LiVE REPORT2004

SONIC MANIA 04

2004/01/31 &02/01 @Intex Osaka (West & East)

Day:1 2004/01/31

 冬ソニことSONIC MANIA 04初開催はSLIPKNOT,FINCH,SHAM69と相次ぐキャンセルながらも当日を迎える.今回は,サマソのソニック・ステージとして利用されている会場(#4)の両端にWEST, EASTなる対面ステージを設置,交互に演奏が行われる.隣#5はオアシスと称される飲食,マーチャン会場.
 13:00スタートということでゆっくりめで11:00すぎに到着.リストバンド交換時にキャンセルしたSLIPKNOTのリストバンドとステッカーを配布.減点を何とか帳消しに出来るか?また,FINCHとSHAM69のキャンセル及び代打はFUTURE KINGS OF SPAINとG.B.H.である旨を記載したチラシを配布.今までのクリマンではこんなこと出来なかったですからね.縦看板にDISTURBEDの所を塗りつぶすくらいしかできなかったのに...確実にフェスによってクリマンも成長してきてますね.
 マーチャン棟にて物色.ソニー・ブースにてサンプラーを,タワーレコーズ・ブースにてタオルを配布.これがケータイ・メール・アドレス登録なんですよね.条件が.みんな告知看板を見ながらメール打つ,という光景は...物欲には勝てないのかなぁ...

LOCOFRANK

 12:00 EASTステージに登場したオープニングを勤める日本のバンド.オールド・スクールなロック・バンド.英詩に取り組む姿は評価したいし,この日のために練習してきました,というのが伝わる演奏は評価したいのだけど,つまらない.初めて経験するのかもしれないくらいの規模に食われてしまっているようで,ステージ運びに余裕がない.演奏が終わる度に自信なさげに話すのはまだまだ...曲も悪くもなく良くもなく...そのせいか,昼食へとフロアを撤収する人の動きは止まることはない...残酷だけど,これが現実なんだよね.

COLOUR OF FIRE

 13:00 WESTステージのこのバンドから本番スタート.ステージ向かって右の最前ブロックに位置取り,お手並み拝見...MANDO DIAO以後なんだよね.THE WHITE STRIPESがウケたからキングが引っ張ってきたのがTHE KILLS,MANDO DIAOが流行ったからとってきたのがこのバンド,と言えばわかるか,と.この会場は音響が悪いのだけど,このステージは特に悪い.音の分離が悪くてvox.が篭ってるんだよな.残念.オーディエンスもクリマン系フェスだけあって,最初から暴れ倒す初心者が多く,老婆心ながら忠告したくなったりして...バンドとしては曲がもう一つ(でも,"Second Class Citizen"ってのは少し気に入ったかな)ですね.演奏もボチボチだし...約25分限界かな.

SHAKALABBITS

 EASTステージに移って日本のバンド.子供向けですね.それなりにバンドとしてはまとまっているのだけど,夢中にさせるものはないな.MCで「食わず嫌いはダメ」と言ってたけど,食べてみて,ダメってのがわかったな.

FUTURE KINGS OF SPAIN

 FINCH代役という厳しい中で出演のこのバンド.一部噂のあったKINGS OF LEONではなかったのだけど,音楽性は近い.アイルランド産のこのバンド.オーディエンスに予備知識がない状態でどれだけ紹介できるか,という機会だったのだけど,上手く伝えられなかったのではないか.一言で言えば地味なんだよな.WEST最前で見ていてもゆっくりめ.見ていて損はしないのだけど得もしないかも...

LOUDNESS

 何故,今LOUDNESSなのか?この疑問は拭えない.ここに出演するというのはバンドとして新しいオーディエンスを獲得したいからだろうし,しかもこの位置を受け入れるということも立派だとは思う.音楽的にはドゥーム系にサウンドを変えてきていた.時流に乗るのはさすがだし,それをそれなりにこなしているのもヴェテランの為せる技.でもそれを消化できてないんだよな.腐ってるんだ.vox.は二井原になっており,日本語詩に...で,MCでコテコテの大阪弁でしゃべって掴もうとするのは失敗ですな.若い子には自分のオヤジくらいの世代にあたるLOUDNESS.厳しいな.

PLEYMO

 フランス産の大友克弘 meets LINKIN PARKなこのバンド.サマソ02以来の出演.新作『ROCK』に引っ張ってのこのステージ.いきなり"Rock"のコーラスで声を張り上げる.WEST最前エリアのオーディエンスはかなりの盛り上がりで正直危険め.なかでも"K-Ra","New Wave"ではカオス状態に.vox.マークのMCは全部日本語.一部カンニング・ペーパーを見つつながら,かなり上達してますね.セットは新作と旧作を満遍なく混ぜたもので十分満足出来るものだった.

JESUS JONES

 思い返せば13年くらい前,全盛期を極めたUKのこのバンド,まさかの来日."Happy","International Bright Young Thing"とヒット曲からスタート.EASTステージ側のオーディエンスは少なめ.正直休憩時間になってしまっている.バンドも現役を感じさせてはくれない...久しぶりに集まって人前でやってます,という印象を与える.これは良いのかなぁ...それなりなんだけどな...

BACKYARD BABIES

 SLIPKNOT代役としての参戦.WESTステージはJESUS JONESのステージの途中からオーディエンスが溢れており,代役とはいえ,暖かく迎えられているようで何より.開演を告げての最初は約2分に及ぶヘヴイ・ドラム.まさしくSLIPKNOT.これはSLIPKNOTファンへのアンサーなのかと思わされる.が,曲が...新作『STOCKHOLM SYNDROME』のプロモーションという位置付け通り新作からの楽曲を連発.これがオーディエンスを掴み損なっているよう.お約束の"Heaven 2.9","Highlights",ラストの"Brand New Hate"といったあたりだけでしょうか.新作から良かったのは"Minus Celsious"くらいかなぁ...

EVANESCENCE

 EAST最後は流行りモノのこのバンド.ZEPP 2daysに続けてのDay3.ライヴはイマイチとの噂も流れていたのだが,案外安定.バンドは予想外にタイト.vox.のエイミー嬢も力強く伸びがある声が出ている.何故低評価なのか,と訝ったのだけど,それもすぐに悟ったわけ.そう,良い曲が少ない."Going Under"や"Bring Me To Life"などが生で聴けたのは良かったのだけど,あとは...途中からはエイミー嬢はエエなぁ,などとオヤジ化して過ごす.

KORN

 WESTステージは通路までオーディエンスが溢れかなり危険.開演を待つ間に続々と脱落者が救出されていく.そんな中,開演予定の19:25を5分程過ぎて登場.待っていただけあってオーディエンスはディスオーダー状態に."Right Now"でスタートした段階でつぶれそうになる.その後もまさしくグレイテスト・ヒッツというセット・リストは圧巻."Did My Time"で一旦ブレイクし,"One"でまた引っ張り上げられ,"A.D.I.D.A.S."でコーラスを絶叫し,"Falling Away From Me"があり,"Dead Bodies Everywhere"と歌い上げる.歌い,暴れ,飛ぶ.これがロックでしょう.

 サマソはプロモーション的な位置付けが強いところがありましたが,今回もそのような印象を与えたこと.また,同系統のバンドを集めたこともあり,KORNのオープニング・アクトをずーっと見ていたという印象がある.フェスとしてもKORNで盛り上がる以外は比較的淡々と過ぎていった感がある.さて明日はどうなる?(04/02/01)

Day:2 2004/02/01

 Day:2はパンク軸.前日,しきりに「場内で明日のチケットを前売り料金で買おう」というアナウンスをしていたことから,動員が若干不安だったが,それは杞憂に終わり.Day:1の90%くらいでしょうか.これぐらいがちょうど良い頃合.

POSSIBILITY

 朝イチはEASTに日本のバンドを迎える.ユニットとしてはかなり安定している.ただし,子供向きなんだよな.中高生くらいの感覚全開の楽曲をそのままで歌うというのは出来すぎっぽい印象を受ける.

S.T.U.N.

 AT THE DRIVE-INの再来か.ライヴを見て感じたのはそれだった.エモそのもの.爆裂気味のステージで,vox.は終始棒立ちになることはなく,走り倒し,マイクを咥えてブリッジし,ステージ横の櫓に登る.その姿にはTHE HIVESの勢いも感じられる.演奏自体は正直,ごちゃごちゃしている所があるのだけど,今の勢いを失っては何もならないので,今このバンドを見ることが出来る人は幸せでしょう.

SKA SKA CLUB

 正直なところ,舐めてかかっていたのだけど,ステージを見て印象が変わった.ようはTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONESやLESS THAN JAKEなわけだ.日本語で10代のキッズが感じることを歌う,という.お子様向けではあるのだけど,これだけ質が高ければ良いのではないか.対価を払う気には到底ならないのだけど,悪くはないと思う.

THRICE

 ヘヴィー・メタル!!フォーメーションを組むような立ち位置で構えたメンバーは80年代のヘヴィー・メタルを披露する.所々にはエモっぽい要素も感じられるのだけど,それは意識してこそ.ギターの1人が日本人ということもあって,日本語MCも...なにせ,「ゲンキデスカー?イチ,ニ,サン!」で,客に「ダァー!」って言わせますからね.これには言った本人が受けてましたが...懐かしい感じのするこのバンドそれなりに楽しめた.

INSOLENCE

 今日の目玉の一つ.THRICEのステージが終わるや否や,通路に旗を掲げて「INSOLENCE!」と叫びつつメンバーが動き回り,客を煽る.ラガ・メタルというスタイルは90年代末からいくつかのバンドが登場したものの大きなムーヴメントを生み出せずにいた.INSOLENCEも日本市場では何も起こっておらず,廉価版のイニシャル・プレスも店頭に置かれたまま...そんな彼らだが,個人的には気になっていたので,楽しみにしていたのだが,その期待に十二分にこたえるステージだった.
 バンドはウォーム・アップの出来たオーディエンスに対し,"Poison Well,","Revolution"などをエア.オーディエンスは,熱いステージに誠意を持って応える.全くの無名だった彼らが一度のライヴでここまで掴むとは.終演後には,マーチャン目当てに向かう客が殺到.それまで誰も着ていなかった彼らのTシャツが飛ぶように売れ,この日の夜はどちらを向いてもINSOLENCE Tシャツが目に入ることに...そう,何かが起こる瞬間を目撃できた.

G.B.H.

 キャンセルしたSHAM69の代役として直前まで日本縦断のクラブ・ツアーを行っていた彼らが出演.と同時にフロア前方に初期パンクスないでたちの集団が出没.すごいな.
 ヴェテランということでソツのないステージを見せれるのか,ヨタヨタしたステージになるのか,と期待半分,不安半分ではあったのだが,結果は吉.ツアー直後というのもあり,アクティヴなバンドであることを知らしめるタイトなステージ運びには敬服させられた.
 バンドは一曲ごとに,「この曲はXXに捧げます」などと紹介するのだけど,この日のオーディエンスはさっぱり理解できず,最前列のキッズはヘッドスイムを繰り返し,初期パンクスな人たちは仁王立ち...すごいな.この光景は.最後は,「偉大なパンク・ロッカーで尊敬に値する男に捧げる」と言って"White Riot"をドロップ.ここからこの日のフェスが「ジョー・ストラマー・トリビュート」としての意味合いを帯びてきた.

QUARASHI

 アイスランドのBEASTIES BOYSな彼ら.「カラシ」とプリントされたTシャツはマーチャン売り場でかなりの人気.とりあえず僕も購入済み.パンク色の強いこの日のライン・アップで如何に健闘出来るのか?フロア前方には次のEASTステージ出演のRANCIDに備えて,キッズが集結中.更に分が悪くなってきた...
 が,ステージではそんなことを意に介さず,ポップな,ヒップホップで楽しませるセットを披露.終盤には,「昨日東京でやったときはみんな大きな声で歌ってくれたんだ.君らもやれるだろ!」と始まったのは,"金太郎".しっかり日本語をマスターしてきたのは立派.なのだけど,知らないよな.童謡なんて...
 で,「バラードがあるんだ」などと切り出しつつ,「ラスト1曲なんだ.何をやるかはわかる人にはわかるよね」と始まったのは"Stick 'Em Up".フロアが大きなうねりとなる.僕もここでは飛んでしまう...と,膝の痛みに老化を感じる.

THE HIGH-LOWS

 どこでやってもこのバンドもファンも変わらない.ステージ待ちの時間からフロア前方は「ロックンロール」コール.これは格好悪いよなぁ.で,「ブライアン・セッツァーに会ったんだけど,僕の髪はリーゼントじゃなかった」というボケを入れつつも,セットはフジ02で見た時とそれほど変わらず."青春"や"相談天国"など安定してるなぁ.青春パンクですか,さすがですね.ある意味老獪でもある.流石ヴェテラン.いつ見ても良い.

RANCID

 危険な雰囲気がフロア前方を覆う中,ビルド・アップされたパンク・スター,RANCID登場.で,いきなり"Ruby Soho"からスタート.この曲が聴きたかったわけで,速くもヒート・アップ.で,新作からの"Fall Back Down"へ.タフな時に救いの手を差し伸べてくれる友人を歌ったこの曲はスラムダンスで潰れたときに救い上げてくれるライヴの一体感のようなものも込められているかのように,ライヴ・アンセムと言えるのではないか.バンドは日本ツアー中ということもあり,かなりタイト.貫禄いっぱいのステージ捌きは圧巻.そんな中歌うこんなリリックの重みが堪らない「何も君の方が僕より優れてるって言っても,僕がダメダメってことにはならないよな.何も君が前に向かって進んでるって言っても,僕が後ろ向きに進んでるってことにはならないよな」

BRIAN SETZER & SLIM JIM PHANTOM of the STRAY CATS with guest Mark Winchester

 長い名前だな.STRAY CATS 2/3,って.この直後のUKツアーにはオリジナル・ライン・アップで出演.ってどういうこと??知らない方が良い理由があるのかな??すっかり大所帯なイメージのあるブライアン・セッツァーが昔のメンツと競演ということで,様子見ではあったのだけど,これが,スリム・ジム・ファントムやりますね.かなり.ドラム・キットに野良猫のように飛び乗るわけだ.若いわ.ありきたりのロック・ソングなのだけど,見ていて楽しめる.ジョー・ストラマー・トリビュートはここでは,"I Fought The Law".満足.(03/03/13)