「ゴッキー」は4コマ形式なんで、一回掲載で約7〜11本くらい載ってます。当然いろんな面白さがあるわけです。サイレントでポーズや仕草が面白かったり、セリフが面白かったり、特異なキャラが出てくるものも多かったですね。定番のシリーズ物も当然あります。言わばギャグの宝庫と言ったところでしょうね。その中で一番のお気に入りは第4巻の「駅前親切軍団」ですね。どんな話だったかと言うと、
起 | オヤジが痰を吐こうとする(カーッ!っと上向く)。 |
承 | 突然「親切軍団」の3人組がダッシュで登場。 |
転 | オヤジがペッと痰を吐き、長身の2人が指で作ったワッカの中を、痰が見事に通過。 チビはウンコポーズで、ちょうどウンコが落下する位置に痰が着地。 |
結 | 軍団逃亡&オヤジ唖然として見送る。 |
こんな感じです。ご存知じゃない方、アバウト イメージング オーケー?
これ見たときは最高に笑いました。では、なぜ面白いのかを以下の3点挙げて検証してみましょう。
1.なぜ彼らはやってくるのか?
これ謎ですよね。夜道で痰を吐く人を見つけなくてはまずいけないですよね。夜ってただでさえ人通り少ないのに、しかも痰を吐く人ってさらに見つけにくい! なのに彼らはちゃんとやって来るんです。しかも、本当に痰を吐くかどうかなんて、「カーッ!」ってやる時点にならないと判らないし、次の瞬間には「ペッ!」って吐いちゃう訳だから、タイミング的にタイトです。
ということはタイトルに「駅前」ってついてますから、どっかの駅の出口で張り込んでおいて、「痰を吐きそうな奴(主にオヤジ)」をターゲットとして認知しておく必要があります。ですから「こいつは絶対にやる!」ということを見極める選球眼が必要なんですよね。ただ「こいつはやりそうだな」なんてレベルじゃダメです。しかもすぐにタクシー乗ったり、チャリンコ乗られたりすると、追跡が難しくなりますから、見極めはそこまで計算しないとダメです。
しかも夜中でしょうから、終電近くの話なんでしょうね。そうすると、もう電車はないわけですから、一発勝負になったときに空振りすると非常にマズイ! ひょっとしたら坊主なんてこともありうるわけですよ。もしノルマがあるならエライことです。
しかも、ターゲットが駅から家に着くまでの間に、痰を吐く瞬間まではひたすら付かず離れずの距離で尾行しないとなりません。これも難しいですよ。ずっとピッタリマークしてると、ターゲットのオヤジは不信感が先にたって、気持ちよく痰吐きが出来ません。下手すると因縁つけられて絡まれたり、殴られる可能性だってあるわけです。これは危険な任務だ!
ですが、あまり離れてしまうと「カーッ!」という声を聞いた時点で駆けつけても、アウトの公算が高くなってしまいます。ですから、オヤジに追いついて尚且つ決めポーズの体制に入れる時間がかかります。かなり素早い動きが必要になってきます。しかも足音を立てずに。じゃないと、いきなり後方から複数の駆け足音がすると、普通ビビリます。しかも夜中です。痰はいてる場合じゃないんです。相手に安心感を与えて、気持ちよく吐かせてやる。それが彼らの任務の絶対条件なんでしょうね。
2.なぜ「親切軍団」なのか?
ハッキリ言って、影の軍団みたいなヤツらなんですが「親切軍団」と名乗ってます。ということは、「親切」なことをする軍団なんですよ。少なくとも本人たちはそう思って夜な夜な任務に精を出しているわけです。
でも、上で見たように「ちょっと危ないヤツ」と思われがちな彼らの言う親切ってなんなんでしょうね?
ワタシが思うに「痰吐き支援」なんでしょうね。さっきも言ったように、気持ちよく痰を吐かせてやるということ。これが彼らの最大の任務なんでしょうね。痰を吐くということが一つのセレモニーになれば、オヤジもちょっとだけ嬉しいかも知れませんよね。
そして、ここからが大事なんですが「罪悪感」を消してやるってことなんでしょうね。公道で所かまわず痰を吐くのは決して褒められた事じゃありません。シンガポールなら逮捕されて罰金です。少なくとも周囲の人はかなり嫌です、不愉快です。勿論本人だって少なからず「悪いことしてるな」という罪の意識はあるんです。でも彼らはそういう意識を消してやるために参上するんじゃないでしょうか?
3.あの「決めポーズ」はなんだ?
罪悪感を消すためには、「人になすりつけさせる」「それどころじゃなくさせる」という方法があります。突然現れて決めポーズされて、痰はワッカを通過。しかも落下位置のすぐ前方にはウンコポーズのケツ。するとホラ!傍から見るとオヤジが痰を吐いたんじゃなくって、軍団がウンコしたみたいに見えるでしょ!? つまり、オヤジに「オレが痰を吐いたんじゃないよ。こいつが野グソ垂れやがったんだよ!」という言い訳を与えることになるんです。どうです? これが最大の親切にして、他に何をや云わんや。
また、オヤジ自身も軍団が現れた時点で「なんじゃこいつら!?」と思ったのは間違いないでしょうし、驚きが先にたって罪悪感を持てるような精神状態じゃないでしょうね。こうやって彼らは毎晩「親切」を振りまいてるんでしょうね。
どうです?面白いでしょう? こういうことを考えさせる程面白いんですよね。で、最後にはアホらしいと思って爆笑ですよ。普通、4コマでココまで細かいツッコミ入れませんから。ヤバイですよね。