ヴァレンタイン特別編「ザ・愛」 (2巻巻頭カラー)

愛の告白には大雑把にいって士農工商の4つの型がある。
商はもちろん高価なプレゼントを贈る型(例:はいこの鍵、君にモンテカルロの別荘を買ってあげたよ)。
手堅いがそれによって得た愛が真実かどうか疑問が残る。
工は己の技能でプレゼント(例:昨日徹夜して君に捧げる詩を書いてあげたよ)。
賭博性が非情に高く失敗するとトラウマになってしまう。
農は一気に求婚(例:嫁にこないか〜〜)。
士は誇り高く行け(例:お前、俺のことが好きやな、以下省略)。
TPOをよく考えてぜひ行使してもらいたい。

(モーニング98年11号)


えの24「海ヲ見ニイク日」

オオキナ、
オオキナ、
スイヘイセンガミエルウミノマエニタツト、
ヒトハトテモチイサクテ、
ナンカソレガウレシクテ、
ヤナコトミンナワスレテ、
ココロガカラッポニナルヨ。
ナンカソンナカンジ、
キットソンナカンジ。

(モーニング97年32号)


えの25「FROM 男 TO 女」

『山羊のジレンマ』を諸兄はご存じか? 
山羊を中心にして2か所、干し草を等距離に置いた場合、山羊はどちらかを食べに行こうとしても、
その間にもう一方を取られてしまうことを恐れて身動きができず、ついには餓死してしまうという例え話だ。
これに類するものに、ある青年の名前をとった『M田のジレンマ』がある。
M田から等距離に2人の全裸女性を置いた場合、彼は悩んだすえに自分を慰めだす。
イイ話である。人が人に恋い焦がれる気持ちはかくのごとく深く、思慮は全然浅い。


(モーニング97年33号)


えの26「愛と絶望の清掃課」

神はなぜ、人間に男と女をつくりたもうたのか。
酒席での失敗の実に78%がその場に異性がいたためと言う現実
(96年度編集部統計。ちなみに残りの主な原因は、その場に上司がいたため。
神はなぜこの世に上司をつくったか)を考えると、いっそ性別など存在しなくていいのでは、とさえ思える。
ビデオレンタル屋でよく目にするのだが、どうもブラジルのほうには女性だけの国が存在するようだ。
その国の酒宴はさぞ品行方正なことであろう、一度参加してみたい。

(モーニング97年35号)


えの27「愛の熱情と発情」 

お見合い。それは夢と希望に満ちた、人生一発逆転の響きがあり、
かつまだ俺にはこの手があるんだよという、生きていくうえでの余裕にもつながり、
しかもなにやら官能のニオイまでするという驚異の言葉だ。
似た効能をもつ言葉に『合コン』があるがやはりカジュアルである分、インパクトは弱い。
がんばれ郷介、見合って見合って!!


(モーニング97年36/37合併号)


えの28「サマーホリディ」 

キャンプ、それは真人間のための美しい宴である。
まず朝ちゃんと起きられる人間でなければキャンプに参加することすらできない。
徹夜して行く人は論外である。
また、みんなできちんと準備と掃除ができる人間でないといけない。
小学校のころ教室の掃除を全部女子にまかせていたような人間は参加を見合わせるべきであろう。
人生50年、立派にキャンプを遂行できる人になりたい。


(モーニング97年38号)


えの29「ウンチングブレイン」

あなたのお父さんはあなたがピンチの時、頼りになりますか。

(モーニング97年39号)


えの30「穴をぶち開けろ!!」 

人間みな、河合我聞のような外見に恵まれている訳ではない。
そこでいかにモテるか秘術をこらす必要が出てくる。
コツを伝授しましょう。
まずギャルが「ドリンク飲んでいいですか?」とたずねてきたら、鷹揚に承知しなければならない。
間違ってもお金を安くすませようと「ウォーターにしなさい」などと言ってはいけない。
だいたいムダである。
また「カラオケなに歌います?」と聞かれたらいくら好きだからといっても
「アイアンバタフライのインナ・ガダダ・ビダあるかな?」などと訳のわからないことを言ってはいけない。
無難に若向けの曲を選ぶこと。あとはまめに店に足を運べば大丈夫でしょう。


(モーニング97年40号)


えの31「月の,暗いほう」 

好みのタイプといってもいろいろあって例えば家の外では自分のことを厳しく叱ってくれて
家の中では甘えさせてくれる女の人(ショートヘア)なんて言ってる男もいるが
これなどは少々難解な哲学、ていうか実現は難しいと思う。
でもどうせ女の人も男について自由自在に理想を掲げていると思うのでこういうのは言った者勝ちか。
考えてみるとみんなして好き勝手な理想を放言していると思うので
この世におびただしいカップルが成立しているのは不思議ですね。
あなたはこの漫画のなかに好みのタイプはいますか?


(モーニング97年41号)


えの32「これで,私を」 

SとMは相互補完的ではない、と言ったのはジル・ドゥルーズである。
SはむしろM以外の者をいたぶる方が楽しいし、
Mはいたぶってくれる者を自らの手で育て上げる場合が多い。
つまりSとMの間で完結した世界が築かれているわけではなく、
誰にでも参加できるチャンスはあるのだ。ムチの準備をお忘れなく!

(モーニング97年42号)


えの33「野性山脈」 

季節は秋。
人が皆ポエジーに目覚める季節。たとえ下ネタでも詩情豊かに発言してみるのも趣があって良いだろう。
たとえば「男というものはボインが好きさ」を「益荒男ってヤツは胸乳が好きさ」。
なにかこう、気の利いた求愛の言葉に聞こえるから不思議だ。これも秋の魔力だろうか。


(モーニング97年43号)


えの34「独身にサヨナラホームラン」 

スポーツには涙が相性がええのう。
もう10年も前になるが、それはそれは熱心にラグビーに打ち込んでおったラグビー部があったそうじゃ。
チームワークも抜群じゃったようで合宿の夜などは互いの尻穴の見せ合いなどをして興じておったという。
そこへその部のOBでもある顧問が入ってきたから大変じゃ。
顧問はあまりの情けなさにその両眼から熱い涙をハラハラと吹きこぼして怒ったという。
むかーしの話じゃて。


(モーニング97年44号)


えの35「俺はセクシー」 

ふられた時の情けない気持ちったらない。
思わず体裁を取り繕うために「まあ、たまにはふられるのもええわ」
などとより致命的な(昭和61年発言)発言をしてトラウマになったりする。
男ならふられた時用のセリフを常に装備しておきたい。
普段からの心掛けが大切だ。「実は俺、出家してたんだ」というのはどうだろう?
ちょっと意表をついてみた。


(モーニング97年45号)


えの36「奔流」 

出もの腫れもの所かまわずといって、そりゃ人ごとじゃないし誰だってそのつらさ、
哀しみ、怒り、憎しみその他その時に去来する気持ちはわかるけど、
でもだからといってそれを見つけた時の衝撃や後始末のことをぜひ考えて欲しい、
つまりマックの駐車場や人んちの前で脱糞するのはやめましょう、お願いだから。
このまんがでお尻のエチケットを。


(モーニング97年46号)


えの37「母のような,大地のような」 

かつて東京都中野区沼袋で『異教の祭りなど祝わない美しい日本男子の会』が
12月24日に催され孤高の男子が8人、ある一室につどい楽しいビデオ鑑賞を行った。
だがその部屋の主がたまたま激しい風邪をひいていたためその男子達は全員翌日から激しい風邪に倒れた。
"死屍を鞭打つ"とはまさにこのことだった。葛原さんに助けてもらいたかった。

(モーニング97年47号)


えの38「禁じられたえのもと」 

男はそれに様々な情熱をかたむけるもので、シュッO津という男は夢でいたすあれに燃えていた。
その道のプロともいえる彼はある夜、15日間ソロ活動を自粛してイマジネーションを蓄積し
満を持して"イイ"夢でいたすあれに挑んだものだ。
が、明くる日悄然とした彼が語るにはその夢は「木の股にこすりつけて出す」という内容だったそうな。
くるおしい思春期の夏。とても重荷だったブツ。

(モーニング97年48号)


えの39「美貌哲学」 

美学を忘れた男。それはもはや男ではなくオスであるなり。
男と生まれたからには己の美貌を放射して、
性別などものともせず男も女も悩殺するくらいの気概をもって生きたいものなり。
なにかこう、取り返しのつかないことを言っている気もするがそれもまた勢いなりイケイケなり。


(モーニング97年49号)


えの40「男の象徴主義」

秋、芸術家風がギャルにもてるコツかも?
まず基本、苦痛の表情を装着、たまに哄笑してみせてアクセントをつける。
そしてアベックを見ては「僕にもそう、幸福に生きる能力があったならば……」
酒を飲んでは「芸術家の人生は緩慢な自殺……」などとうそぶく。
基本フォームが固まったならばいよいよ芸術的なうんちくをかたむけてギャルにアタックだ。
「僕はむしろ写実派よりも浪漫派だね。特ににっかつ浪漫派には影響を受けてて、
まあみんな70年代はそうだったけど『セーラー服百合族』なんかは名作で……」。
話題に困ったらえの素を持ち出せ。


(モーニング97年50号)


えの41〜44は、資料の収集がなされておりません。
皆様の御協力をお願いいたします。


えの45「輝けサンシャインデー」

ヘアースタイルは男にとって自分のポリシーの表現手段である。
切ないほど女性にもてたい、文句があったらかかって来い、など諸種様々だ。
なかには、もはやなにがどうなってもいいという人生への深い絶望のメッセージをはらんでいたり、
私はクレイジーワールド オブ アーサー ブラウンのファンですといった、よくわからないものもある。
美しく禿げ上がったヘアースタイルが表現するその意味はもちろん"己の進退に関する潔さ"だ。


(モーニング98年8号)