シティはギルドホールを中心として、商人たちが活躍した場だったため、「ロンドン市長」と呼ばれるLord
Mayor of Londonもその商人たちの代表が務めました。具体的には年に一度、聖ミカエルの祝日(9月29日)に各ギルド(同業者組合)の代表による、選挙が行われて市長が選出されました。シティの組織そのものは1189年ごろにはあったというのですから、その歴史は立派なものです。実はLord
Mayor of Londonという名称が明確に使われた事が分かっているのは1414年からなので、「戻れば三度市長になれる」の1406年はどうなのか分からないのですが、作品中ではこの名称を使わせていただきました。
市長の職務はシティの政治を司ると言って良いでしょう。基本的に市長の任期は一年ですが、例外的に数人複数年務めた人物もあります。その一人が、今回登場した“ディック”ことリチャード・ウィッティントンです。