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和平復興関連 No.90


2005‐7‐15
Kentucky fried opinion
ケンタッキー・フライド・オピニオン


 ロサンゼルス・タイムスがウェブ版July 7, 2005/latimescomでスリランカを論説した。数十年間にわたる民族テロの横行にもかかわらずスリランカは民主主義を守りつづけ、独裁専制から民主政治へという路線を標榜する他の南アジア各国の手本となっている、という書き出し。警察・軍隊・市民へのテロが市民生活の土台を震撼させたが、昨年12月の津波災害が一時的にではあるが政府とテロリストの協調をもたらした、と早口で情勢を一瞥。だが、その協調は夢に消える、と書き加えている。
 そして、こうも書いている。ノルウエーはタイガーのテロルの資金源→ノルウエーの和平交渉は成功→政府とテロリストの間の津波支援金の分配にノルウエーが仲介を果たし→その配分によってテロリストは支配地の足場を強固にし→スリランカは国家の安全を失う、と。まるで「ケンタッキー・フライド・ムービー」か、JTの連鎖コマーシャルか、めまぐるしく情景を並べ立てる。そして、「政府は打つ手を使い果たした。一方、タイガーは津波資金の配分を政府の保証のもとに受け、ノルウエーの仲介のもとに恒久的な停戦を政府と結ぶ」と結論付けている。状況はテロリストに優位、というのが論調だ。
 
 11日、元在スリランカの米国大使テレシタ・スキャファーは米国が独自にLTTEと接触を持つ用意があると示唆した。
 LTTEをテロリスト集団と規定している米国はその規定のために外交に支障をきたすというのがその理由。これもケンタッキーな意見だ。この見解にはすでに、米国の二枚舌外交であるという冷めた批判が複数の批評家から出されている。


米国、P-TOMSから撤退

 スリランカ政府がタミルタイガーと協調して津波援助資金を分配するのであれば米国は援助資金を引き上げると8日、米国がプレス・リリースしたことを共同通信などが報道した。
 P-TOMSに賛同していた米国は8日、在コロンボ大使館を通じて法的制約という理由でP-TOMS信託基金には賛同できないという声明を発表、同時に他のドナーはこの機構に参加することを期待すると述べた。しばし、精彩を欠いたタミル・ニュースがかつてのスタイルでこの事態を詳細に報道している。
 米国がP-TOMSから距離を置く態度を示した明確な理由は語られていないが、LTTEをテロリスト名簿から外せない米国はこの行動を取らざるを得なかったと思われている。
 P−TOMS撤退のコメントともに、米国はすでに1億3千万ドルをNGOなどを通じてスリランカの津波被害復興に当てていると米国大使館は述べている。


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