資料 / 外務省 日本政府の声明 スリランカ和平について 平成15年5月15日付けhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/srilanka/f_kaihatu/seimei_wahei.html
  1. 日本政府は、タミル・イーラム解放の虎(LTTE)が表明したと報じられている、本年6月9、10日に開催予定の「スリランカ復興開発に関する東京会議」への参加に関する立場に落胆を感じている。
  2. 東京会議は、多数の国および国際機関を集めた閣僚級の会議であり、世界銀行およびアジア開発銀行、国連システムの尽力により、同会議に向けた準備が既にハイ・レベルにまで上げて進められている。

  3. 5月7日、明石康日本政府代表はLTTE指導部と会談し、東京会議は、スリランカにおける和平プロセスを加速させることを目的として、スリランカ全体、特に内戦で荒廃した北・東部の復興開発に向け、国際社会が一致した強い決意を表明するこれまでにない貴重な機会を提供するものである旨説明した。

  4. また、この関連で、今般のスリランカ訪問中に、明石政府代表が、LTTE側より提起された具体的懸念についてスリランカ首相と詳細な議論を行ったことを指摘したい。

  5. こうした状況及びスリランカ全体、特に北・東部への支援に向けて生まれた国際社会のモメンタムを踏まえれば、日本政府は、スリランカ政府およびLTTE双方の積極的な参加の下、東京会議を予定通り開催することが最も適当と考える。

  6. 日本政府はLTTEがその立場を速やかに再考し、この機会を逸しないことを強く希望する。
    ※ 1はLTTEが東京会議の延期を要望し、不参加を表明したことを指し、2は日本が開催する東京会議は権威ある会議であることを示し、3・4は東京会議提起者の日本に落ち度のないことを表し、5は東京会議に参加すればLTTE側に復興支援の道が開けることを言い、6で不参加の意思を翻すよう促した。東京会議開催1ヶ月前の、この慌しい声明は東京会議の破綻を会議開催前に日本が強く意識していたことを表す。LTTEが欲しているのは「平和の分け前」でなく、言語と宗教に固有の文化を持つタミルの自立である。同時にシンハラが欲するのもシンハラの自立である。両者の和平を築こうとしたはずの日本政府の声明はその重要な問題点に触れていない。      (かしゃぐら通信2006-09-19)