欺術 -史上最強のハッカーが明かす禁断の技法

史上最強のハッカーとしてFBIからにらまれ、逮捕されたケヴィン・ミトニックによるセキュリティの教科書だ。主に人をだまして、何かをさせたり、情報をもらうための技術を書いている。
岩谷宏の訳がだめなのが非常に残念。同じコンピュータアカウントの意味に、「アカウント」と「口座」を同時に使ったりで、まともに校正してないんじゃないかと思う。
また、訳注もだめだ。P115でハッシュの話で自分の訳した本をあげたり、P168ではウイルス対策はLinuxにしてしまえばいいと取れる注釈にしたり、P455でセキュリティ情報サイトの例として、Linuxだけをあげたり、と非常に偏っている。
ミトニックがアメリカ国内を対象に書いているため、日本の実情に合わない部分が多いが、良い本ではある。
日本ではこの手の事件は発生していないように見られるが、実は、キャッチセールスなどではこの手の技術が使われているのだ。キャッチセールスなどではお金が取られるから被害に気づくのだが、こちらは情報で、気がつかないことが多いのだろう。

書名:欺術 -史上最強のハッカーが明かす禁断の技法(The Art Of Deception)
著者:ケヴィン・ミトニック ウィリアム・サイモン (Kevin D. Mitnick & William L. Simon)
訳者:岩谷 宏(訳者あとがき)
装丁・本文デザイン:米谷テツヤ
組版:スタヂオ・ポップ
発行所:ソフトバンク パブリッシング株式会社
印刷:株式会社厚徳社
初版発行:2003年6月25日
ISBN4-7973-2158-X C0098
形態:四六判ハードカバー
定価:1900円+税