LiVE REPORT2002

SUMMER SONIC 02

2002/08/17 & 18 @WTC Open Air Stadium (Outdoor stage), Intex #5 (Indoor stage) & Zepp, Osaka (New stage)

Day:1 2002/08/17

 昨年の経験を受けて8:00少し前にコスモ・スクウェア駅に着.駅前の空き地にリストバンド交換のテントが設けられている.このあたり昨年の不手際(会場入口にてチケットとリストバンドを交換していたため会場入りに相当の時間を要していた)からの反省が生きている.でも,誉めるのはここまで.このリストバンド交換も事前には十分な周知が行われておらず,トレード・センター前駅で下車した人は1駅戻ってこないといけないことになっていたりする.
 ステージは昨年から90度回転していた(昨年はトレード・センター前駅に向かってステージが設置.今年はトレード・センター前駅が右手になり,ステージ真後ろはATCのビル).その結果,客を入れるエリアは縦長に...しかも入口はレフト側の1ヶ所しかなし.昨年は真後ろが入口になっていたので,各自,まっすぐステージに向かっていくレイアウトになっていたので混雑もしれていたのだが,今年はこのステージ位置が失敗の原因に...
 更に,事前に説明されていた芝生を植えることでの砂埃対策だが,まるっきりハズレ.何も改善していない.
 また,DISTURBEDが大阪公演キャンセル.原因は就労ヴィザが間に合わなかったとのこと.日本で何も起ってないバンドだけに是非ともここでプロモしたかったはず.それを無駄にするとはまさしくクリマン.

 事前に動員が悪いと聞いていた1日目.確かに昨年に比べて人が少ない.ゆったり見れて8割の入りか?詰めれば6割くらいかも.このような状況のもと,開演時間前に登場するは間寛平.バックを務めるは元MARINO,元ACTIONという俗に言うジャパメタと呼ばれたシーンの中核を担っていたバンドのメンバー.確かに安定した内容なのだが,僕にはこのジャパメタと呼ばれるシーンが好きではない.理由は音楽的に演歌やアニソンが背景になっているだけあって,少々くどい.北島三郎や水木一郎というパフォーマーは道を極めし男の姿を感じ,敬意を払うのだが,単に暑苦しいだけでは...また,見た目の時代錯誤だし,ステージ・アクションも全時代的.僕が高校生のときで既に周回遅れだったのに...演奏したのはジャンル関係なしで,中にはTHE BLUEHEARTSの"リンダ・リンダ"まで.前座で出てきて,お笑いタレントをヴォーカルに据えて,だいぶ後輩ミュージシャンの曲をコピーする彼らは心苦しくないのかな?でも,間寛平,さすが30年以上お笑いの世界にいるだけあり,客のいじり方などはお手のもの.ライヴ終了後,MCとして登場し,「(ステージにあがるミュージシャンは)アホやから,みんなが盛り上がれば,盛り上がります.なので,思いっきり盛り上がってください!」とのお言葉.

PLEYMO

 オープニングは定刻より15分くらいずれての登場となるフランス産バンド.ディズニーのアニメーターをしているというvox.を据えた6人組.芸能山城組による『AKIRA』のサントラをバックに,各メンバーはそれぞれのイメージ・カラーをまとった衣装で登場し,さながらスーパー戦隊.フランス語歌詞というのはなかなか障壁高いが,MCは基本的に英語.終盤MCで説明していたが,「日本に来られたのは,『AKIRA』を読んでいたファンだった僕等の夢でした(日本語)」という気持ちが伝わってくる内容で,日本語詩を取り入れた"K-RA"などはかなり盛り上がる.ただ,フランス語詩はきびしく,"Ce Soir C'est Grand Soir"のコーラスを歌わせようとするも失敗.ネタ元はLINKIN PARK80% + LIMP BIZKIT20%ぐらいでしょうか.バンド自体のパフォーマンスはもう一つ.場数をこなしてくればそこそこ良い形になってくるのではないか.今回はプロモとしての価値は十分あったはず.ただ,まだまだ単独来日は無理だろう.

A

 まさかの来日.早々にサマソニ参戦が決まっていたこのバンド.パワーポップなわけで初期の7"は数枚持っているのだが,あくまでも新作「Hi-Fi Serious」のプロモの一環だそうで,そこからの曲が中心.サンバイザーを被ったvox.をはじめ,皆そつのないパフォーマンスを見せており,安定感がある.それはそれで良いことではあるのだが,それが何故か逆に老獪さみたいにも思えてしまう.溌剌としてはいるのだが,初々しさみたいなのがない.このバンドの音楽性にはどちらが求められているのだろうか?後者じゃない??

 軽く食事ブレイク.新設のサマソニ・オアシス(INTEX 1号館)の飲食スペースは開演前にマーチャン購入したときに軽くチェック.店舗はそれなりに種類があるもののいまいちしょぼそう.で,ラーメンを食べるもこんなもの程度.フジには遠く及ばないものの昨年よりかは相当改善.

RAGING SPEEDHORN

 過去に昨年のBeast Feast,AMEN初来日公演のオープニング・アクトとして2度,プロモ扱い来日しているこのバンド.3度目の挑戦.相当大きなマネージメントなのだろうか?事前に店頭で試聴(買う気はなかった)したところ『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』時のPANTERAを楽曲,演奏面ともに満たしているという印象でしたが,ライヴでもその通りで,上手いし格好良い.食後で一服するタイミングであったためはじけられなかったのがかなり残念.良いバンドだし,ライヴで見たら楽しいのだけど,アルバムを買ってうちで楽しむ気にはなれないなぁ.

DISTURBEDがキャンセルとなり,1時間弱のセット・チェンジの時間が...

THE WiLDHEARTS

 で,最後の最後に呼ばれてきたこのバンド.客はほとんど知られていないようで,暴れたいだけの客は前方を埋めている.で,"I Wanna Go Where The People Go"でセットをスタートしたところぐちゃぐちゃ...音が悪いし,各人がバラバラでまとまりなし.ステージ右にいるダニーはまったく精彩なし.中央のジンジャーはあまりのひどさにご機嫌斜め.ヤケクソ気味に飛ばすもますます空回り.ステージ左のCJはそれらをまったく意に介さぬようにヘラヘラと楽しげにプレイ.なんだかなぁ..."Greetings From The Shitsville","Nothing Ever Changes But The Shoes"といった定番は勿論,"Vanilla Radio"など新曲も混ぜて様子見なのだが,いかんせんこのグチャグチャっとしたパフォーマンスでは何もならず.最後は時間がなくなり,4曲残った中から2曲プレイすると客からアンケートを取る.で,"Suckerpunch"と"Caffeine Bomb"が順当に選ばれる.暴れるだけはできるのだが,あまりにも...「またね」というジンジャーに対して,「このようなプレイを見せられると次はない」と言っておきたいところ.

NO DOUBT

 本日の一番の出来.グウェン・ステファニー率いるこのバンド.正直なところ,タイミングも少しはずしてしまっているし,このライン・アップの中では軽く流され気味な扱いになるのかと思っていたところ,相当数の人がアウト・ドア・ステージへ."Don't Speak"と"Ex-Girlfriend"が好きなこともあり,この2曲をどういう風に聴かせてくれるのか?っていうところを中心に見るつもりだったのだが,そこだけではもったいないぐらいのパフォーマンス."Don't Speak"の成功はあったもののその路線を狙って失速していくことなく,音楽性を広げていくことで「このメンバーであれば,何をやってもNO DOUBT」というスタンスにすることが出来ただけあり,いきなりレゲエ風でのスタート.ステージ上のグウェン・ステファニーはかなり良い.その歌唱,ステージ・パフォーマンスはあきらかにマドンナを意識している.それもかなりのレヴェルで再現できている.これは賞賛に値する.マドンナ自身もさまざまな音楽的な要素を取り入れて,その時代時代の彼女の姿を作り上げているわけだが,グウェン・ステファニーを単なるコピーにしていないところはNO DOUBTというバンド形態であることだ.各メンバーのパフォーマンスは素晴らしく,彼女とバック・バンドという上下関係をそれほど意識させない.まさに圧巻.

NOFX

 少々セカンド・ビルとしては心もとないこのバンド.単独でやってもマザー・ホール規模だけに,どうも昨年のライン・アップと比較すると弱い.少々心許ないと感じていたところ,バンドがステージへ.が,上がるなり,「今日は体調が悪いんだ.キムチを食ったらもっと体調悪くなるんだ」とMC.ツカミとしてはどうだろう??この手のバンドはMCで笑いをつかみつつ曲をつないでいかないと全力疾走になり,単調なパフォーマンスになってしまう.しかし,今日の客は語学力がない.

「日本ってドラッグが手に入らないんだよな.」
「いやいや.PENNYWISEから聞いたけど,500円で買えるらしいぞ....違った500ドルだ.日本円ってカナダドルみたいな金だ(注:カナダドルはUSドルより価値が低い)」

 とか,
「お前ら,ドラッグはないけど,マッシュルームは手に入るんだろ?」

 とか,MCになると休憩タイムに...笑うところなのに...
 挙句の果てには新曲"Son Of A Asshole"というブッシュ(息子)大統領を非難した曲.彼の一連の政治戦略からプレッツェルをノドに詰めたエピソードなどを笑い飛ばす曲なのだが,客は暴れるだけ...なんだかなぁ...
 確かに,"Murder The Government","I'm Telling Tim"などをやると堪らないわけだが,それだけでは暴れる楽しさだけ.単調すぎるなぁ.こういうバンドはフェスにふさわしくない.ちゃんと客とコミュニケーションが取れる距離でやって本領発揮できるバンドではないか.「NO DOUBTのときには盛り上がってたじゃないか...オレもNO DOUBT好きだけどな...」盛り上がり具合もこのMCから察して欲しいところ.

THE OFFSPRING

 で,今日のヘッドライナーなのだが,動員は少し少なめ.というか,彼らがヘッドライナーだからこれくらいしか呼べなかったのか,と.大阪城ホール・クラスのバンドなのだけど,コ・ヘッドラインを務めるのがNOFXでは,これぐらいが精一杯なのか.どちらも好きなバンドなのだけど..."The Kids Aren't Alright"でスタートするといきなり2曲目には"All I Want"が飛び出してくる.これだけでかなり満足.演奏レヴェルは低い.しかし,このバンドに音楽的なものを求めるのはいささか見当違いなところがあって,純粋に楽しめるというところが何よりの魅力.その後も"Million Miles Away"や"Gone Away"などのキャッチーな曲を出していって引っ張っていく."Original Plankstar"でインターミッションに.ここでパンツが脱がされかけ一瞬見えそうになったところでABCのカメラ・クルーはすかさずカメラを逸らす.このあたり根性なしのTV局.来年はこういうのもそのまま映せる局にスイッチして欲しいものだ(.でも,結局,まずいところが露出するギリギリのところで助かっていたので,そのまま映していても問題なかったのだが...).
再開後は"Why Don't You Get A Job?"から"Walla Walla"へ.
 で,MCでは,
「お前ら(インドアのヘッドライナーだった)モリッシーを見たか??」
(と,彼の曲をやりそうになって...)
「モリッシーの曲は知らないんだ.オレはモリッシーの大ファンってわけじゃないんだ」
「でも,THE SMITHSの曲には良いのもあるけど...」

 と言った後,
「訂正してくれ.オレはモリッシーのファンじゃない!」
とここでモリッシーを罵倒する.

 その後も「BON JOVIかスプリングスティーンの曲をやるか??」
 とBON JOVI,スプリングスティーンもけなしまくり.しかし,悲しいかな,オーディエンスはこれを理解できない.もったいないなぁ.めちゃめちゃ笑えるところなのに...

 で,アンコール・ラストは"Pretty Fly (For A White Guy)".全体的に見て,こんなものでしょうか.

 初日終了.はっきり言ってかなり満足できない.NO DOUBTくらいじゃないかなぁ...十分な質のものを提示したのって.かなり不満なままDay:2へ...

 DAY:2 2002/08/18

 2日目は人が多い.前日の2倍くらいに最終的には到達したのではないか,と思われる.会場内はGN' R目当てのメタル・オヤジ・オバサンやDRAGON ASH目当てのちゃらいの,モン8目当ての厨房まで幅広い.まったくバラバラの客層を集めれば重ならないから人数は単純に足し算になるんだろうけど,2日に渡るイベントを運営するプロモーターとしては失格だな.クリマンは.

THE SKYLARKS

 アウトドアのオープニングを務めるのがモンゴル800なこともあり,インドアからスタート.10:30の開演時に会場にいたのは200人くらいか?やけにエアコンがきつく感じるのはエアコンの温度設定が低く設定されているだけではなく,動員の寂しさから来るのは明らか.
 で,バンドの方だが,そのバンド名から察してXTC的なものを期待するのだが,そこではなく,ポール・ウェラーだった.しかも,ソロになってからの...でも,残念ながらバンドのメンバーの持つ作曲能力はあまり高くはない.ポール・ウェラー印の曲なのだけど,アルバムに入っている駄曲みたいなものがダラダラと垂れ流される.「こんな早い時間に,高いチケ代を払ってきてくれてありがとう」というMCが入るのだが,客はちゃんとそれを理解できている.昨日の客よりかは偏差値が高いか,と...しかし,つまらない.このクラスのバンドも出演できる,というのがフェスの懐の深さなのだけど...ということで,撤退した20分強経過時にはなんとか500人くらいの大きさに膨らんでいたオーディエンス.

モンゴル800

 INTEX No.1で食事を済ませて,早めにアウトドアへ移動.するといるはいるはお子ちゃまが...満員に膨れ上がったアウトドアで繰り広げられるのはポップ・パンク.でも,音はかなりスカスカ.このスカスカっぷりが彼らの味なのかもしれないが,僕には彼らの技量のなさを露呈しているように思えてならない.僕はこの程度のもので楽しめる程,経験値が少ない人間ではない.
 終演後,アナウンスで「さっさとZEPPに行きなさい」というのが流される.そうモンゴル800を楽しめるファンっていうのをターゲットにしたバンドはみなZEPPに出てるわけです.なので早めに移動させないと混雑してしまい大変なのだろう.しかし,これくらいで片付くほど甘い事態ではなかったのは後で明らかに...

QUARASHI

 アイスランドからのバンド.アルバム1枚を引っさげての初来日.新人なので曲単位で楽しめれば...ぐらいに考えていたのだが,実は...上手かった.確実に決めてくるところは決めてくる.バンドの演奏はかなりタイトで安定した上で2人のMCが上手く煽っていく.まだまだ青臭い部分がないとはいえないものの,今後が楽しみなバンドである.中でも終盤に繰り出した"Stick 'Em Up"にはまさに圧巻.「単独で見たいか?」と聞かれると絶句してしまうが,もう少し経験を積んでくれば面白くなってきそう.

MURDERDOLLS

 SLIPKNOTのドラム,ジョーイ・ジョーディソンのサイド・プロジェクト.相方はSTATIC-Xのトリップ・アイゼン.前日付けでアルバムが出たところということでほとんど曲を知らない客を相手にしてどれだけやれるのか??SLIPKNOTでの横綱相撲が出来ないだろうと想像していたところ,ステージに上がるなり,炸裂するは往年のヘア・メタル.そうあの曲,あの歌詞,あのヘタっぴでヤケクソな演奏,何もかもがSKID ROW!これにはあてられた..."People Hate Me"や"Slit My Wrist","Motherfucker I Don't Care"など.タイトル連呼に近いコーラスでは合唱が起る.終盤の「ファック」ってカタカナ表記で書かれた白い旗を振りつつ先導するその姿.これをやっているのは確信犯だろうし,それは見事正解.細かいことはさておいて,楽しめるこのバンド.十二分に楽しんだライヴだったが,アルバムで聴いたらしょぼいのかな??

HOOBASTANK

 セルフ・タイトルのアルバム1枚での来日.プロモがてら出演というところなのだろうが,結構期待していた.バンドの方はかなり上手い.決めるところはばっちり決めているし,かなり安心感がある.それに比べてヴォーカルは全然歌えていない.気持ちばかりが前へ出ている印象を受ける.エナジェティックなパフォーマンスを見せようとするのはわかるし,その心意気は評価したいのだが,いかんせんここまで酷いと...
 終盤,"Hello Again"にてやっと,落ち着きを取り戻したかのようで,ここで歌えるようになる.これが最初から見たかったのに...で,"Crawling In The Dark"が登場.これには大満足.この曲を聴くために見るバンドなのだから,この曲は状態良く聴きたいところ.最初の方にこの曲をやっていたら,惨憺たることになっていたはず.で,MCにて日本に来れて嬉しいだとか,家に帰ってきたみたいな気持ちだ,などと語る.その気持ちはわかるのだけど,冷静にプロとしての片鱗を最初から見せて欲しかったところ.今回出演する新人バンドはどこも日本語MCは達者.このあたりプロモ目的というので頑張っているのが伝わってきて好感が持てる.
 で,ラストは"Remember Me"でお仕舞い.日本のファンに向けて...なんて言ってやる曲ではないような...なにせ「アンタは僕の一部じゃない」って歌うんだから...
 位置付けは昨年のサマソニでブレイクしたINCUBUSと同じ(フォロワー・バンドだし...)なのだろうけど,昨年のINCUBUSが見せたほどの高さまでは到達していなかった.残念ながらINCUBUS並の飛翔というわけには行かないものの今後が楽しみな存在だ.

ANDREW W.K.

 更に人が増えてくる.しかし,厨房度が大幅にアップしている.これって.ANDREW W.K.の客?か後のDRAGON ASHの客なのか最初はわからなかったのだけど...実はANDREW W.K.の客だった.お子ちゃまにも支持されているとは...彼の音楽は一線を超えた先にあるように感じているので,ある程度分別のつく人(rockin' on誌的な音楽の聴き方が出来る人)向けじゃないか,と思っていたのだが,それは間違いで,暴れたい!!っていう人にも支えられていた.ステージに上がってくるなり,暴れ倒す彼は,確かに魅力がある.いかにもスター(かなり小汚いけど...)という風な普通じゃなさ,が伝わってくる.一見,目はアンドリュー個人に向くもののバンドの演奏はかなりタイトで,この屋台骨がしっかりしているからこそ,あの魅力あるパフォーマンスが疲労できるということを実感する.ライヴを見る前はバックはカラオケにしておいて,アンドリュー一人がステージで暴れ倒すようなパフォーマンスの方がヘンにバンドが出てくるより面白いのではないか,と思っていたのだが,これだけの高いレヴェルの演奏を聞かせられてしまうと,失礼なことを考えてしまったものだと反省する."It's Time To Party","Got To Do It","She Is Beautiful","Party Hard"など,アルバムで聴くとやや単調に感じられる楽曲も彼のグイグイと引っ張っていく熱いステージングで暑い夏の日をなお一層熱くした.

DRAGON ASH

 アウトドア・ステージは大量の人が集まっており,一旦インドア・ステージへ移動してしまうとアウトドアに戻ってきても入れない可能性が高いと判断(事実そうなった)し,THE HIVES,HANOI ROCKSという観たいバンドを我慢する.
 別に興味はないので,ファンの人の邪魔にならないようにアウトドア最後方で待つ.で,ステージに上がったバンドはいきなり「みんな外タレ観にきたんだろ?」というMCでスタート.その通り,正直このライン・アップは甚だ疑問.マクドナルドに入ったのに吉野屋の牛丼が出てくるようなもの.納得行かないままうだうだと観る.で,確かにバンドの演奏は上手い,しかし,ネタはKORNをはじめわかりやすいのを持ってくる.これを聴いて喜ぶのは音楽を幅広く聴いていない人だけだろう.少しでも音楽を聴いたことがあれば,元ネタが容易に察しがつくはずなのに...これを自分達がオリジナルだと見せるのは騙しているようにしか思えない.これは僕がB'zがキライなのと同じ理由だ.更にvox.の降谷ケンジがどうも気に入らない.いまいちしっかり地に足をつけた人には見えない.上っ面だけにしか見えない.このイヤさはラヴ・サイケデリコ的.雨が降る中,約1時間のステージを我慢.

WEEZER

 ここでお待ちかねのWEEZER.暑苦しいにも関わらずスーツで決めたリヴァース君はご機嫌よろしいようで,「サイコーにカックイーね.」と.英語で考えて,日本語に直してしゃべるから少し客には上手く伝わってないよう.彼が言いたいのは,客に対して「It's so fuckin' cool!!」って言いたかったのではないか,と.オーディエンスももう少しわからないものでしょうか.
 バンドはフェス仕様のセットにしてきて,まさにグレイテスト・ヒッツ.これでもか,という曲を繰り出す.演奏はそれほど高いものを求めるのは酷なバンドなのだが,聴いていて楽しいと思わせる曲をこれだけ連発されると盛り上がらないはずがない.類稀なるメロディ・センスを持つ彼らのセットには十分満足する内容だった.個人的には"Dope Nose"ですかね.一番良かったのは.勿論「イチニ ノ サン ノ シ ノ ニ ノ ゴ...」は勿論あり.

GUNS N' ROSES

 ホントに来るのかどうか限りなく怪しかったし,もし来なくてもそれはそれで良し.「僕もアクセルにやられたよ.」と言うことで納得できなくもない.などと自分の中で納得できるように理由だけを用意してこのときを刻一刻と待つ.前日に千葉マリンで見たRON氏曰く,「1時間押しでスタートながらも凄いパフォーマンス」.ホンコン,千葉までは来た.でも,大阪にまで来るという確証はない.アクセル・ローズにしても千葉に来ておけば,とりあえず日本市場にはアピールできた,と解釈も出来るわけで,一抹の不安もあるまま,開演まで待つ.
 40分経過...前日の1時間押しを踏まえてこれくらいは仕方ないか,と我慢していた所,バンドが登場.
 "Welcome To The Jungle"でセットはスタート.アクセルの声が出ていることが何よりも驚き.まだ少しペースを上手くつかめていないようだが,確実に声の伸びがある.続いては"It's So Easy".やはりこれこそGuns N' Roses.そして,おなじみ"Mr. Brownstone".この曲を2,3曲目に持ってくることでバンドとして安定させようとするところは80年代から変わらない.まだまだ頭から飛ばすセットは変わらず,"Live And Let Die"へ.『007』シリーズの主題歌としてポール・マッカートニーが歌ったことなどすっかり記憶の端っこに追いやられ,アクセルの持ち歌のよう.ここまで来て,やっと伝説を目撃している自分というのを認識できるようになる.今まで,元・伝説みたいな人は見たことがあったものの,伝説である存在を伝説どおりに再現しているのはこれが初めてと言っても支障がないほど.
 "Think About You"で会場のトーンも少し下がったところ,再び"You Could Be Mine"で再度ギアが入る.ロビン・フィンクのギター・ソロを挟んでおなじみのあのメロディーが..."Sweet Child O' Mine".更に"Knockin' On Heaven's Door".この曲もボブ・ディランのつまらない曲なのに彼らのアレンジでは素晴らしい名曲に早変わり.UYIツアーでは後半ブレイク・ダウンが入ってレゲエ・パートに入って,黒人女性コーラスを入れて,合唱させていたもののあれは正直だれてしまっていたように思う.今は,オーディエンスとの掛け合いも説明の余地なしで,客席から熱いコーラスが沸き起こる.
 "Outta Get Me"で少し盛り下がったところ,「君らは好きか嫌いかわからんけど,やるよ」なんて始まった新曲,"Rhiad And The Bedovins","Madagascar".どちらもそこそこ聴かせる曲.バケットヘッドのソロを挟んで"November Rain"へ.珠玉の名曲が飛び出すと堪らない所.ここから加速して"Rocket Queen","Nightrain"と速めの曲で走って,再び新曲へ."The Blues"(ワーキング・タイトル??)から,長らく出るとされている新作のアルバムのタイトル・トラックと思われる"Chinese Democracy"へ.この曲の疾走感は堪らないところ.バケットヘッドがヌンチャクを披露(もちギターも弾く訳ですが...って,スクリーンの映像には『ジャイアント・ロボ(特撮版)』の映像が...ジャイアント・ロボに成りたい男っていうのは本当だったとは...).そして,またしても飛び道具のような"Patience"が!!!やるべき曲をわかってますね.
 アンコールはロビン・フィンクのソロからお決まりの"Paradise City"へ.ステージ後方でネズミ花火が回転しつつ,爆走していく.
 スラッシュがいない?イジーのギターがないと...?ライヴ・アルバム「LIVE ERA」を出して復活のタイミングを計った?01年カウントダウン・ライヴで地元で顔出ししようとしたが失敗した?01年Rock In Rioで復活しようとしたが声が出てなかった??その通りだろう.だからこそ今回の日本(+ホンコン),ヨーロッパでのフェス・ツアーっていうのはアーティスト生命のかかった大一番だったわけだ.W.アクセル・ローズという男はそれを見事にやってのけたわけだ.彼は本気だ.彼は一流のミュージシャンであったわけだが,それが10年近くの隠居生活の後も現役の一流ミュージシャンだったわけだ.同世代のミュージシャンが軒並みロートル化していく(かつてのバンド・メイトも含めて)中,頂点を極めた男が再び頂点からスタートすることが出来たという偉業を成し遂げたその現場に立ち会えたことはかけがえのない体験だった.まさしく今世紀最高のパフォーマンスだった.

 サマソニ2日を終えて...

 初日ははずれもはずれな内容で,「楽しめるから!」と半ば強引に誘った皆さんに申し訳ない気持ちで一杯だったわけですが,2日目には持ち直し,素晴らしいステージを見せたバンドには賞賛の言葉を送りたいところ.
 会場運営は昨年よりも悪化しており,クリマンの学習能力の無さを如実に表していた.昨年の最大の課題だった砂埃はまったく改善されていないし,場内の2日目の混雑は暴動一歩手前まで行っていたし,食事のスペースは遠いし,誉められるところはほとんどなし.
 そういう不快な要素を全てを打ち消してくれたのはヘッドラインを務めたGuns N' Rosesだった.まさしくこのGuns N' Rosesへ行くまでの道のりだったとも言える.
 来年はちゃんとした運営をお願いしたいところ.すくなとも人工芝を敷いて欲しい.あと,フロアのつくりはもう少しゆとりを持ったものにしないと,あと,責任者が出てきてショウのオーガナイズをすべきでしょう.この無法地帯となった大阪に比べて千葉マリンは快適なのかな??