21世紀、地球の温暖化のため、いくつかの平地が海に没し、行き場を失った人々は宇宙へ開拓民として出ていった。開拓民は宇宙という苛酷な環境に立ち向かうために、既存の組織運営を捨て個人の能力を最大限に発揮できるよう横並びで緊密なネットワークからなる組織へと移行していった。
開拓をはじめてから一世紀ほどたち、火星程度の質量を持った小型ブラックホール、カーリーが太陽系に接近してきた。開拓民達は冥王星の衛星軌道に載せることに成功、人工の降着円盤をつくりエネルギー源として活用しようとする。
開拓民達が無尽蔵とも言えるエネルギー源を持つことに地球に住む人類は反感を覚え、その感情は対立を生むのだった。
那国文明圏物と同様に組織論を扱ったシリーズ短篇の単行本化。
宇宙開拓民の中核となるAADDは「暗黒太陽の目覚め」の龍党と同様に階級のない組織として描かれている。
那国文明圏物に興味を持った人は是非読むべきだ。