統はダメかなぁ」と思っていると、少しずつ動きはじめました。
なんだか、眠りから覚めると言った感じです。ジワジワ動き始めるタコメーターの針が、眠っていた年月の長さを語っているようでした。

 軽くアクセルとあおってみます。

 ウォン!ウォン!ウォン!

 と、エンジンもまた永い眠りから覚めたかのような、ゆったりとした回り方です。

 私はエンジンをいたわるために、これ以上のアイドリングは避け、次のレストアの段取りを考えることにしたのでした。

 

エンジン始動ムービー

 

 今回は初の試みとして、ムービーを掲載したします。上の文字をクリックしてください。ウインドウズメディアプレーヤーで再生されると思います。お楽しみください。

 

さてさて、幸か不幸か、エンジンが始動してしまいました。

これから本格的なレストアに向けて、不具合部分の洗い出しに入ります。
が、8月は九州ツーリングもありますので、当分はこのまま放置することになります。

しばらくは夏休みだと思ってください、って休み過ぎですが(笑)。

 

第四回  エンジン始動! 完