裁判傍聴の感想

 

 最初に入ったのは民事裁判だっ た。思っていたピリピリとした雰囲気ではなく、よくいえば和やか、悪くいえばダラダラと裁判は進んでいた。被告ははっきりとした回答ではなく、長々と事実 関係を主観的にしゃべっていた。途中、裁判長が「はい。」か「いいえ。」で答えてくださいと指摘。言い訳のような付け加えをしようとするとさえぎって、 「はい、次の質問どうぞ!」と審議をなるべく早く終えられるようにしていた。また、何度も「そこは事実関係に争いがないから!」と、必要のないことに対し ての質問に注意をしていた。少しでも言っていることが変わると厳しく問いただされて、声を被告があらげると、「落ち着いてください!」といわれていた。裁 判官と弁護士はよく状況とか、裁判のポイントが分かっているけれど、被告はただふつうに答えているだけという気がした。

 次に入ったのは刑事裁判で、先 ほどの民事裁判に比べれば緊張感があった。腰縄に手錠をされていて、普段見ないものだからか、とても胸が痛かった。拘束されるのはつらいし、拘束されてい る姿を見られるのは恥ずかしいだろうなと思った。傍聴席には母親らしき人がいて、手錠をかけられた子どもを見るって辛くてやりきれないだろうなと感じた。 まだ刑は決まっていないはずなのにと思った。最初には、しっかりと黙秘権があることを説明していた。ささいなことだけれどとっても大事なことだと改めて実 感した。被害者の届けなどの文章を読み上げる検察官の声はとても早口ですべてを聞き取るのは困難だった。おそらく法廷にいた皆そうだっただろう。届けの最 後には「厳しく罰してほしい。」とどの被害者のものにもあったのが意外だった。事実関係しか書いてはいけないものだと思い込んでいた。

 民事、刑事どちらも判例を読む のとはちがって、かなりリアルに事案を感じた。人と人が争っていて、人が判断を法に基づいて下すのだと、改めて実感。刑事のほうは、真剣に人の人生がか かっている重みを感じた。被告人の顔が直接見られるのは、裁判は公開すべきだと思うけれど、やっぱり身内や、本人にとっては、辛いのではと思った。民事 は、たくさん質問されるけれど、いいたいことはあまり言えないのだとおもった。今、裁判は身近なものではないけれど、これからだんだんと身近なものになっ てくるだろう。裁判もせっかく公開されているのだから、皆一度は、自分に直接関わる問題として考えるきっかけとして、見るべきだとおもった。