私の音楽遍歴


 ヘビメタが好きなゲイって、私のまわりにはあまりいません。
 っていうか、私の周りに限定しなくても、すっごい少数派だと思います。
 ヘビメタのどこがいけないっていうのっ(いけないとは誰も言ってないが)
 やっぱり長髪だから?細いから?確かに、一般的なゲイの嗜好、短髪、マッチョの対極にいることは確かだけどね。私自身も、長髪スリム色白なヘビメタ兄ちゃんとやりたいかって言われたら、そりゃやりたくはないわな。どうせやるなら短髪ガッチリの方がいいもの。じゅるじゅる。

 って、そういう話じゃなくてヘビネタね。
 私も最初は嫌いだったんですわ。ハイトーンで叫ぶボーカル、歪みまくった音でやたらとテクニックを誇示するギター、ルート単音弾きだけのベースに、ツーバスドカドカの騒々しいドラム。どこがいいのよあんな音楽。やっぱり私には中島みゆきが合ってるわ、と思い続けていたんですね。っていうか、ここまで書いてたら、なんで自分がヘビメタ好きなのが、良くわかんなくなってきたわ。ほんと、どこがいいのよ、あんなの。

 えーと、なんで好きになたんだっけ。そうそう、私、高校に入った頃から、バンドを始めたんです。中学の頃からフォークギターは弾いてたんで、その延長で。ほんとは中島みゆきの曲をやりたかったんだけど、バンドスコアも売ってないし、初心者バンド少年にとって、耳コピなんて無理だったし、だいたい一緒に中島みゆきの曲をやろうなんいていう奇特な友人もいなかったんで、最初は流行りのBOOWYだのALFEEのコピーバンドをやってました。しかも、周りにギターが上手い奴はいっぱいいたので、私はベース担当。

 んで、高校生くらいのギター小僧は、やっぱりヘビメタに走るわけよ。ギター弾いてると面白いのよ、ヘビメタって。派手なテクニックひけらかせるし、目立ちたがりで、でも歌うのは恥ずかしいっていうお年頃の高校生は、我も我もとヘビメタギタリストを目指すわけですわ。一方、ベースとかドラムは地味だから、なり手が少ないのね。で、そのヘビメタ少年たちに請われて、数少ないベーシストだった私は、彼らのヘビメタバンドに加入したわけです。

 それから、練習のために自分でもヘビメタ聴くようになったんだけど、聴いてみると結構ハマったのね、これが。だいたい高校生くらいの年頃だと、何にでも影響されやすいものなんだけど。最初に気に入ったのはW.A.S.P.っていうバンド。純粋に曲が良くて気に入って、この曲やりた〜いとか言ってました。後で知ったんだけど、こいつらって、ステージで鶏殺したり、マネキンを斬首したり犯したり、客席に生肉投げ込んだりする、とんでもないお下劣なバンドだったんですね。なんか、戸川純といい、聖飢悪IIといい、悪趣味なものに惹かれるのね私って。
 それから、何が気に入ったってステージ衣装とステージメイクね。当時流行りのLAメタルって、RATTとか、MOTLEY CRUEとか、みんなステージでは化粧してたのよ。衣装も派手だったし。今思うと、ステージで綺麗に化粧して派手な衣装着てスポットライト浴びるのが好きだったのね、きっと。他じゃできないでしょそんなこと。田舎の高校生が、何の理由もなしに化粧とかしたら、絶対オカマとか言われて罵倒されて村八分にされるんだから。
 でも、ヘビメタのバンドやってて、ライブのときに化粧して派手な衣装着てても、あいつはヘビメタだからしょうがないか、みたいな免罪符になるじゃない。 それから、ヘビメタといえば長髪。ええ、私も伸ばしてました、髪。まあ、肩よりちょっと長いくらいだったんだけど。それに、体重も57Kgしかなくって、絶対にゲイにはモテないタイプだったわね。それが今では、立派なホモ丸出しの短髪になりました、はい。ついでに体重も15Kgほど増えてます。

 まあ、衣装と化粧はともかく、聴いてるうちに好きになったのね。あと、好きじゃなかったルート単音弾きだけのベースってのも、考えようによっちゃ良かったのよ。じゃない。左手ほとんど固定でいいんだから。(ほんとは、ルート弾きも奥が深いんだけど)コード進行だけ覚えときゃ一曲弾けちゃうし。ステージ上でも、必死でギターソロ弾いてるギタリストを横目で見ながら、客席のいいオトコを目で追う余裕もあったし。
 とはいえ、やっぱりルート弾きだけじゃつまんないから、ベースが派手なアイアンメイデンとかもコピーしてたけどね。ヘビメタじゃないけど、DEEP PURPLEのベースも面白かったな。あとLED ZEPPELINも。この辺りはバンド少年にはお約束ね。

 最近は専ら音楽は聴くばかりになっちゃったけど、機会があったら、またバンドでベース弾いてみたいわねぇ。


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