若き伯爵、レグラス・ヴァカンティは贔屓にしている標本問屋のラスコーの店を訪れるなり、言い放った。「ピニェルへ行き給え。あそこの標本は高騰するぞ。じきに滅ぶのだから」
19世紀の技術レベルと社会情勢で恒星間交易能力があったら、というアイデアストーリィ。19世紀は博物学の世紀でもあり、知識人はおぞって標本を蒐集し、分類し、図版を残したのだ。当時のメンタリティを持ったまま恒星間交易を行なえばどうなるか、は推して知るべし、である。
銀河博物誌シリーズの第1作となっているが、残念ながら現在まで2作目以降は出ていないようだ。