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手作りビール

(ビールの作り方)

自ビール作り、貴方もやってみませんか
意外に簡単で、しかも美味しいことに驚くでしょう
kenharuの手作り体験を公開



発酵中のビール

簡単で美味しいのにびっくり!

一流メーカーのビールの味は、どれもが似かよっている。全国各地にある地ビールは期待はずれのものが多い。
そんな経験から、「素人に美味しいのは作れない」「作るのは難しい」と思い込んでいた。

ところが、友人宅で手作りビールをご馳走になって、その美味しさに驚いた。
「初めてでも簡単に作れるし、失敗も少ない」と薦められたので、早速手作りキットを購入した。

そして、初回から期待以上に美味しいものが出来た。
市販ビールにはない、芳醇な味わいに大満足。
作った本人ゆえの思い入れもあろうが、市販ビールよりも美味しいのである。

市販品は、生ビールであっても濾過しているから、酵母が取り除かれている。
しかし、手作りビールには生きた酵母が入っている。
酵母が活動しているから、待つほどに発酵が進み、日ごとに美味しくなっていく。
ボトリングしてから、1ヵ月後、半年後と、味わいの変化も楽しめる。

コストの安いのも嬉しい。
数千円の初期投資を別にすれば、その後の原材料費がとても安い。
缶ビール(350ミリリットル)1本ぶんが、ほぼ35円ぐらいだろうか。
ビール好きのリタイア者には、趣味と実益を兼ねた、うってつけの遊びになる。

作り方の概要

@ビールの素(缶入りの麦汁)と砂糖を水に溶かす
A発酵タンクに入れて、イースト菌を加える
B所定の温度に保ち(季節によっては自然放置で良い)数日間発酵させる
C発酵がとまったら、少量の砂糖を加えてビンに詰める
D数週間待てば出来上がりで、数ヶ月待てば、さらに美味しくなる

※発酵を阻害する雑菌を混入させないために、用具をきちんと消毒することがコツ。


体験記・その1
手作りキットの購入
ボクはブリューランドで、4580円のビールキットを買った。
キットの内容は、麦汁(モルト)とイースト菌、それに発酵容器。これだけで、19リットルほどのビールが作れる。
これが送られてきた発酵タンク。

密閉性のあるフタがついたポリバケツである。
フタの上に突き立っているのは「エアーロック」という、発酵ガスを逃がす装置。中に水が入っており、外の空気が入らないトラップ構造になっていて、雑菌の流入を防いでくれる。
下には蛇口がついていて、発酵が終わった麦汁をここから出す。
側面に貼ってある、縦長の黒テープは温度計。

写真には無いが、缶入り麦汁(ホップ入りのモルト)1700gとイースト菌もキットに入っている。

上記のキットのほかに、下の用具をそろえた。

四角いボトルは消毒用エタノールで、ピンクのは100均のスプレー。どちらも必需品である。

一番左は比重計で、これは無くても大丈夫。
その隣の棒は、ボトリングするときに便利な、ストッパー付きの管で、あれば便利だが無くても構わない。

ホースは発酵タンクの蛇口に差し込んで、ボトルに麦汁を移すのに使うもので、雑菌を防ぐ意味では、あったほうが良い。これを使えば、麦汁を空気に触れさせないでボトリングすることが出来るからだ。

写真には無いが、ステンレス製の漏斗もあったほうが良い。アルコールをビンに戻して再利用するのに使う。


体験記・その2
一次発酵(タンク内発酵)

ビールの原料
缶入りの麦汁(モルト)と白砂糖。これがビール原料になる。

一次発酵では、砂糖と、麦汁に含まれる糖分がアルコールに変わる。
砂糖を800g入れて19リットルの水に溶かせば、およそ4.2%のアルコール度数になる。
砂糖を入れなければ、いわゆる「100%モルトビール」で、アルコール度数は2.6%程度に低くなる。
ただし、希釈する水の量を減らせばアルコール度数は上がる。

合法ビールは1%以下なので、最後に「希釈して1%まで下げる」決まりになっている。
モルトと砂糖を溶かす
初回なので、説明書どおりに作業をした。
水飴のような麦汁と砂糖800gを、5〜10分煮て、溶かす。
麦汁には最初からホップが入っている。

これを26度まで冷ます。
タンクに入れる
タンクをアルコールスプレーで消毒しておく。吹きかけたアルコールはビンに戻せば何度も使える。
水は浄水器を通した水道水で良いらしいが、ボクは念のため湯冷ましを使った。

水温を26度ぐらいにコントロールして、煮て溶かした麦汁を入れる。
最終的に19リットルになるようにする。

付属のイースト菌を入れてかき混ぜれば一次発酵が始まる。最初の温度はイースト菌を活性化させるのに大事らしいので、指示どおりの26度にした。
ただし、これは付属しているイースト菌「エールタイプ」に合わせたものであり、イーストの種類が違えば異なる。
一次発酵開始 フタもエアーロックもきちんとアルコール消毒する。液が触れるものは、全て消毒しなければならない。
フタを閉めて、エアーロックを立て、暗い場所に安置すれば、一次発酵の始まりだ。

余談になるが、ビール酵母にはラガーとエールのタイプがあって、発酵温度が少し異なる。
両者の味を比べれば、ラガーのほうがキレが良く、エールは芳醇な味わいだ。
エールはイギリスなどで飲まれているが、世界的にはラガーが主流になっていて、日本国産ビールは全てがラガータイプだという。
ここではエールタイプを使ったが、味わい深く、とても美味しいビールになった。
暗い場所で温度管理
発酵には24〜26℃が最適温で、18〜32℃の範囲ならオーケーだ。
発酵が始まると、エアーロックから数十秒ごとに泡が出る。

寒い時期には、ダンボールを被せて、暖房の効いた部屋に置けばよい。
適温より低いと、発酵期間が少し長くなる。


フタを開けると雑菌が入る可能性があるので、周囲をアルコールスプレーしてから覗いてみた。
表面は泡に覆われ、耳を澄ませば「プツプツ」と発酵の音が聞こえる。
一次発酵終了
発酵終了までは5〜10日ぐらい。その期間は、温度条件や酵母の元気さで異なるが、エアーロックから泡が出なくなって、液の表面が左のようになれば終了だ。
比重計があれば、発酵の程度が確かめやすい。発酵が進めば、溶けている砂糖が酵母の働きで分解されてアルコールに変わり、液の糖度が下がるので、そのぶん比重が小さくなるのだ。これは飲んでみて、甘みが無くなることからもわかる。
タンクの底にはオリが沈殿している。


体験記その3
二次発酵(ボトル内発酵)

プライミングシュガー
を加える
次はボトルに詰め替えて、二次発酵の開始。
プライミングシュガーと呼ばれる砂糖を加えれば、ボトル内の二次発酵で炭酸ガスが発生する。

砂糖の加え方には二つの方法がある。
@あらかじめ、3グラムのスティックシュガーを、ビール大瓶に入れておく方法。
Aタンク内に砂糖を溶かしてから、ボトリングする方法。

上記Aの方法だと、いろんな容量のボトルを使うことが出来る。しかし、タンク内に沈殿したオリを混ぜないためには、いったん別の第二タンクに移し変えないと、砂糖を溶かし込むことが出来ない。
第二タンクへの移し替えは、麦汁を空気に触れさせないように、ホースを使う。
加える砂糖の量は、1リットル当たり6グラム。19リットルなら114グラム。少量の湯に溶かして、冷ましてから混ぜ込む。
ボトルで二次発酵
消毒したホースを使って、ボトルに詰め、二次発酵に入る。

ビールの大瓶を使う場合は、消毒した瓶にスティックシュガーを入れておき、その中に麦汁を入れればよい。手軽な方法ではあるが、瓶の王冠と専用工具を買わなければならない。
オリジナルラベルを貼りたいなど、雰囲気に凝りたい人は、ビール瓶が良いだろう。

ボクは第二タンク内で、先に砂糖を混ぜたので、ビール瓶は使わずに、いろんな大きさの「炭酸飲料」のペットボトルが使えた。

ボトルにはアルコールを入れ、漏斗を使って、次のボトルへと注ぎ移して消毒した。キャップはスプレーで消毒。

写真は、ホースを使って、ビール液を第二タンクからペットボトルに移す作業の様子。ストッパー付きの管が便利だった。
完成
暗い場所に置き、一次発酵と同様な温度管理をする。
冬はダンボールに入れて、昼間暖房している部屋に置けば良い。

2週間ほど経ち、ボトルがガス圧でカチカチに硬くなれば、一応の完成だ。
ビール瓶に詰める場合は、1本だけ炭酸飲料用のペットボトルに詰めておき、ガス圧の程度を確認すればよい。
急いで飲まずに、さらに数ヶ月寝かせれば、もっと美味しくなる。
「慌てる乞食は貰いが少ない」と言うとおりで、急いで飲むのは損になる。

左は500ミリリットルのペットボトル。
カミさんが作ったボトルカバーを着せて、食卓に出している。

※ここまで書いた作り方では、アルコール度数が4.2%と高いので、非合法な密造酒になる。ボトリング前にでも適当に希釈しなければならない。


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