史上最強のハッカーとしてFBIからにらまれ、逮捕されたケヴィン・ミトニックによるセキュリティの教科書だ。主に人をだまして、何かをさせたり、情報をもらうための技術を書いている。
岩谷宏の訳がだめなのが非常に残念。同じコンピュータアカウントの意味に、「アカウント」と「口座」を同時に使ったりで、まともに校正してないんじゃないかと思う。
また、訳注もだめだ。P115でハッシュの話で自分の訳した本をあげたり、P168ではウイルス対策はLinuxにしてしまえばいいと取れる注釈にしたり、P455でセキュリティ情報サイトの例として、Linuxだけをあげたり、と非常に偏っている。
ミトニックがアメリカ国内を対象に書いているため、日本の実情に合わない部分が多いが、良い本ではある。
日本ではこの手の事件は発生していないように見られるが、実は、キャッチセールスなどではこの手の技術が使われているのだ。キャッチセールスなどではお金が取られるから被害に気づくのだが、こちらは情報で、気がつかないことが多いのだろう。