はじめに SC−90S(ニックネームは「かるろす1世」としました)の細部を検証します。 カルロジョルダーノには4つのランク(SC−90、100、200、300)があるようですが、90は一番安いモデルです。ここやここに記事がありますが、これは旧モデルのようで、現在のセットはケースとテールピースがグレードアップされてます。ネットでは30000円台からのリリースが多いです。 SC−90の新型について 購入したセットはSC−90のマイナーチェンジではなく、昨秋に内容を改善した新規商品だそうです。情報をいただきましたので以下に主な変更点を記します。 1、製造工場が、上級機種SC−100・200と同じになったこと。 2、アジャスターが4個付いた。 3、仕上げが良くなった。 4、ソフトケースがSC−200用になった。 5、旧商品:定価50,000円が、60,000円になった。 6、新型の品番は、SC−90S(スペシャル)である。商品ラベルは旧のラベルを管理上そのまま使用してるので、新旧の見分け方はアジャスターが4個付いているかで判断すること。ソフトケースは、切換時に多少混ざった場合があるので、新旧の見分け方の確定的な物にはならない。 7、単板プレスは、低価格商品の製造においては、単板削り出しより楽器の音のバラツキガ少ない。しかしながら実際は、個体差で鳴りは違う。 8、使用弦は中国製。 ラベルについて f字から覗くとこのようなラベルが見えます。 「SINCE 1876」とありますが、これはカルロジョルダーノの製造工場が1876年に木工加工工場(当時は楽器でなく家具など)として創業を始めた年のようです 中国ではこのように家具屋さんから楽器屋さんに転身するケースが良くあるようですね。フフホトで馬頭琴を買った工房の段さんも、やはり元は家具屋さんでした。 カルロジョルダーノはヴァイオリン・ビオラ・コントラバスなどの弦楽器をラインアップしてリーズナブルな価格で製造しています。 弦楽カルテット一式を揃えても10万円くらいでできるかも。 「格安四重奏団」でも演奏は一流、ていうのはかっこいいですね。こういうのやりたいなー。 仕様について 4/4サイズ スプルーストップ メイプルバック&サイド メイプルネック 黒塗り指板 黒塗りペグ 付属品:キャリングバッグ・弓・ロージン これだけ見ると、やはり「黒塗り」ってとこに引っかかりますよね。 剥げてくるのか?! でも見たところ大丈夫そうですよ。何年も使って、しだいに弦で擦れてくるころにはもうかなりの弾き手になっていることでしょう。そこまで使えば元が取れるでしょうし、チェロくんも喜ぶのでは(^^) |
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各部位ごとの詳細画像 | |
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肩の部分を後から見たところです。 楽器の厚みは正確です。 「中国製」のシールが貼ってあるところがご愛嬌。 かつては安い・ヘボイの代名詞のように言われましたが、現在のこの国の生産グレードは急上昇中です。しかも人件費がいまだに激安なため、このようなチェロが作れるのでしょう。日本では不可能です。 |
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駒と弦です。アールはちゃんと削って調整されてます。楽器の色の発色が変になりました。これは撮影上の問題です(^^; ストラディモデルは駒付近の楽器の盛り上がりのアールが急ですね。モンタモデルはかなり平らです。 |
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指板と駒と弦の様子です。 まあまあ、普通の感じですね。 指板は黒檀ではなくて他の材木(メイプルか?)を黒いく着色したものらしいです。触ると手が黒くなるとかいうことはないです。これでもそれほど問題はないでしょう。指板削りが必要なほど使い込めれば、それはそれで幸せなことだと思います。その際は黒檀に張り替えるという手もありますが、糊が剥がせるかどうか? |
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ネックの先端とうずまき部分です。 確かに凝った造りではないですが、ペグの感じはまあまあです。弦換えるので抜いてみましたがきちんと調整されてました。 ペグは普通の材質です。このままで使えるでしょう。趣味で交換する人もいますから、いずれそうしても良いでしょう。 |
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うずまきを後から見たところです。 ネックはメイプルです。 ネックの裏の、いろの黄色いところは、親指のすべりを良くするためにニスを塗らないでおくところだと思います。 高級馬頭琴もそうしてあります。 |
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前面の肩のところと指板の様子です。 板は普通は膠で貼るのですが、これは接着剤で貼っているようです。簡単には剥がれないので、響胴の内部を開けて修理するというのは難しいでしょう。買い換えたほうが安い、という状態になります。家電産業みたいですね。ちょっと寂しいですがやむをえないでしょう。どこか壊れたらサイレントチェロに改造するのがいいかも。 |
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付属の弓は上です。下は愛用している10万円のドイツ弓(パウルス作)。よく見ると細工の丁寧さが違いますね(^^) でも予想よりは使えるものでした。ただフロッグの位置を見るとわかるように、毛が少し長いようです。 |
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弓の先端部分です。 付属の弓のほうが、重心がやや先端寄りでした。あと、少し重い。 しばらく使ってみないと感じはわかりません。でも、とりあえずは使えるもののようです。すでに僕が持っていた別の廉価弓2本(5000円くらいで買った)よりは良いです。 |
駒を自分で立てる問題 今回は通販ということもあり、運送途中に壊れやすいのではないかと考え、駒を外した状態で送ってもらいました。それで自分で駒を立て、弦をチューニングしたわけですが、上の写真を見た方から指摘されたように、駒を立てる位置が最終的に1cm近く上にずれてしまいました。 本来の駒の位置はf字孔の内側の向かい合う刻みの延長線上です。 これはわかっていたつもりなのですが、チューニングするときに弦が上方向に引っ張られ、これに合わせて駒の足を上にずらしていったところ、このように位置が変わってしまったのでした。 あらかじめ定位置より下側に駒を置いておいて、上側にずらしながら調整するのが良いようです。もん太くんも若干上寄りでした(^^; あと、魂柱が倒れたりずれたりしないか、という問題ですが、今回のケースは問題なかったようです。これも初心者の場合、場合によっては対処できない困ったことになることも考えられますね。 通販の場合、こういう初期設定を自分でやらなければならない場合があります。運送に不安がなければ、完全調整ののち送付してもらうのが良いですね。 楽器だけ買って、あとはビデオと教本で完全独習、なんていう場合、突拍子もない間違えや勘違いをしたまま、みたいなことも起こり得るわけです。 身近なところや、ネット上で相談できれば良いのですが。 この問題についての販売店との質疑 Q、チェロを発送する場合、通常は駒を立てた状態で送るのですか。 その場合、破損することはありませんか? 通常は駒を立てた状態でお送りしています。 低価格チェロは、初心者のかたが買われることが多く上手に駒立てできません。 駒を立てた状態でお送りした方が親切と私は考えています。 (弓に松やにの塗り方のわからない方もおられます。) 当店では駒の両側に発泡スチロール等で駒が倒れないようにしお送りしています。 側面からの衝撃に耐える2重梱包にして安全性を高めてます。 仮に、これで輸送中に壊れれば運送保険に入っていますので、運送会社に保証してもらうしかないです。 当店は、商品チェック・再梱包をしてお送りしています。心配性なのです。 Q、今回のように駒を外して発送した場合、安全度は高まりますか? この場合、魂柱がはずれたり、ずれたりすることはありますか? 過去メーカー箱だけで、駒立発泡スチロールなしで数台を一人のお客様送って、駒倒れが1個ありました。これは、お客様が直されましたが、お叱りと改善案を受けました。このことから色々と改善され、現在の送り方・・・梱包・紙表示・・・に進化しています。 それ以外は、トラブル報告は現在ありません。 |