えの1「父子馬鹿」

<広告>
榎本俊二の処女単行本、GOLDENLUCKEY・1〜10、絶賛発売中。
知ってる人は知っている。知らない人もぜひ買おう。これがなかなか、イイ感じ。


(モーニング 97年9号)


えの2「企業戦士GOUSUKE」

<前回まで>
前田郷介、四十二歳。妻に逃げられ、ひとり息子のみちろうとふたり暮らし。
幼いみちろうの前途を案じる姉の勧めで、郷介は幸子という女性と見合いをし、結婚を決意する。
しかし、みちろうは、「父さんがいてくれたらいい」と幸子を拒み、郷介を泣かせる。


(モーニング 97年10号)


えの3「ハイウエースター」

<前回まで>
会社員の前田郷介は、妻に去られ、息子のみちろうとふたり暮らし。
まだ幼いみちろうには母親が必要と実姉の勧めで再婚を決意する郷介だが、みちろうはこれを拒む。
父子のきずなはかえって深まるものの、折しものリストラの嵐の中、郷介に解雇通告が下った!!

(モーニング 97年11号)


えの4「地獄のララバイ」

<前号まで>
会社員・前田郷介は妻に去られ、会社もクビになり、客観的にはお先真っ暗の状況にある男だ。
だが彼は愛する息子・みちろうと2人、明るく前向きに信念を持って、日々の暮らしを光り輝いて生きている。
立派な人間だと思っていただこう。

(モーニング 97年12号)


えの5「ハッピー家族」

<前号まで>
前田郷介は妻に去られ、会社もクビになり、平均的な日本人ならばもうダメだろう思われるくらい、
シビアな状況にあった男だ。だが彼は息子・みちろうと2人、日々の暮らしを非常に建設的に生きていた。
そのかいあってかみごと職場復帰を果たす。最高の男だと思っていただこう。

(モーニング 97年13号)


以上までの文章は、H田氏の前に「えの素」の担当であったF沢氏が書いた物です。
H田氏はこれ以降「えの122」で、現担当M草氏と交代するまで担当を務めました。
F沢氏がこういう面白い文章を残していたおかげで、H田氏も負けじと次々と名文を世に送り出したのでしょう。
そういう意味で、あえてF沢氏の文章も掲載いたしました(無許可ですが・・・)。

これ以降がH田文学です。じっくり御堪能下さい。
なお、H田氏からは「好きにしちゃって下さい」と、昨年の緊急東京サミットのおり、掲載許可はとってあります。




えの6「勤労感謝の日」

<この物語は>
意欲的に働き、大胆に子供を育てるダイナミックなサラリーマン、前田郷介。
彼はモーニング9号で不覚にも会社をクビになってしまったが、幸運にも11号で華麗なる復職を果たす。
そして12号で、生活苦から愛する息子・みちろうを別れた妻に押し付けようとするが
前妻の家族がみんな死んでしまったために失敗する。
そして今号は郷介、復職後初出勤の巻。


(モーニング 97年14号)


えの7「桃色パラダイス」

<この物語は>
サラリーマン、前田郷介。
彼は妻の出奔や会社上層部の謀略等、公私ともにハードな運命にみまわれながらも
自信のポリシーを微動だにさせず、日々を生きぬく勤労戦士だ。
愛する息子・みちろうと2人、明日の日本を創れ、郷介!!


(モーニング 97年15号)


えの8「エナメル質全壊」

<この物語は>
家族っていったいなんなのでしょうか?この物語の主人公・前田郷介には、妻がいません。郷介の日本人
ばなれのしたエキゾチックなライフスタイルについていけず、家を去ってしまったのです。息子と2人、
家族という名の空虚な檻に残された郷介は当然グレました。会社もクビになりました。幸いまた復職しま
した。だけど愛する息子・みちろうのために、まだなんとかパパやってます。


(モーニング 97年16号)


えの9「前田家の祖母」

<STORY>
家族。裸族や華族ではない。
家族。それはどんなに憎しみあい、ののしりあっても否定することのできないこの世の絆。
この物語は、妻の出奔によって家族のはかなさを思い知った中年男が、
息子の存在によって家族の確かさを知る、炎の人生劇場である。


(モーニング 97年17号)


えの10「ヤングメモリー」

<STORY>
父と子。それは親子であると同時に男と男である。互いに深く理解しつくし、愛しあいながらも、
いやそれゆえにこそ、この世で一番恐ろしいライバルなのだ。
この漫画の主人公である前田郷介、みちろうの親子とて例外ではない。
時として激しく憎しみあい、ののしりあいながらも、彼らは心の奥底に優しさを秘めて、理想の父子像を追いかけてゆく。


(モーニング 97年18号)


えの11「人面かつらの怪」

<STORY>
前田郷介にとって前田みちろうはこの世でたった1人の息子であり、
前田みちろうにとって前田郷介はこの世でたった1人の父親なのだ。
こう考えれば解ってもらえると思うが、親子とはかくも貴いものなのだ。
前号、高校の同窓会に出席しようとする郷介は、その貴い息子の助言を受けてかつらを装着した。
が、なんとそのかつらはご覧の通り、人面かつらだったのだ!!


(モーニング 97年19号)


えの12「男友達」

<STORY>
男にとって立派に働き、力強く家族を守ることは勲章である。
前田郷介は厳密に言うと、とっくに妻が逃げてしまっているので力強く家族を守っているとは断言できないのであるが、
そのかわりと言ってはなんだがその分一人息子のみちろうを思う存分に慈しんでやっている。
またみちろうもそれに応え、健康だけを取り柄にすくすくと育っている。
この物語はそんな親子の、魂の遍歴である。


(モーニング 97年20号)


えの13「ザ・ニューフェイス&モンスター」

<「えの素は謎の漫画」>
前田郷介と前田みちろう。彼らはモーニング10号で交通事故で死亡した。
前田みちろう。彼はモーニング12号で包丁を頭に刺され死亡した。
前田郷介。彼はモーニング14号で痴漢を働き逮捕された。
前田みちろう。彼はモーニング15号で棚に刺さって死亡した。
前田郷介とその母、前田みちろう。彼らはモーニング16号で家屋倒壊のため全員死亡した。
前田郷介。彼はモーニング18号で醜女に殴打されて死亡した。


(モーニング 97年21号)


「えの14」以降、タイトルが原則として「STORY」となって「えの122」まで続きます。
ですのでタイトル表記を省略します。


えの14「炎の老人」

<STORY>
家庭と仕事。こちらを立てればあちらが立たず、あちらで倒れてこちらも倒れ、
ここらあたりが一番、男にとって舵取りが難しく、この2者の両立がデキる男のステータスと断言しても良いだろう。
前田郷介は、ちょっとその辺に失敗して妻は逃亡しててしまい仕事もクビになった。人々は彼をバカにした。
だがどうだ!! 現在の彼を見よ!! 妻はいないままだが職場には復帰したぞ!!
あたかも巨人の桑田のごとし!! 妻は帰ってこなくても、みちろうがいる、人生悔いはなし悔いはなし。


(モーニング 97年22号)


えの15「You're sexy ヒヒジジー」

かつて神の存在の証明を迫る科学者に対して、ある神学者は言った。あなたは愛の存在を証明できますか――と。
人は運命の人と出会いやがて愛しあい、美酒に酔ったように愛をささやき
あるいは安酒に酔っぱらって愛をささやき家庭をつくって家族をつくる。
愛は貴い家族は貴い。たとえ妻が逃げてしまっても。
人は愛の存在を証明することはできなくても、その存在を確認することはできる。
たとえばこの物語を読んで。


(モーニング 97年23号)


えの16「女の一生」

冬の〜〜カポエラ〜〜♪♪ 人生とはダジャレのようなものではあるまいか諸兄?
地下鉄で車両の中に誰もいないのをいいことに、長年の宿願を果たすのは今とばかりに網棚に横になって寝たところ、
次の駅で大量に人が乗り込んできてしまい、降りるに降りられなくなってしまいやむを得ず寝たふりを続ける(実話)。
誰でもそんな体験の一つや二つは披露できる、それが人生なのではあるまいか?
このまんがの主人公である前田郷介の人生は、やや人より笑えるネタが多い気もするが、
要は本人の納得がありさえすればいいのだ。


(モーニング 97年24号)


えの17「牛のようなおっぱい」

男はなぜ働くのだろうか?
もしこの世にまったく女の人がいなくなってしまったなら、男はまったく働かなくなってしまうのだろうか。
この命題を考察するにあたって、男子校というそれにふさわしい環境がある。
まったく女子高生の目がない男子校においても、男は試験や体育で張りきっている。
そうしてみると男の努力は女の人の存在と関係がないといえる。
だがこの場合、男子校というやや地獄に近い環境からより豊かな生活を夢みて日々精進しているという
解釈も成立するので断言はできない。郷介の職場は男4人に女が1人。
女性の存在が郷介達の仕事への意欲にいかなる影響を及ぼすか、ぜひ注目してみたい。

(モーニング 97年25号)


えの18「ロッパーの嵐」

40歳をすぎたら男は、自分の顔に責任を持たねばならないとかつてツァラトゥストラは言った。
と、言うことは40歳になるまではたとえ鼻毛を3cmほど伸ばしてたなびかせていても、
「これ、ボクの責任じゃないスから」と言って平然としていて全然オッケーだと言うことだ。
このやり方をつらぬいた場合、いざ40歳になった暁にはたいへんな責任が自分の顔面にふりかかってくることとは思うが、
あえてお勧めする。この漫画の登場人物を見てごらんなさい。
みんな自分の顔のことなど深く考えない人達ばかりだ。


(モーニング 97年26号)


えの19「ネズミ人間の襲撃」

20世紀の私たちは、いつしか文明に溺れて自然の掟を忘れてしまってはいないだろうか。
酔っぱらっては緑を破壊し、マイクを握っては大音響をはなち、出会う女性の82%には恋情を抱く。
私たちこそが自然にとって最も恐ろしい敵≠ネのではあるまいか反自然者≠ネのではあるまいか。
ネズミ人間の襲来はその警告のように思えてならない。


(モーニング 97年27号)


えの20「ネズミ人間の襲撃・後編」

ネズミ入りラーメンを食べて、ネズミ人間になってしまう。人間長い間生きてれば様々な病魔に侵されるものだ。
以下のような症状がみられたら郷介をみならって即、病院にいくことをお勧めする。
たとえば、すれ違う女子高校生がみな自分のことを笑っている気がしてならない。
これなどは本当にそうである可能性が大なので大丈夫だが、電車の中の人が皆、自分を笑っている気がしたらアウトだ。
また肉眼でピンクの象を目撃した場合も疑ったほうが良い。
著しくスケール感を逸した、大名行列を目撃した場合も念のため病院にいったほうが良いだろう。
無論、等身大の行列なら目撃してもなんら気にすることはない。みちろうが治癒するか否か、我々も人ごとではないですな。


(モーニング 97年28号)


えの21「金をくれ」

子供のころ、はやく大人になってしまいたいとおもいませんでしたか。
大人になればお金も自由に使えて、勉強しろとうるさくいわれることもなく、
なにも悩むことなんか無いのだ。
でもまさか、いざ大人になってもこんなありさまだとはトホホ。
うすうす感づいてはいましたが、予想よりもひどかったですよね。


(モーニング97年29号)


えの22「カーッといきますか」

むかし男ありけり。
男、修学旅行の船の中で飲酒のすえ、尻に煙草をはさんで踊りけり。
そこへ男の友人来たりて「タバコないけ」と聞きけるに男、
自身の尻に挟みたる煙草をさして「それ吸えや」とのたまいたり。
男の友人、一服してのち男に言いける「このタバコ、コーヒーの味するのう」。
人類皆兄弟、親類皆京大、サラリーマンは皆かくのごとき人種の末裔なり。
郷介はその王様なり。


(モーニング97年30号)


えの23「いったい誰が,真の家庭の幸せを把握しているのだろうか?」

いったい、人が結婚しなければならないなどと、どこのどいつのドイツ人が決めたのか。
成人は結婚しなければこれを社会的に罰すべし、と六法全書に書いてあるとでもいうのか。
この世にもし結婚などという蛮習がなければ、人の生涯苦悩量は約3分の1になるはずだ。
一度結婚するという失敗をおかし、しかもその結婚までが失敗に終わった郷介は
それをよく知っているのだ。
結婚制度はんた〜い、結婚制度ぼくめ〜つ。


(モーニング97年31号)