無節操な日本人

羽生氏から「面白いよ」ということで貸してもらった物である。 「日本人は他国の人と違い、情緒主義であり、行動の基準となる行動原理がない」と説いている。実際、海外で起こるテロリズムやデモ行動を理解するのは日本人には難しい。簡単にテロなんかするな、とか、そんな無理な要求して何になる、などと思うのである。

また、情緒で判断するため、極端から極端へと流れることが多いとし、幕末、大東亜戦争、高度経済成長を例にあげている。

面白かったのだが、説明が少々冗長だ。確かに事例をあげて説明することは必要だが、多過ぎるのではないだろうか。また、例としてあげている事例が表層的にしか扱われていないように思える。

最後の章で「自他ともに懐疑的思考ができる行動原理主義者」を目指すべきだと述べているが、懐疑的になるにしても、明確な判断基準を持たないことには情緒主義になってしまうのではないだろうか?

不満な点を書き連ねてしまったが、一読の価値はある。「ここが変だよ日本人」といった、海外の人の意見・主義・主張が聞ける番組を見る際に頭の隅にでもあると違った視点で見ることができるのではないかな。


書名:無節操な日本人
著者:中山治
装幀者:間村俊一
発行所:株式会社筑摩書房
印刷・製本:株式会社精興社
初版発行:2000年6月20日
ISBN4-480-05850-8 C0211
形態:新書(ちくま新書250)
定価:本体660円(税別)
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