ピニェルの振り子

若き伯爵、レグラス・ヴァカンティは贔屓にしている標本問屋のラスコーの店を訪れるなり、言い放った。「ピニェルへ行き給え。あそこの標本は高騰するぞ。じきに滅ぶのだから」

19世紀の技術レベルと社会情勢で恒星間交易能力があったら、というアイデアストーリィ。19世紀は博物学の世紀でもあり、知識人はおぞって標本を蒐集し、分類し、図版を残したのだ。当時のメンタリティを持ったまま恒星間交易を行なえばどうなるか、は推して知るべし、である。
銀河博物誌シリーズの第1作となっているが、残念ながら現在まで2作目以降は出ていないようだ。

書名:ピニェルの振り子
著者:野尻抱介(あとがき)
カバーイラスト/本文イラスト:草薙(正しくは弓偏に上が前下が刀)琢仁
カバーデザイン:溝端ひろみ
発行所:株式会社朝日ソノラマ
印刷製本:図書印刷株式会社
初版発行:2000年7月31日
ISBN4-257-76887-8 C0193
形態:文庫(ソノラマ文庫887 の-1-1)
定価:本体495円+税