嗚呼!悲しき中間管理職

胆島課長編




 元清掃課課長:胆島。しかし、その職に今居るのは前田郷介、その人である。突如姿を消した中間管理職の元に訪れた、数奇な運命とは!?





在りし日の胆島課長

 胆島が初めて我々の前に姿を現したのは、「えの13:ザ・ニューフェィス&モンスター」である。郷介や田村たちが居る、清掃課の課長として登場。その日に清掃課に新規配属された、二比を伴っての登場となった。実は、葛原さんと二比もこの話が初登場なのだが、胆島はこの二人の陰に隠れる形で、いずれにせよ存在感の薄い存在ではあった。
 胆島の特徴は、なんといっても「短足」であろう。二比が実測したところによると、全身長の5分の4が「胴体」であり、「内臓デカイんすか?」と失礼なことを言われてしまう。このいきさつからして、新人にもナメられてしまう人物であることが容易に推測されるのだ。
 また、しょっちゅう勤務中でも休み時間でも、寝て居ることが多い。居眠り中に窓から放り出されたこともある(えの17)。まず、短足という身体的欠陥でナメられ、日頃の態度も悪く、部下への示しがつかない・・・。ホントどうしようもない「悪い上司」の典型的人物である。
 これが災いしてか、不覚にも金を取られた挙句にロッカーに監禁されてしまい、おまけに屁の集中砲火を浴びて撃沈するという失態も演じている(えの22)。「金づる」としか部下に思われていないとは悲しい。
 そして、最後に登場した時は、女性化した郷介のチチ見せに大興奮! 鼻血とともにペニセストして郷介を襲った。その前に郷介に「(セクハラを)しないって誓いますの、マスかきまーす」と宣言しているにも関わらずである(えの26)。あっさり前言撤回を実行してしまうあたり、信頼の置けない人物であることは、火を見るより明らかであろう。その天罰が下ったのか、出張性転換屋にバッサリいかれてしまい、女性化してしまう・・・。





その後の胆島課長

 女性化して以来、今日に至るまで胆島の存在は確認されていない。では、「元清掃課課長」胆島はどこへ行ったのか? そこのところをじっくり検証してみたい。
 まず、現在の清掃課課長の職にあるのは、前田郷介である。郷介を同課課長に任ずる旨の辞令が発令されたのは、えの77。つまり、最後に存在が確認された「えの26」以来、この「えの77」までの間の消息が不明なのである。一体、この間胆島は何をしていたのだろうか?
 少なくとも、「えの77」の時点で、清掃課課長の職を解かれたのは確実である。では、その時点まで果たして「清掃課課長」の職にあったのであろうか? まずそこから検証してみよう。
 そこで、清掃課内が舞台となった話をもう一度再確認してみた。

話 数 タイトル 内 容 チェックポイント 判 定
えの26 愛と絶望の清掃課 胆島、最後の登場 存在確認
えの32 これで、私を 葛原、キレる! 社長登場にも関わらず、迎えず
えの41 激愛活火山 タミ登場 終業時に、寝ていない
えの43 ハートをぶち抜け 菖蒲沢登場 課内大混乱!抑え効かず
えの48 私はエロであります 完全記憶 郷介たち、真面目に仕事
えの50 OH!エンパイア 外人バージョン 郷介外人Bre.が「ボス」 ×?
えの53 君の歌は、君の歌 前田親子のハーモニー 私用電話を注意せず
えの54 燃えろ、田村 田村大暴れ 金づるの課長に金を借りない田村 ×?
えの57 セクハラ大王 生パン争奪戦 手がつけられない状態 ×?
えの61 赤裸々のランチ 菖蒲沢乱入 無法地帯に・・・ ×?
えの70 最も危険な男 成金田村&IN OUT乱交 もはや、収拾つかず ×?
えの77 誇りなき男どものブルース 郷介への辞令発令! この時点で、解任は確実 ×

 この表の「チェックポイント」を見て欲しい。「えの50:OH!エンパイア」では、郷介が「ボス」と呼ばれている事に注目して欲しい。つまり、ここでの上司は郷介なのである。ということは、胆島は「管理職」ではないということがいえる。しかし、この話は「連載50回」の記念エピソードの意味合いが強い、外人バージョンであることからして、「参考記録」扱いにしかならない。
 そこで次ぎに注目するのが、「えの54:燃えろ、田村」である。この話では田村が「150万貸してくれ」と、課内全員に頼みまくるのである。しかし、飲み会の金を徴収した時に「たんまり」持ってた胆島には、全く借りようとするそぶりを見せていない。ということは、この時点では既に「清掃課課長」は胆島ではないという事が言えるかもしれない。すると、「えの26」から「えの54」の間で、姿を消していた可能性が高い。それを前提に振りかえってみよう。
 まず、「えの32:これで、私を」。これは葛原さんが再びキレて、郷介たちを望み通りにヒットしてやる話。ここでは最後に社長が登場するのだが、それにもかかわらず胆島は社長を出迎えていない。普通、社長が各部署を回ったら所属長が出迎えるはずなのだが・・・。
 次ぎに「えの41:激愛活火山」。郷介たちがテレパシー屋を呼び出して、二比とタミの密会現場に先回りする話。いつも寝ている胆島の姿がない。まあ、たまたま会議か出張で居なかったとも言えなくは無い。
 「えの43:ハートをぶち抜け」では、課内は大混乱となる。矢文・バズーカ砲・放尿とどうしようもなかった。しかし、次の話の「えの48:私はエロであります」では、郷介たちは真面目に便所掃除をしている。「お前等、いいかげんに仕事しろ!」という胆島の一喝があったからかもしれない。さすがに会社では上司の命令は絶対だ。と言うコトは、この時点では居た可能性がある。
 「えの53:君の歌は、君の歌」では、郷介の私用電話を注意していないが、この程度はオッケーなのかもしれない。

 こう見てくると、「えの48」から「えの53」までの間に、姿を消していた可能性が濃厚である。また、これ以降の清掃課はもはや無法地帯と化しているので、「課長」職は空席になっていたものと推測される。ま、主力の部署でもなさそうなので、放っておかれたのかもしれない(笑)。
 そうなると、先程の「参考記録」が大きな意味を持ってくる。つまり「えの48」から「えの50」の間で、胆島は完全に姿を消したと言えるのではないだろうか?
 その中間「えの49:冬の日の猥想」では、郷介は雪を見て犬並に喜んでいる。郷介もいいオトナ。たかが雪だけでこれほど喜ぶのだろうか? 雪以外に嬉しくなるようなコトがあったからではないか?
 例えば、「課長代理」とか「係長」あたりに昇進とか・・・。それ以外にも「オレの天下だ」というような、明るい展望があったからではないか。ここまで考えてくると、その後郷介が課長に昇進した事実から見ても、胆島に変わる立場になったことは明白であろう。
 つまり、「えの48」と「えの49」の間に、胆島は課長職を更迭されたのだ。だから「えの50」では本編よりも一歩先んじて、「ボス」となっていたのだ!





課長・胆島更迭の理由

 純粋に管理職としての能力に欠けていたからだろう。TSURA社の社長・森さとるは「無能だから」という理由でリストラを敢行する、独裁的な経営者である。事実、後日撤回されたが郷介も課長職にあった時に、一時的にリストラされている(えの2参照)。
 胆島が無能なことは、既に明らかとなっている。勤務中の居眠りや短足といった身体的な欠陥もあってか、課員にはナメられっぱなし。社長もこれらはお見通しだったと思われるが、清掃課が非営利部門であることや、重要な部署でもないことからそのまま放置されていたのかもしれない。だが、「えの43」で課内が大混乱に陥ったことから、その責任をとらされたものと思われる。恐らく、社長・森さとるの解雇通告は「お前クビ、無能だからさ」という重い一言であったに違いない。そして、その後の胆島の消息を知るものは誰もいない・・・。