オープンソースの伝導師、エリック・レイモンドのオープンソースの有用性を説いた論文4部作のうち第3部までと、訳者、山形浩生によるエリック・レイモンド インタビュー、そして山形による解説からなっている。
エリック・レイモンドの論文は対象としている読者が最初はハッカーのみだったが、エンジニア、経済界へと徐々に広がっていっている。それはエリックの立場の変化(fetchmailの作者からオープンソースの伝導師へ)に対応しているようで興味深い。
また山形の解説やあとがきも日本のオープンソースに係わっている人の一意見として見る事ができる。
私は非常に面白く、またいくつかの発見をしながら読むことができた。ただ、この本は読者を選ぶ。ハッカーコミュニティに属しているか、その周辺にいる者でないと理解も共感もできないだろう。フリーウェアを「シェア作りために無料にしていて、シェアが確保できたら有料にする」などと捉えている輩には一生解らないに違いない。
この本の内容はほとんどネット上で見る事ができる。しかもネットの方が先に公開されていたのだ。ネットで見る事ができる本というのは増えているが、ネットの方が先でしかも自由に、というのは少ないだろう。
なぜ買ったのか? と聞かれれば、面白い物に報いるのは当然だろう? と答える。そういうのも文化というものじゃないのかな。