トリガー

人工重力の実験をしていたが、「場」に火薬の自己発火・爆発を起こす作用があることが判明する。それは火薬を使用した武器・兵器の無効化を意味する。
銃による死傷者が絶えないアメリカ合衆国でそれらの人を救えるかもしれない、と喜ぶ発明者達。しかし、その発明を失われないよう、かつ効果的に公表するかが問題となるのだが……

銃を無効にできるようになったら、という所から出発したアイデアストーリーだ。書き手が一流なので読みごたえはある。しかし銃による事故・犯罪が少ない日本ではあまり現実感を伴わないのも事実。
最初、帯とか読まずに読み始め『テラバイト研究所』とかの記述で、「またヴァーチャルリアリティネタか?」と思ったが、違った。
個人的には2/3を過ぎたあたりからようやく面白くなった感じがする。それまでのほとんどが政治劇に終始していたためだろう。エピローグは皮肉ではあるが、予想を上回るものではなかったのが残念。


書名:トリガー(THE TRIGGER)
著者:アーサー・C・クラーク & マイクル・P・キュービー=マクダウエル(Arthur C.Clarke & Michael Kube-McDowell)
訳者:冬川 亘
解説:冬樹 蛉
カバーイラスト:加藤直之
カバーデザイン:ハヤカワ・デザイン
発行所:早川書房
印刷:精文堂印刷株式会社
製本:株式会社川島製本所
初版発行:2001年12月31日
上:ISBN4-15-011383-1 C0197
下:ISBN4-15-011384-X C0197
形態:文庫(上:SF1383 ク-1-36 下:SF1384 ク-1-37)
定価:上:本体900円+税 下:本体900円+税
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