瑠璃山電脳室11月の法話

重いものは軽く持て、軽いものは重く持て


これから申します言葉を、よく聞いてみてください。
重いものは軽く持て軽いものは重く持て
何だか、おかしな言葉ですねえ。
「重い石を軽く持てったって、持てるわけねえじやねえか」
「軽い石をわざわざ重く持つこともねえだろうよ」なんていう声が、
どこからか聞こえてきそうです。
さてここでいう重い軽いは、石とか荷物ではないのです。
あなたの心のなかにある悩みやわだかまりや不安…つまり心の荷物ですね。
物ごとに対する考え方や心の持ち方をいっているんですね。
これは重大なことだからと、身も心もがんじがらめになって悩んでいると、
かえって重大さのほんとうの意味を見逃してしまいます。
そんなとき、いっとき気をゆるめて頭のはちまきを解き、肩の力を抜いて
広い心で見直してみることも大切です。
その反対に、こんなことは簡単簡単と片づけがちな小さな問題を、
一瞬ギュッと身も心も引き締めて眼をすえて見つめてみる。
すると、とんでもない重大さに気づくこともあります。
心の悩みや不安、こだわりなどはだれもが持っています。
日も夜も明けないくらい悩むこともあります。
こんなときにもこの言葉を思い出してください。

〃重いものは軽く持て、軽いものは重く持て〃
意外に、〃ああ、そうだったのか、なあんだ!〃って、気持ちが軽くなることがあるはずです。いま、あなたの心に悩みや不安があるなら、さてあなたは、どんなふうに持ち方を変えますか。
ひとの生はうくるはかたくやがて死すべきものいま生命あるはありがたし正法を耳にするはかたく諸弘の世に出ずるもありがたし「法句経」私たちは何でも当たり前と考える悪いくせがついている。いま存在することも、正しい真理への道を紹介されることも、ほんとうは気の 遠くなるような因縁の凝縮の結果なのである。それを知らないで、ただ何となく人生を流しているとすれば、これほど無意味 で無駄なことはないのだ。今日ただいまの心を大切にし、私たちを人間たらしめ ているおおいなる生命の世界を早く体得したいものだ。
みんなむかしからきようだいなのだからひとりをいのってはいけない

(宮沢賢治)





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