パスティーシュ「立派な銃士の作り方」にはテーマ曲があります。書いている最中は全然意識していなかったのですが、ある日この曲を聴いていてふと、「これはアトスの歌だな…」と思ったのがきっかけになって、それ以来私の中ではすっかりテーマ曲として定着してしまいました。

My Back Pages  マイ・バック・ペイジズ

 伝説のロック・バンド,ザ・バーズ(The Byrds)1966年の演奏バージョンです。オリジナルは、かのボブ・ディラン。
 オリジナルは、六番まであるいかにもディランらしい長い曲ですが、バーズは四番までに短縮し、しかも素晴らしいギター・リフと美しいハーモニーで、最高のフォーク・ロックに仕上げました。
 ここに、二番の歌詞を上げてみましょう。ディランの詩を翻訳するというのは非常に困難な作業で、出来れば避けたほうが良いのですが、ここはあえて二番の歌詞だけ私流に訳してみました。

Half-wracked prejudice leaped forth  
"Rip down all hate," I screamed    
Lies that life is black and white     
Spoke from my skull. I dreamed     
Romantic facts of musketeers     
Foundationed deep, somehow.     Ah, but I was so much older then,  

I'm younger than that now

出来損ないの偏見持ちのくせに 躍起になって
「みんな大嫌いだ、引き裂かれちまえ」と ぼくは喚いていた
人生は白か黒かだなんて馬鹿げた嘘が
頭の中から囁きかけて 夢を見てたんだ
銃士というロマンチックな事実が
深く深く根差していた どういう訳だろうね
やれやれ あの頃のぼくは老け込んでいたのさ
今の自分の方が若いような気がする

収録アルバム Younger Than Yesterday
アルバムタイトルはマイ・バック・ペイジズの歌詞に由来する

バーズ前期のベスト版 CMでおなじみの
Mr.Tambourine Manなど、かなり濃い内容でお買い得

 詩の内容は全体的に、「かつて自分は、投げやりで、支離滅裂で、ネガティブだった。でも今では若がえっている」というようなもの。随分長い間愛聴している曲なのですが、最近この全体を通したテーマが、アトスというキャラクターに被り始めたのです。そういう頭で聞いてみると、"musketeers"という歌詞が、そのものずばり「銃士」を指しているのではないかと思い始めました。それまでは「騎士」とか「兵隊」、もしくは「夢」のような翻訳を鵜呑みにしていたのですが…そこで私は、突如飛躍しました。

 もしかしたら作詞者ディランは、「三銃士」という作品とアトスをイメージしたのかも知れない

 私の希望がそう思わせているのですが、全く有り得ないともいえません。ともあれ、この美しくて、切なくて、前向きな名曲を、勝手に「立派な銃士の作り方」のテーマ曲に決定しました。もし機会がありましたら、是非お聞きになってみてください。別バージョンも素的ですので、ご紹介しておきましょう。

ディランのオリジナル版は、アナザー・サイド・オブ・
ボブ・ディラン ギター一本でエッチラオッチラ歌う

ディランのデビュー30周年記念コンサート・ライブ
R.マッギン,T.ペティ,N.ヤング,E.クラプトン,B.ディラン,G.ハリスン
による歴史に残る名演奏。実は私が一番好きなバージョンはこれ

The Three Musketeers  三銃士  Pastiche  パスティーシュ


  立派な銃士の作り方のテーマ曲
  

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