「千年の恋〜ひかる源氏物語」ラジオ対談

2001年12月12日 ABCラジオ放送 「東西南北龍介が行く」にて

かず4の舞い上がった「千年の恋〜ひかる源氏物語」公開記念神戸クルージング(レポ参照)翌日に
ABCラジオ「東西南北龍介が行く」内で放送された、吉永小百合さん、謙さん、乾アナウンサーの
対談の様子をテープ起こし(涙ぐましい努力)して放送をお聞きになれなかった謙さんファンの皆様に
お届けします。もちろん放送をお聞きになった方も楽しんで頂ければ幸いです。
なお、また申し訳ありませんが、かず4の独断により謙さんのトークを中心&私の趣味で書き起こします
ので完全収録ではございません。ご了承下さいませ。神戸レポよりネタバレ2割増くらい?
また神戸クルージングでのトークと話がかぶっているところもあります。


乾アナ
「さて、今日のお客様でございますが、15日から公開される『千年の恋〜ひかる源氏物語』
にお出になっている、吉永小百合さんと渡辺謙さんにお話を伺います。」

乾アナ・小百合さん・謙さん
「おはようございます。よろしくお願い致します」

乾アナ
「『千年の恋〜ひかる源氏物語』。まあ光源氏と言いますと男性にとりましては憧れみたいなものが
ありますが、この映画では紫式部を登場人物として中心において、紫式部がある公家のお嬢さんを教育する
時にこの『源氏物語』を説いて、男女間の愛というものを教えていくというお話ですよね。なかなか設定が
面白いと思うんですが、その紫式部をお演じになった吉永小百合さんはどんな感じをお持ちになりましたか?」


小百合さん
「脚本がとても面白く書かれていて、現実の藤原道長とその娘の所に雇われて行った紫式部が
物語を書きながら源氏物語を語って行くという構成が、とても面白いし、上手くいくといいなあ、と思いながら
演じたんですが、どうでしょうね。ご覧になっていかがでしたか?」


乾アナ
「いやもう、見せて頂きまして、僕は映画の最後の方で「女の歯軋り」という言葉が出てきて、すなわち
当時のそいういう世界の男性の権勢欲の裏側にいた女性たちの気持ちをその一言でパシッと表現されてる
のではないかと、これは含蓄のある映画だな、と思ったんですよ」


乾アナ
「映画見終わった後、しばらくフ〜ンと考え込んでしまいました。そしてその紫式部のご主人の
藤原宣孝の役と、紫式部が教えるお嬢さんのお父さん・藤原道長の役、この二役をを渡辺謙さんがおやりに
なられています。この二人は性格がまるで違うんですよね?」


謙さん
「そうですね。まあ、歯軋りさせる方ですから。」(笑)
謙さん
「どういう風に歯軋りさせようかと思い悩んだんですけれども、まあ片っ方の紫式部の旦那は
故あっていなくなってしまうんですが、彼は非常に小心者というか、貴族階級の中でけしつぶのような
存在で、とにかく上に上がろう、上に上がろうという上昇志向とそれがかなわないことで
それ自体で歯軋りはしているんですが」


乾アナ
「あ、そうか、逆にいえばそうですね。」

謙さん
「そうなんですよ。だけどもう片っ方の道長は生まれながらにして、王道をいっているというか
政治的支配の中枢にずっといるように育てられて、またそういう風になっていくという役柄でした。
まあ非常に両極端というか男性のタイプとしても非常に対極を分けるような役だったものですから
僕としては楽しみながらというか、こっちがあるからこっちも立つみたいな、それを自分でできたと
いうのが嬉しいですね」


乾アナ
「(道長というのは)強い強い人物ですもんね」

謙さん
「ええ。ただ、どっかで根っこというんですかね。そういうものがありながら男女の話になった
時とか紫式部を口説くシーンがあるんですが、そういう所なんかは子供のようにというか
そういうもの全部なりふり構わず、ウジウジウジウジ(笑)潜んで行くみたいなところがありましたので (笑)」


☆紫式部の自意識
乾アナ
「紫式部に対して清少納言がいるじゃないですか。ライバル意識はかなり剥き出しになるんですね」

小百合さん
「あの、彼女が日記にも書いてるんですよね。清少納言のことは気に入らないって(笑)」

乾アナ
「(笑) あれ、はっきり書くんですね!」

小百合さん
「ええ。結構そういう意味では暗いところもあったんでしょうね。紫式部という人は。
例えば道長のサロンに他の和泉式部とか赤染衛門とか女流歌人がいるわけですよ。そういう人たちに
対してもライバル意識持っちゃうんですよ。今回は出てきませんけども。だから相当自分に自信があった
んでしょうね」


謙さん
「まあ、インテリジェンスの裏返しだと思うんですけどね、それは」

小百合さん
「ライバル意識というか「あの程度じゃダメだ」っていう(笑)やっぱり自分の作品に対しての
自信というのは強く持っていた人だと思うんです。その反面、宮中に仕えたりするのはいやだなあ、
っていうように少しひっこみ思案のところもあったり、面白い性格だったようなんですけどね」


☆光源氏は羨ましいか
乾アナ
「でもやっぱり光源氏という人物を見ると男の立場としては、これだけの女性を愛していて
全部自分の恋人に出来て、それも何人も持つことを周りは認めてくれている、という・・・
羨ましいですね、渡辺さん」
(笑)
乾さん、トークショーの時も振ってたけど、謙さんに何か言わせたいのか・・・笑

謙さん
「いや、ですから紫式部が道長という人物をモデルとして書いたんだとするとですよ?
相当、逆に言うと嫌だったんじゃないかっていう気もするんですよ。
その愛はどうして私にだけくれないの?っていう・・・」


乾アナ 感心
「は〜なるほど」

謙さん
「だからそれは相手が多ければ多いほど、書けば書くほど、自分が歯軋りをしていく、
みたいなところはあったんじゃないかと思うんですけどね。」


乾アナ
「なるほど。裏返して考えてみれば、私の好きなこの女性は一向に心を開いてくれない、
自分の方向じゃなくて反対の方向ばかり向いて行く・・・」


謙さん
「で、その女性をモデルに小説書いてるみたいなもんですから・・・」

乾アナ
「そうですね〜・・・あ、嫌ですね」(笑)「そう言われると嫌ですね!」

謙さん
「だから凄い複雑な裏返しみたいな書かれ方だったんじゃないか、っていう気もしますけどね」

乾アナ
「あの、ご自分の実生活照らし合わせてみてこういう人が周りにいるかなんて
考えたりはしません?・・・」
(笑)
・・・小百合さんも苦笑されてました。

謙さん
「いや〜(笑)なかなかねえ。状況的に難しいとは思いますけど(笑)」

☆撮影現場&衣装について
乾アナ
「で、撮影現場なんですが、非常に和気あいあいとした雰囲気があったらしいですね」

小百合さん
「大きなセットで一方の方で撮影していて、片一方の方で俳優さんたちがゴロゴロとって
いうと語弊がありますけど(笑)待ってたんですよ」


謙さん
「そうですね。相当衣装にしても大変っていう言い方は僕らは俳優ですから、当たり前にやる
んですが通常の時代劇なんかでつけてる衣装のほとんど倍・・・以上の重さと分量っていうんですかね、
厚みありますから、相当それは待ってる間はどっかで力を抜いて・・・
ただ一々全部着たり脱いだりできないんですよ。男の場合、一回ガッと帯しめちゃうともう一々脱いだり
着たりしてると、衣装さんが「勘弁してくれっ」ってなっちゃうんですよ。ですから一回ガッと着ちゃうと
もうそのままじっと・・・置物のように (笑)」

謙さん・・・「ガッ」とか「バーッ」とか、擬音表現が長島監督みたいです(爆)

乾アナ
「それでどれくらいあるんですか?」

謙さん
「そうですね。大体僕が180cmちょっとあるんですけど、そうすると両手を伸ばすと大体
それくらいの長さじゃないですか。両手を伸ばして一間ですよ。」


乾アナ
「一間・・・笑 一間間口の・・・」
トークショーでも乾さん、突っ込んでました・笑

謙さん
「それプラス30cm〜40cmですよ。だから60cm〜80cm長いんです。それが厚手の
カーテンくらいの生地なんですよ。」


乾アナ
「全体が。うわ〜それをドンと纏って・・・?」

謙さん
「もちろん下にも着てるんですよ。だから相当な分量でしたよ・・・」

乾アナ
「それで撮影の時は何時間か待ってるんでしょ?」

小百合さん
「もちろん朝から一日です。夜8時とか9時くらいまでやりますから」

ここから爆裂トークが繰り広げられます・・・いいのか、かず4!公表しちゃって・・・
乾アナ
「あら〜!・・・あの変な話ですが、トイレ行きたくなったら大変なことに・・・」

謙さん
「あのね〜もうロケと一緒ですよ。だから今日はお昼まではナシ!」

乾アナ
「はっ!!お昼まではナシ!!」

謙さん
「ええ。もちろんその間、水分をとらなかったりそういう風にやっぱりしますね。」

乾アナ
「〜こ〜れ〜は大変ですねえ!」

謙さん
「全っ部はがなきゃいけないですもん!」爆笑

乾アナ
「そうでしょう?!あ、そうでしょうって・・・笑」

謙さん
「まだ鎧の方が楽ですよ」

乾アナ
「鎧だったらまた外してつけりゃいい?」

謙さん
「いや、っていうか・・・あるとこだけ外せばいい」(爆笑)

乾アナ
「失礼しました!(笑)これは想像つかなかったですよ!」
謙さんごめんね!こんなトークを公の場に・・・

謙さん
「本っ当にねえ、まあ、だから多分実際にああいう生活をしてたとしたら
結構それこそ変な話ですがなんかそういう装置があったんじゃないかっていうくらい・・・」


乾アナ
「それくらい便宜図らないとねえ・・・生活が・・・」

謙さん
「・・・ベンギ図るって言うんですか?」(爆笑)

乾アナ
「すいません。言いようがなかったんですよ!!」

乾アナ
「男性でこれだけ大変ということは吉永さんも大変な重さじゃないですか」

小百合さん
「そうですね。十二単は20キロ近く・・・本当に十二枚重ねて、当時の織り方で
織ったものを使ったんですよね」


謙さん
「普通、変な話ですけど、安っちく作ろうとすると襟だけバーッとあって中がなかったり
するんですよ。今回本っ当に全部やりますからね」


小百合さん
「もう全部腰にきまして・・・撮影5,6時間してると段々腰が重〜くなってきて、
横たわってる方が楽っていう感じになってしまったんですよね。
それと例えば監督さんと打ち合わせしたいとかね、ちょっと撮影の合間に渡辺さんと次の
シーンのこと話したいなと思ってもなかなかね。その装束で近づけないんですよ(笑)お互いが。
もう自分の場所、待ち時間はここに居ますっていう場所から5mくらい離れててもなかなか
そこまで行かれなくてそれが大変でしたよね?」


乾アナ
「(笑) 携帯電話か何かでやればよろしかったのに」爆笑

乾アナ
「でも吉永さんCMでもお見受けするように水泳やってらっしゃるじゃないですか」

小百合さん
「それでも大変でしたから。やっぱり俳優は一に体力、二に体力ですね」

乾アナ
「そういえば、吉永さん泳いでらっしゃいますよね。渡辺さんも泳いでらっしゃるって
お伺いしたんですが・・・」


謙さん
「僕はもう雑魚のようにジョコジョコ泳いでるだけですから」

乾アナ
「雑魚のようにって(笑)」

謙さん
「吉永さんは凄い泳がれますから・・・」

小百合さん
「最近はもうね、2キロまでにしてるんですが、あんまり泳ぎすぎて一時肩を痛めまして」(笑)

謙さん
「・・・凝り性・・・(ぼそり)」

乾アナ
「凝り性って・・・(笑) 本当に凝り性・・・」

乾アナ
「今回『千年の恋〜ひかる源氏物語』ではお二人とも相当な体力をお使いに
なったということはまぎれもない事実ということですね(笑)
今ラジオをお聞きの方にお二方から、この映画はこの辺をポイントに見てほしいという点
ございましたら一言づつ伺えましたらと思います。」


小百合さん
「まず一回目はとにかく絢爛豪華な平安絵巻をまず楽しんで頂きたいと。
二回目は(笑)その奥に潜んでいる女たちの歯軋りというか悲しみを感じ取って頂ければ・・・
だから是非二回見に行って頂きたいと思います(笑)」


謙さん
「そうですね。やっぱり平安時代の物語ってなかなか本格的に見るっていうのはないという
気がするので、それこそ平安時代ですからシートにもたれて流れて行く時間をかぐわしい匂いと・・・
だから僕、劇場でお香焚いて欲しいなっていうくらい
(小百合さん、乾アナが「あ、そうですね!」と感心)
そういうゆったりした時間をこの映画の中で感じて頂けると嬉しいなと思います」

乾アナ
「東映関係者の方お聞きでしょうか?」

謙さん
「ちょっと消防法でいろいろ問題があるとは思いますけども」

乾アナ
「香りだけですからね 煙は立てても火さえちゃんと管理すればいいんですから」

謙さん
「まあ、例えばロビーだけでも、とかね。なんかそういう誘う空気っていうかそういうものが・・・」

乾アナ
「渡辺さんはアイデアマンですね!」

謙さん
「いえいえ」(笑)

小百合さん
「もうね、撮影の時も本当にいろんなアイデアが出てきて、監督がびっくりして
「あー渡辺さん、ここでこうひっくり返りたいんだって!」「お〜そうかそうか!」なんて
監督が一生懸命それをインプットしてらっしゃいましたけども」

小百合さん
「それが見事映像になると決まってるんですよ!」

乾アナ
「なるほど〜!!」

謙さん
「だからさぞや吉永さんも「こんなヤツだったのか・・・」と思って
びっくりさせちゃったんじゃないかと・・・」


小百合さん
「いえ!面白いですよ!」

乾アナ
「でもひょっとしたら実業家としてもイケル方かもしれませんね、渡辺さん
俳優はもちろんなんですけれども。いろんなアイデアを・・・」


謙さん
「いやいや・・・決断力がないからダメです・・・」

乾アナ
「え〜アイデア詰まりの方、渡辺さんとこにご一報下さい」
今日は吉永小百合さんと渡辺謙さんにお話お伺いしました。どうもありがとうございました!」

謙さん・小百合さん
「どうもありがとうございました」


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こんな感じのラジオ番組でしたが、かず4的には「神戸クルージングトークショー」ほど
お話の楽しさが伝わるかなぁ←あの時は興奮状態のまま一気にレポ書き上げたからねぇ。
実際の放送を聞く限りではとても楽しいお三人の会話でしたよ。聞いた方にはお分かり
頂けると思いますが・・・すいません。今回表現力不足で・・・
そして謙さんの一つ一つのお言葉からインテリジェンスが溢れ出ているようです・・・
トーク面白いだけでなく、受け答えが巧みで聡明でもらっしゃる。
また、神戸レポと続けてお読み頂けるとお察し頂けるかと思いますが、
「謙さんのアイデアマンっぷり」が話題になっていて嬉しいです。
初日舞台挨拶の日だけでもお香たいてくれれば良かったのに・・・東映さん。
あとさりげなく「凝り性・・・」ってつぶやいてるのが笑えます。
そしてやはり謝罪しておくべきでしょうか・・・謙さんごめんなさい。
下ネタ(?!)こんなところで公表しちゃって・・・(爆)
私が浮かれる「日本一のコスプレ俳優」にもご苦労はあったのですね(大笑)
でもめったに聞けないお話で楽しかったです♪
ちなみに神戸レポに引き続き、壁紙は直衣に使われることが多い平安文様を
素材サイト「平安文様素材集・綺陽堂」さんから頂きました。
全く同じ柄ではないのですが、「神戸クルージングレポ」柄は 紫式部が初めて道長に
召し出されるシーンの道長の直衣柄(浮線綾)を、この「ABCラジオ対談」レポ柄は予告
でもよく見られる紫式部と道長が月を眺めるシーンの道長の直衣柄(藤立涌*あの柄が
藤なのかは不明ですが「立涌」という文様のようです)っぽい壁紙を探してみました♪

2001/12/25 脱稿

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