御家人斬九郎 第二シリーズ
第一話「初春火の用心」
第二話「居残り」


渡辺謙さん庵トップへ  感想は掲示板へ  斬九郎を極める

■第一話「初春火の用心」■

■ゲスト出演 阿部寛 坂上忍、長門裕之 ■監督 三村晴彦 ■脚本 金子成人

■あらすじ■
本所・深川一帯で火付けが横行、夜回りが殺される。斬九郎はある夜火付現場を目撃。犯人は頬に
傷のある男。斬九郎は夜回りを頼まれる。麻佐女さまが「かどわかされ(自称)」たり、斬九郎に
蔦吉争奪戦ライバルの音吉(阿部寛)が現れたりして斬九郎はまたもや事件解決に奔走。

■かず4戯言■
待望の「御家人斬九郎」続編放送!初回放送のこの日は、謙さんフジテレビ生番組(めざましテレビ
は見逃しましたが、「おはようナイスディ」、「笑っていいとも」、「ビッグトゥディ」)行脚が拝見できましたw
ビッグトゥデイでは岸田今日子さんとお二人でご登場。撮影秘話や微笑ましい先輩後輩像が垣間
見れて幸せでしたわ。
「作品初回に火事シーンを放映するとその作品は当たる」というジンクスがあると聞いたのですが
その意図もあっての今回の題材だったのでしょうか?その迷信の真偽、制作側の意図はともかく、
景気もよく、気合入ってるなあ!と思いました。斬さま@謙さんは火の中撮影大変だったと思います
が見応えありました!
しかし、斬さまは毎シリーズ10月スタートか1月スタートで、お正月を挟んでいるので、その頃になる
と特に斬さまが恋しいですね。お正月ネタも多い気がする。(あと年の瀬にかけとりに追われてる
イメージもあるけど 爆)

斬九郎はシリーズ全話好きですが、中でもお気に入りの一話。阿部ちゃんも好きな俳優さんの一人
で、謙さんとは「仕掛け人藤枝梅安」の梅安さん&小杉さんコンビ復活が拝めて楽しかったですw 
しかも全然キャラが違う←当たり前。
中でも「八幡堀での初対面対決モード、そこへ蔦ちゃん登場シーン」と、「後日音吉に呼び出されて
「おまえさん、一体蔦吉の何なんだ」と問いただされて、斬九郎がはぐらかすシーン」は大好きです♪
(きっと乙女ビジョン?笑 後年ロケ地巡りで八幡堀に行った時はあのシーンがここでっ!と興奮して
いたのは言うまでもございません)

それにしても蔦ちゃん・・・第一シリーズ第一話でも既にかわいそうな身の上話暴露されてた(実父が
濡れ衣で過去に自害している)のに養父まで・・・!! あんまりだ!しかし蔦吉養父の野辺送り映像も
「当時の葬列ってこんな感じだったのかなあ」と思わせる丁寧な作り方にはいつもながら感心します。

斬九郎全シリーズ中でも名シーンの一つと思われるのが、「雪の中傘をさして芸者姿の蔦吉と、笹を
傘代わりにやってくる斬九郎が橋の上ですれ違うシーン」でしょう。
蔦吉の傘と襦袢の赤さと雪の白さの対比が美しく、養父を亡くした蔦吉を励まし慰めるかのように
茶化す斬さまの優しさと本音が見え隠れ・・・台詞も意味深で女心をくすぐるので(笑)書き留めておき
ませう。

斬「座敷・・・出てんのか・・・」
蔦「綺麗なおべべ着て踊ってた方が気が紛れまして・・・」
斬「大変だったな・・・その・・・」
蔦「時々泣いてます・・・ あたしは知り合いがたくさんいますから 淋しい時はそういう人に会いますよ」
斬「そうだな・・・それに おまえさんにひそかに想いを寄せてる奴もいるからな」
蔦「ふふっ 冗談ばっかり」
斬「笑ったな。 笑ったら一安心だ。 それじゃあな」
蔦「あの・・・」
斬「ん」
蔦「あたしに想いを寄せてるってそれは・・・」
斬「・・・さてね」

日頃、面と向かっては頭上がらないくせに、麻佐女誘拐を知った時の斬さまの取り乱しっぷり、母を愛
してるのね〜って感じられてよかったですな。その後の救出劇も♪麻佐女さまは自分が誘拐された
自覚がなかったようですが。
幽閉されてるところでまで饅頭食べてたね。そしてこのお話、全シリーズ50話中2回しか面識のない
はずの蔦ちゃん&麻佐女さまの初対面シーンだったわけですね。その後麻佐女さまからも蔦ちゃん
からも「私を助けに来たあの芸者あれは一体何者だい?」とか「おふくろさま何か仰ってました?
私のこと」とか聞かれてるのにまともに答えられないのはマザコン独身男の悲哀か。(爆)
不器用な人だ。

そしてラスト、腕を痛めた音さんに代わって火消しの纏を振るう斬さま。一瞬ためらって蔦ちゃん
でなく音吉に腰の刀を預けるシーンが、麻佐女救出を手伝ってくれて少し心を許してくれた音吉に
対しての信頼感のようなものを感じました。養父の墓参りをする蔦吉の前に現れる斬九郎も、
手向けの花から登場する映し方が印象的でしたw
それにしても長門さん・・・腹に刀刺してから喋りすぎでは・・・(禁句)

'97/1/8 放送       2003/5/3 脱稿 



■第二話「居残り」■

■ゲスト出演 藤吉久美子、鷲生功、広岡由里子、河原崎健三 ■監督 井上昭 ■脚本 金子成人

■あらすじ■
佐次たちと吉原で遊んだはいいが金が無く斬九郎が居残りに!薪割り、膳運び、拭き掃除、文の
代筆と甲斐甲斐しく働き、すっかり女郎たちのアイドルに。道中の朝霧太夫を斬りかかった男から
守る斬九郎。「内密の探索」で伝三郎たち町方も動き出すが、裏には朝霧に斬りかかった男と、
朝霧を身請けしようとする藩家老の関わりが。花街の花魁と藩勘定方であった男の悲恋の物語。

■かず4戯言■
まわりでも評判の良いこのお話。しかし冒頭。「吉原で遊んでた」という設定の割に女抱いてたという
より文字通りどんちゃん騒ぎしてたようにしか思えない(そういう意味ではストイックな)斬さま。笑 
しかも一人で遊んでたわけじゃないのになんで斬さまだけ「居残り」・・・ひでぇ。
でも居残り残さん、まんざらでもなさそうだったよね。楼主(河原崎建三)とも仲良くなってたし。
遊女たちの間ですっかりアイドル化してたし。爆 吉原が今回の舞台なのに相変わらず濡れ場は
一切なく、むしろ斬さまがまた薪割り時にふんちらしつつもろ肌脱いでサービスしてました(爆)

細かい仕草で言うと、朝霧を助けて、「玉木楼の居残りよくやったぜ!」と言われてニッコリ笑う
斬さまの笑顔とかも好きです。そりゃ女郎の間で斬さま人気もあがるわな。
斬九郎が朝霧に酌をする時に斬りかかってきた侍のことで小声で探りを入れるシーンもイイ。
実はこの回の台本持っているのですが、微妙に違う台詞なのは謙さんたちのアドリブでしょうか。
例えば「斬さん、まさか町方に追われてるってことは?」と言われての斬さまの
「ばれたか」
大好きですw
「ばれたかって・・・斬さん!」そりゃ楼主もあせるっての。(脚本は「ばれたか」ではなく「ないない」)
あと西尾さま極内密の探索で吉原居続けと聞いて
斬「お役目で吉原に居続け、いいご身分だねえ。るい殿は知ってんの?」
伝「馬鹿を言うなっ!知るわけないだろっ!」

も脚本にはありません。この台詞もくすっと笑えますよね〜(以降 赤字は脚本にない台詞)

しかし・・・斬九郎の居所を佐治から聞き出すために麻佐女さまが西尾夫人るいどのたちと打った
芝居がわざとらしくて笑える・・・麻佐女さま、仮病の床の声はムーミン風でした 笑

「道中は止めた方がいいんじゃねぇか」と朝霧に助言しにきた斬九郎の登場の仕方も、朝霧の見ている
鏡越しってのも注目。

そして斬さま蔦ちゃんカップルファンの見所は、朝霧の身代わりを蔦吉に頼むシーンですね。
蔦ちゃんの髪結いもいつもと違ってかわいいですよねw 呼び出された時の頭巾姿もかわいかった!
斬「この通り!大沼たえどの!」
蔦「こういう時だけ本名で呼ぶのやめておくんなさいましよ!」

蔦「あたしが危ない目に遭うのはいいって料簡なんですね?」
斬「お前さんには小太刀の腕があるよ 
たまには修羅場もいいんじゃねえかなと思ってさ」
蔦「・・・(鋭い眼差し)」
斬「冗談だよ。」
この部分も脚本にありません。ニコリともせずのやりとりが爆笑。
斬「お前さんの命は・・・どんなことがあっても守ってみせる」 

若村さんの花魁姿も見てみたかった気もするけれど、道中したのが身代わりの蔦吉だと思ったら朝霧
本人だったと知った時の斬さまの表情もイイですよね。
そして事件解決後の屋台で杯をかわす二人のラブラブっぷり(「どんなことがあってもお前さんの命は
守る」って言ったよね〜みたいな)も良い。
朝霧と酒井の悲恋にしても斬九郎に情の湧いていた(?)小鶴(広岡由里子)の境遇にしても、花街の
女たちの切ないお話でしたね。酒井に斬りかかられて「一緒に死のう!」と叫んだ朝霧も、ラストの花魁
道中で未練を断ち切るかのように酒井の手ぬぐいを落とす朝霧と、それを見守り小鶴と別れをつげる
斬さまも哀愁漂ってました。「御家人斬九郎」って本当にバリエーションに富んでいて、ラストで楽しい
気分になれる時もあれば、少し淋しい気分になる時もありますよね。今回も悪者(藩家老)は捕まったけれ
ど結局酒井は生き残っても、朝霧と結ばれることは叶わず、共に死ぬことも叶わなかったわけだから
悲しいですよね。でも必ずしもハッピーエンドでないところが現実であり、この作品のリアリティと魅力
の一つだと思います。(最後だけちょっとマジメに)

'97/1/15 放送    2003/5/4 脱稿