平成14年12月11日
川越市長 舟橋 功一 様
旧川越織物市場の保存再生を考える会
代表 松江町2丁目自治会前会長 戸田 喜一郎
立門前商栄会 会 長 田中 富美雄
川越 蔵の会 会 長 原 知 之
川越唐桟愛好会 会 長 井上 浩
旧川越織物市場の建物についての保全策に関する要望
師走の候 貴職におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。また、当会の活動に対するご理解ご協力に感謝申し上げます。
特にこのたび、川越市の多大なるご尽力の結果、旧川越織物市場の建物を川越市が、敷地を川越市土地開発公社が取得し、現地で保存されることとなったことに、深甚なる感謝を申し上げます。旧川越織物市場を保存するために運動してきました私たちにとりましても、喜びに堪えません。
しかしながら、当建物については、別添の写真の通り傷みがかなり激しく、緊急なる保全措置が必要となっております。
また、今後の保存再生のために、重要文化財を含む文化財指定を目指し、早急に、必要な調査を実施するとともに、利用方法・補修復元方法について、市民と協働して具体的な案を策定していくことが不可欠と思われます。
すでにご承知の通り、旧川越織物市場の文化的意義と歴史的価値および産業考古学的な価値は明らかであり、適切なる再生を図ることは、本市の観光政策や地域の活性化にも大きく寄与することと思われます。
従いまして、私たちは、以下の通り要望申し上げます。
1.短期的要望
(1)応急補修工事について
建物の傷みが激しい部分について、今以上に損傷が進行しないような応急措置をお願いいたします。
(2)安全策について
当敷地は、昼夜間を通じて無人となりますので、防犯灯の整備、警備体制などを整えていただくなど、防犯・防火対策等、安全策を講じるようお願いいたします。
(3)緊急時について
安全対策は十分に講じられることと存じますが、万が一にも不測の事態が発生したときの連絡体制、緊急措置などの方策をお願いいたします。特に地元に住む当会会員を含め、近隣住民との密なる連絡体制もお考え下さい。
(4)補足調査について
昨年12月に川越市が実施されました実測調査は、居住者の引越しのさなか、わずかな時間と人員で行われたようです。当施設の価値の確認をする上からも、補足調査の実施と全国の類似施設における位置付けの調査を早急にお願いいたします。
2.中期的要望
(1)維持管理について
建物は、人が使ってこそ健全な状態を保つことができます。しかしながら、当建物の活用計画が決まり、修理を行って活用が開始されるまで数年の間現状のままとなることが予想されます。その間、適切な維持管理を行うことは建物を保全する上で重要なことです。
つきましては、活用が始まるまでの期間、建物内外の清掃活動、敷地内の除草、定期的な開口部の開閉など、建物や敷地の維持管理活動を、当会で協力させていただきたいと存じます。
(2)市民への周知について
旧川越織物市場の保存について、広く市民の理解を得るためとともに、その意義や価値の考察を深め、保存活用計画検討・立案の一助とするため、シンポジウムや見学会を当会で開催させていただきたくお願いいたします。
3.長期的要望
(1)文化財として
当施設の歴史的や文化的意義、近代産業における価値等を鑑み、国の重要文化財指定をも視野に入れながら、当面市の文化財に指定するなどしてその価値の保全を図るとともに、広く市民へ周知を図られるようお願いいたします。また、修繕にあたっては、その価値を減じることのないよう慎重な修繕計画を立てられるようお願いいたします。
(2)保存活用計画立案について
当施設の保存活用には、私達「保存再生を考える会」の重要な関心事です。また、この間の新聞報道等により市民はもとより多くの方々の関心を集めたものと思われます。
つきましては、保存活用計画立案にあたっては、将来に渡って市民に愛される施設となるよう、市民と行政、専門家などの協働作業ができる環境づくりをお願いいたします。
なお、当会でも旧川越織物市場の保存活用計画について研究を進めたいと考えております。つきましては、参考資料として平成13年度に行われました実測調査の報告書1式をご提供願えれば幸です。また、当施設に関係する調査・情報収集、検討事項その他に関しましてご助力・ご協力下さいますようお願い申し上げます。
以 上