マグニチュード10

21世紀を4分の1過ぎた頃。地球のオゾン層は破壊され、貧富の差は広がっていた。
1994年カリフォルニアの大震災で家族を失った少年ルイス・クレインは地質学者になり、地震による被害の根絶に全力を傾ける。その途方もない計画とは……

クラークにして登場人物が躍動的だと思ったらクラークは原案だけだった。映画用の概要だけを書いてエージェントに渡し、それをマイク・マクウェイが小説にしたのだという。
仮想現実ネタが少しあるのだが、なんかいまいち。
地震のシミュレータをつくるのではなく地球そのもののシミュレータを作ろうというのだからなんとも壮大な話なのだが、なんとも嘘っぽくしか聞こえなかった。
登場人物の一人が性別を偽って生活をしており、読者にも隠しているのだが、私は本来の性別として読んでいたので、「実は」とやられても興ざめだった。3人称があまり使われていなかったためだと思う。もう少し頻繁に3人称が使われていればだまされただろうに。


書名:マグニチュード10(Richter 10)
著者:アーサー・C・クラーク、マイク・マクウェイ(Arthur C.Clarke and Mike McQuay)
訳者:内田昌之
イラスト:岡本三紀夫
発行所:新潮社
初版発行:1997年12月1日
ISBN4-10-223502-7 C0197

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