私、山川慧の書く「三銃士」パスティーシュのページにいらしてくださって、ありがとうございます。ここでは、私が書くパスティーシュ設定について、いくつかご説明します。これを読んで、さらにパスティーシュを楽しんでいただけますと、嬉しいです。


土台になるもの

 パスティーシュですから、当然「元ネタ」があります。つまり、設定を構成する要素ですね。まずこれについて列記しましょう。

  1.デュマ原作の小説「三銃士」(60%)
  2.リチャード・レスター監督映画「三銃士」,「四銃士」(20%)
  3.私の知識の断片(10%)
  4.私の好み(10%)


 デュマが書いた「三銃士」の続編「二十年後」と「ブラジェロンヌ子爵」は入っていません。いわば「三銃士」至上主義です。これはデュマ自身も、「三銃士」を足場にして続編を書いたのであって、その立場は(おこがましい事に)私と同じである!と考えているからです。起こった順番でいうと「三銃士」の前の話である「銃士の青年時代」は、「三銃士」連載の5年後1849年(Oxford word's classicsの年賦に基づいています)に発表された戯曲ですから、これも然りです


山川慧 オリジナルの設定

キャラ設定

1.アトス:原作「三銃士」よりも、映画に近いイメージ。オリバー・リードの「不良お坊ちゃま」という雰囲気が好きなので

2.ポルトス:完全に私のオリジナルでかなり良い役。どういう突発事故か、私はポルトスの地位向上を目指しているので

3.アラミス:原作「三銃士」ではブルネットだが、私の設定では金髪碧眼。このイメージの源泉は不明。
  白人の男が3,4人居れば一人は金髪…その程度の認識と思われる

4.グリモー:私が「グリモーはアトスが銃士になってから雇われ、主人の素性は知らない」と設定したとき、「そうだろうか?」と自分でも少し疑問を持ちました。そこで考えたのは、「『三銃士』において、アトスは伯爵という身分を隠して銃士になっているが、その男がかつて貴族だった頃の従者を引き続き雇うか否か?」という設問。デュマはイエス。私はノー。デュマは「銃士の青年時代」でグリモーをアトスが銃士になる前からの従者にしています(詳しくはまやこさんのご教授と、「三銃士ファンクラブ」のサイトを参考にさせていただきました)。
 「三銃士」において、アトスとグリモーは会話不要の主従関係にありますので、デュマ先生に分がありますね。
 もう一つ。私の書くグリモーは結構喋ります。喋らないと話が進行しないからです。


ストーリー設定

1.アラミスが銃士になったいきさつ
 原作「三銃士」にはアラミスがダルタニアンに、自分が銃士になったいきさつを語る箇所があります。私はこの原作の設定を全く受け継ぎませんでした。受け継いだら「立派な銃士の作り方」が始まりませんので…。映画で言うと、古くは「七人の侍」,「荒野の七人」,もしくは「ブルース・ブラザース」などで、順々にメンバーが揃っていく過程が面白いではありませんか。私はそれがやってみたかったようです。

2.アトスとロシュフォール
 「立派な銃士の作り方」の第三章において、アトスとロシュフォールは顔見知りということになっています。「三銃士」ではどうかというと、これがはっきりしません。しかし、アトスがダルタニアンと間違えられて逮捕される下りなどを考え合わせると、どうも面識はなかったという方に分があります。
 しかし、ここで登場するのがレスターです。彼の映画ではこうなっています。

(ダルタニアン、下宿の箪笥から頭を出して)「とにかく、あの男は…許せん。」
(場面転換。テニスを観戦するアトス)「その許せん男について教えてやる。名前はロシュフォール。枢機卿の腹心だ。」

私はこのシーンが大好きなのです!アトス格好良すぎるし、台詞回しが絶品です(inconvenient という言葉のダルタニアンからアトスへのパスがお洒落。この映画にはそういう場面がよく出てきます)。そういう訳で、こちらの設定を取りました。


 改めて自分のパスティーシュの設定を見直すと、意外にも原作とはかけ離れていることに気づかされます。かけ離れた理由なども、言うなれば「軽々しい」ものが多いようです。そこにはやはり原作が大好きで、好き過ぎて自分なりに遊んでしまうという、パスティーシュの宿命のようなものがあるのだろうかと思います。
 このHPにいらしてくださった皆さん、どうかパスティーシュをお読みになったら、ぜひともご意見、ご感想をお寄せください。また新たな創作意欲の源となることは、間違いありません。

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  「立派な銃士の作り方」の楽しい読み方
  

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