ミカドアゲハ・旅立ち
事の発端は家のすぐ前の路上で見つけた蝶。羽化したばかりで飛ぶには力不足のありさま。
その写真はこれ。その羽の螺鈿の光沢に目を奪われたことでした。
近くの木に預けるとてっぺん迄登って行き休んでいました。
羽が乾けばすぐ飛び立つと思っていましたが暗くなってもじっとしたまま。
怪我でもしているのかと心配でしたが翌朝には姿が見えなくなっていました。よかった。
この蝶、ミカドアゲハ。食樹はオガタマ。
家の近くに氏神様の朝峰神社があり境内に古いオガタマの木があります。
この蝶を増やしたくてもう20年以上も前に種を拾い、苗木をあちこちに植えたことでした。
右が庭に植えたその内の1本。場所が狭く剪定するので樹形が悪い。写真は羽化当日の新芽の様子。
左は境内のオガタマ。3月に咲く清楚な白い花です。
去年の2014年6月12日、幼虫を見つけました。この葉はミカドアゲハの幼虫しか食べないそうです。期待が膨らみます。
2日でこんなに成長します。
困ったことに天敵がいました。最初は雀対策としてネットを被せましたがより小さい蜂に襲われ不織布で囲う。
余談ですが、右に見える建物に陶芸用のガス窯があります。煙突が見えるでしょうか。
最後はさらに小さい蟻の被害にあって樹上での保護は諦めました。自然界の厳しさに納得。
以下、こんな調子で徐々に成長します。2日置きくらいに写したつもりが、定かでない。忘れてしもーた!
サイズを測ったら5cm足らず。ただし月齢は? 最後はここで蛹になるつもりか、糸で固定した。
こんなところで蛹になっても蟻の餌食です。
この場所での自然繁殖は不可能、と判断して飼育箱に保護することにしました。これが7月8日のこと。
後から分かったことですがこの考えは間違っていました。そして自然界のたくましさに感心しました。
すぐに羽化すると思いきや音無しの構えのままで今年2015年を迎えました。
生きているのか死んでいるのかも分からず。枯れ葉が下に落ちるとまずいと思いなんとか補強。
自然界ならすっかり枯れた葉と共に地面に落ちて、と考えるとなんだか不自然で不格好。
ところがここで不思議なことが起こりました。外にある散水栓の箱の中にもうひとつの蛹が現れたのです。
3月22日のこと。冬の間地下で寒さを凌いでいたのか、這い出してきてここで蛹になったのでしょう。
さっそく飼育箱に保護しました。そして今まで飼っていた蛹が生きていることがわかり安心しました。
4月27日の朝9時半、待ちに待った変化がありました。蛹が黒ずんでいることに気づき目が離せません。
羽化が始まりました。オガタマの木の新芽が伸びる頃を見計らってするなんて驚きです。
それも2匹が申し合わせたかのように同時ですからね。
近くの枝に移そうとして出した指を掴む力が以外に強くてなんだか安堵しました。
羽が徐々に成長してきました。この間約40分。
今日はテニスの同好会の日。羽化の様子が落ち着いた10時過ぎに家を出て用を済まし、
急いで戻ってきました。静かに羽を乾かしている様子にひと安心。
そして体が整ったようです。旅立ちの風を待っているのでしょうか。午後3時過ぎです。
午後6時、大空に舞う時がやって来ました。もう1匹の方、1年前からの方はぶら下がったまま
殻から出て休憩したのち肢を離して下に落ちると同時にあっさり飛び立って行きました。
タイミングが合えばこんなに時間はかからないと思います。もたもたしてると命に関わる問題だし。
動画(1分39秒)です。
思いがけなく2匹の成長を見届けることが出来て1年待ったかいがありました。
以上、小学生に戻っての理科の観察記録でした。
追記、
嬉しいことに2016年7月、産卵にやってきたミカドアゲハを捉えました。