1995年くらいに割とSF関係で話題になった本だったと思う。手近につんであった文庫本は読みおわったので古本屋を覗いてみたら目にとまったので買うことにした。
読んでみてとても面白かった。前半は認知科学の用語があちこちに散らばっているので、とっつきにくいかも知れない。だが、そんなに難しいことを書いている訳ではないし、読みとばしても構わない。知っていればもっと楽しめる小道具にすぎない。
後半では主人公であるロボット、マギーが放浪の旅で人々との出会いと人格の成長がメインとなっている。一体の人形であったマギーが一人の魅力的な女性に成長していくさまは感動的である。
ちょっと残念だったのは、マギーの作者のアーノルドの内面描写が少し多かったように思えること。特にマギーの放浪の間接的な原因となったアーノルドの心の変化はマギー側から描写したほうがよかっただろう。
また、コンピュータネットワークの描写は陳腐さをぬぐえない。
もっともこれらは物語の本質ではない。気にしない人はまったく気にはしないだろう。