グランド・バンクスの幻影

1912年に沈んだタイタニック号を引き上げる小説である。
タイタニック号の沈没から100年目に引き上げる計画を2つの団体が別々にたてる。どちらも非常に大胆かつ巧妙な計画をたて、根回しを行い実行に移すのだが……

クラークの主なテーマの一つである海洋SFである。一つ一つの章は短く互いに連続していないことが多いので慣れないと戸惑うかもしれない。
巻末に「資料と謝辞」「付録」がありどちらも興味深い。「資料と謝辞」はその名の通りネタ本の紹介と情報を提供してくれた人への感謝の言葉。「付録」はマンデルブロ集合に関するクラークの講演メモである。なぜマンデルブロ集合かは本書を読んで欲しい。
マンデルブロ集合で思い出すのは学生の時に習った制御工学である。安定なシステムか否かを判定する際にパラメータを平面にプロットしてその位置により判定するのだ。それに通ずる説明も付録には書いてあった。


書名:グランド・バンクスの幻影(THE GHOST FROM THE GRAND BANKS)
著者:アーサー・C・クラーク(Arthur C.Clarke)(『資料と謝辞』『付録』)
訳者:山高 昭
解説:牧 眞司
イラスト:浅田 隆
発行所:早川書房
初版発行:1997年10月15日
ISBN4-15-011208-8 C0197

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