日光二社一寺巡り 2000年11月18日(土)

11月18日

9:30 出発

駅から日光山まではバスも出ているが、歩いても20〜30分程度だ。帰りの急行の指定席を予約してから、のんびりと歩いて行く。神橋はただいま補修工事中ということで覆いがかぶさっていて見られない。参道の紅葉はほとんど終わっているようだ。

10:00 輪王寺大猷院

大猷院本殿外観
大猷院本殿外観
まず輪王寺大猷院から行ってみる。石段をいくつも登っていくと大猷院の本殿に出る。入り口には大きなテントがかけられ、ものすごい人だかりだ。どうやら中に入れるらしい。あまりの混雑に、ここはパスして、特別公開の家光墓所に直行。

家光墓所

家光の墓
350年の眠りから強制的に覚まされた家光の墓
今回の最大の目的である家光墓所は、350年間で初めての公開という。予想していたよりも人手は少ない。とは言っても「入場制限がない」という程度で、それなりに混雑はしている。テレビのニュースで見たときは厳粛な雰囲気が漂っていたが、そのようなものは微塵もない。
有名観光地にありがちだが、よーく見よう、勉強しようという意欲はカケラもない人々が多い。「これは誰の墓なの?」なんて周りの人に聞いているおじさんもいた。おめえなにしに来たんだよ。いくらなんでもそりゃあねえだろう。てな小言のひとつも言いたくなる。

家光墓所前の拝殿

拝殿裏
拝殿で家光記念御守を買い求める人々
家光墓所前の拝殿では家光のレリーフ入りの御守を売っていた。御守は1年ごとに買いかえるのが普通だが、ここではその必要がないように「特別に祈祷された御守をお配りしています」とのことであった。ちなみに、このような「特別に祈祷」された御守は日光山内で数多く配布され、ここ拝殿のほかにも大猷院本殿、東照宮本殿、薬師堂(鳴竜堂)など、至るところで見られた。

11:00 大猷院本殿

大猷院拝殿柱の紅の獅子
大猷院拝殿柱の紅の獅子
墓所から戻って、先ほど通過した大猷院本殿に寄る。建物は本殿と拝殿を相の間がつなぐ権現造の形式で、まとめて霊廟と呼び、一括で国宝に指定されている。この複合建築の形態は冬の積雪期にも行事がスムーズに行われるようにという知恵だとか。内部は拝殿までは見学が可能である。
拝殿は内部一面に金箔がおされ、狩野探幽の障壁画がある。まさに絢爛豪華である。また、塀までも装飾で覆い尽くされていて見事だ。東照宮の塀には絵の部分も一部あるが、ここは全てが彫り物であるというのもウリのひとつらしい。

11:30 二荒山神社

二荒山神社拝殿
二荒山神社拝殿
大猷院の次はお隣の二荒山神社に行く。本殿などの主だった建築物は重要文化財に指定されているが、こちらは直接見学は出来ず、塀越しに覗き見るだけだ。おりしも結婚式が行われていて、本殿から拝殿にわたぼうしの花嫁がしずしずと歩いているところであった。

12:00 三猿

三猿
有名な三猿
二荒山神社を出て近くのみやげ屋で軽食をとり、東照宮に向かう。入ってすぐ、おなじみの三猿が出迎えてくれる。周囲の若者はみな猿のポーズを真似たりして記念撮影に余念がない。

陽明門

東照宮陽明門
東照宮陽明門の豪華な装飾
次に陽明門に進む。やはりきらびやかだ。尾垂木も全て竜の彫刻がなされている。

魔除けの柱

魔除けの柱
塗装のはげてしまった魔除けの柱
陽明門に一本だけ模様がさかさまになっている「魔除けの柱」があるのは有名な話だが、この柱だけ塗装がはげてしまっている。なんでも、魔除けだから、ということで人々が触ってしまうからだそうだ。「つまり裏を返せば人間の欲望の跡なのです」とは地元ガイド氏のお言葉。うーん、深い。

本殿内部

続いて本殿内部を見学する。大猷院と同じく、本殿と拝殿を石の間でつないだ形になっており、ここでは石の間まで入れる。装飾の豪華さは文字通り目をみはるばかりだ。金ぴかに塗りたくって、思いつく限り派手なものをゴテゴテとくっつけて、というのは秀吉のものとも異質であると思う。内部は多少薄暗いが、それがまた、贅を尽くした華美な装飾に幽玄というエッセンスを加えているようで、なんとも不思議な雰囲気である。

奥社

眠り猫
眠り猫
次に、眠り猫を通過し、奥社に向かう。この頃から雪らしきものがちらほらと舞う。200段ほどの石段を登った先に、家康の墓と拝殿があり、そこが奥社となっている。墓の形式は家光のものとまったく同じであった。なお、拝殿は重要文化財に指定されている。

鳴竜堂

奥社を下りてから、鳴竜で有名な薬師堂へ。大昔修学旅行で来たときは中で自由に手をたたいた記憶があるのだが、今回は拍手禁止。しかもお堂の中に人を詰め込めるだけ詰め込んで、坊さんが拍子木で音を聞かせる。これまで山内はどこも騒々しかったが、ここだけはみな静かに聞き入っていて、寺院らしい(神社だが)、緊張したいい空気が張り詰めていたと思う。

14:00 輪王寺

輪王寺金堂
輪王寺金堂
輪王寺に向かう。周辺にはわずかに紅葉が残っていた。金堂は建物が重要文化財に指定されている。密教寺院で、お堂は内陣と外陣に分かれ、一般観光客は内陣、団体は外陣を見学する。内部には大きな仏像が3体あったがイマイチ。室町時代以降の仏像はかつりんは好かない。

14:30 輪王寺宝物館

ひととおり見終えたが、帰りの電車までにはまだ随分時間がある。ということで、輪王寺宝物館に入る。展示品には大したものはないが、館内ロビーに飾ってあった山内の地図と写真を見て、重文建築物があちこちに点在していることが判明。ただちに向かうことにする。

15:10 慈眼院

慈眼院
慈眼院
早速慈眼院に。拝観は大猷院に申し込む。すべりやすい石段を数分登っていく。ここは穴場で、誰もいなかった。初めて静かな日光を味わえた。

15:25 開山堂

開山堂
開山堂
次の開山堂は落ち着いた佇まい。内部は見学できないようだが、建物自体は道端にあり、近づくのは自由だ。

16:15 東武日光駅

東武日光駅
東武日光駅
すべての見学を終え、地ビールや名物の湯葉を買ったりしながらぶらぶら歩いて東武日光駅に到着。地ビールはピルスナータイプで、面白みにかける。麦芽とホップのみで造られているが、あまり麦の重さはない。湯葉は予約して買う人が多いのだろう、この夕方の時間にはほとんどの店が「本日完売」の札を出していた。「日光湯葉食べ歩きマップ」のような地図を持ち歩いていた人もいたので、そういうもので勉強すればいいのかもしれない。
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