瑠璃山電脳室
12月の法話

成道会
十二月の宗教行事といえば、みなさんはキリスト教のクリスマスを すぐ思い出されることでしょう。 実は仏教の方でも、とても大切な行事があちこちのお寺で行われます。 それは成道会(じょうどうえ)といって、お釈迦さまがお悟りを開かれ た日をお祝いする行事です。 仏教には三仏忌(さんぶつき)といって、お釈迦さまがお生まれになっ た四月八日の花まつり、そして十二月八日の成道会、いま一つはお亡く なりになった二月十五日の涅槃会(ねはんえ)があり、仏教徒は最も心 にとめておく大切な日としています。 さて、十二月八日は成道会。 二十九歳で出家されたお釈迦さまが、難行苦行六年の末にお悟りになっ たのは、人間の歩むべき真実の道、仏さまの教えでした。 身も心も疲れきった修行者お釈迦さまは、 村の娘スジャータから乳粥(ちちがゆ)を供養されます。 近ごろ、コーヒーに入れるミルクの商品名で〃スジャータ〃というのが ありますね。 あれは、お釈迦さまに乳粥を供養した村娘の名前なんです。 十二月一日、元気を取り戻されたお釈迦さまは、大きな菩提樹の下で静 かに坐禅を組まれます。 そして八日目の朝、明けの明星のなかで、仏さまの教えをお悟りになっ たのです。それからのお釈迦さまは説法の旅ひと筋の人生でした。 八十年の生涯を終えられるまで、休むことなくそれはつづきます。 そして現代。二千五百年もの年月を経ても、輝きつづけているお釈迦さ まの教えを思うとき、お悟りの日・成道会を心から お祝いしたく思うのは、仏教徒ならだれしものことです。 どうぞあなたも十二月八日のお悟りの日、成道会をお祝いください。 なお、十二月八日、薬林寺岡の薬師では納めの護摩がおつとめされます。

一樹のかげに宿り合い、同じ流れをむすぶだに、別れは悲しきならいぞかし「平家物語」

見知らぬ旅人同士が一本の木の下で雨宿りしたり同じ川の水をすくって飲む、 そんなわずかな関わり合いでも別れるときは悲しいものなのだ、という意。人間というものは、ふとしたきっかけが縁で深く心を通わせ合うことがある。ほんの小さな出会いが、強い絆に成長することすらある。それが人と人の出会が
それが人と人の出会いが 持つ不思議なところであるが、最近そんな出会いがめ っきり減ってきた。人間関係の複雑化に伴い、他人との出会いには多かれ少なかれ目的が介在する ようになったからである。ふとしたきっかけで知り合うことはほとんどなく、そこにはお互いの意思や打 算が働いているのだ。そんな出会いからは人脈は生まれても、真に通い合う心が芽生えることは不可能なのだ瑠璃山 電脳室