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誰がなんと言おうともこの映画の主役は「アムリーシュ・プリー」です。もちろん貧しくとも心優しい好青年を演じたアニル・カプールも、他を圧倒するセクシーダイナマイトぶりを発揮したシュリーデーヴィも良かったけれど、アムリーシュ・プリー演じる「モガンボ」無しでこの映画は語れません。
物語自体は完璧な勧善懲悪ストーリーでSFXなんかも使っちゃってて素直に楽しめるわかりやすいお話です。なんでも初めは子供向けに作られたそうですが大人が見ても、というよりむしろ大人の方が楽しめる作品だと思います。シュリーデーヴィのお色気はお子様にはちょっと強烈すぎるし。私が見たのは最終日の最終回で、立ち見も出るくらいに混み合っていて、いつになくインドの若者が、それもかなり今どきの人達が多かったように思います。そのせいか、毎回それほど堅苦しい雰囲気でもなかったのですが、他の日はお話をしながら見ていると、「うるさいぞ」と注意されたりしたこともありましたが(もちろん日本人に)、この日は終始和やかな雰囲気で、笑ったり、泣いたり、拍手したり、歌を一緒に歌ったり(私の周りだけだったのかもしれないけど)と、「インドの映画館」とまではいかないけど、ちょっと近い雰囲気を味わうことが出来た気がします。(大袈裟だろうか・・・ですね)「1942
A LOVE STORY」では、いまいち魅力を発揮できなかったアニル・カプールですが、この作品の彼にはちょっと惚れちゃいます。
アニル演じる音楽教師のアルンは親をなくした10人の子供達を引き取り、貧しいながらも楽しく暮らしていた。しかし教師の稼ぎだけでは足りず、家賃は滞納しがちで食事も付けで買うしかなかった。そんなある日、家主から家賃を払えないならすぐにでも家を明け渡すよう通告されたのだ。しかしその急な通告の裏には「悪の一味」(笑)インド征服(セコイっ!)を企む、「モガンボ」の陰謀が隠されていたのだった。彼に関しては後でじっくり語るとして、なんとか家賃を払おうと考えたアルンは、下宿人を探すことにし、広告を載せるために新聞社にむかう。そこで記者のシーマー(シュリーデーヴィ)と、彼女の勘違いがもとで知り合い、借りている家の子供がうるさくて丁度部屋を探していた彼女がアニルの部屋を借りることになった。前金で家賃を受け取ってしまったアニルは、家に子供がたくさんいることを言い出せずに部屋を貸してしまう。早速その日の午後シーマーは越してくるが、隠れていた子供たちが我慢しきれずに見つかってしまい、シーマーは激怒する。しかし前の家には戻れないシーマーも行く所がなく、アニルはシーマーから受け取った前金で滞納していた家賃を払ってしまったので、返すお金がない。こうして仕方なく子供嫌いのシーマーと子供好きのアニル、そして嵐のように騒がしい子供たちの奇妙な同居が始まるのだった。静かにする約束はしたけど、守れるはずもなく子供たちとアニルはしょっちゅうシーマーの逆鱗にふれ喧嘩が絶えません。そんな時はもちろん「歌と踊り」でしょう。シーマーは怒って、アニルは子供たちに味方して、かつてのヒット映画の替え歌なんかを実に楽しく歌います。この子供たちと遊ぶアニルが実にさわやかで良い。まさにぼろは着てても心は錦というか、貧しくたってお互いを思いやる気持ちがあれば、なんて気持ちにさせられちゃいます。(ちょっと照れるわ)そんな騒々しい日々が続く中、今度は今まで付けで食べ物を売ってくれてた(と言ってもなかば無理矢理でしたが)お店が、お金と引き換えでしか食料を渡してくれなくなり(当然なんですけど)食べる物が無くなってしまったのでした。もちろん裏にはあの「悪の一味」の陰謀が渦巻いているのですが・・・。なんとか子供たちの為に食料を手に入れようと東奔西走するアニルですが、世間の風は冷たくなかなかうまくいきません。子供たちもお腹が空いてたまらないのに、そんなアニルの姿を見て健気に空腹に耐えるのです。いくら仲が悪いとはいえ、シーマーも鬼ではありません。見るに見かねた彼女が救いの手をさしのべ皆の空腹を満たし、子供たちとの絆を結びこの危機を乗り越えます。そもそもなぜアニル達は家を追い出されなくてはならないのか?実はアニルのお父さんはすごい科学者で、どのくらいすごいかっていうと、それをつけると透明人間になれるブレスレットを作っちゃったんだからとてもすごい。でもあんまりすごかったので、お察しの通りそれを狙ったモガンボの一味に殺されてしまったのです。そのせいでアニルの家が狙われたのかというとそうでは無くて、たまたまモガンボの「インド征服計画」の拠点として最適と思われる(少なくともモガンボはそう思った)海岸べりのいい場所に家があった。ただそれだけの理由、とばっちりもいいとこってやつですね。こんな理由で家を追い出されてはたまったもんじゃありませんね。それもこれも「モガンボ」のせいなのですが、では「モガンボ」とは誰なのでしょうか?彼こそがこの映画の真の主役アムリーシュ・プリー演じる悪の権化、諸悪の根元、世界・・・も狙ってるんだろうけど取り敢えず「インド征服」を狙う「悪の一味」の大ボスなのです。もう、そのきちがいぶりは(放送禁止用語ですね)素晴らしい。彼への忠誠心を確かめるためだけに、手下を塩酸プールに飛び込ませたり、基地を作るために民間人の家を狙ったり(アニルの家ね)インド征服するだけなのに核ミサイル作っちゃったり、そして計画が成功したり、手下におだてられたりするたびに「モガンボ
ホー シュア〜(モガンボは満足だ)」と悦に入った顔でつぶやくのよ。(このセリフだけは見てもらわないと伝わらないんだな〜)形勢が不利になるとすぐミサイルのスイッチを押しちゃう小悪党ぶりも微笑ましい。日本でいうなら死神博士を演じる天野さんのように、このキャラの魅力はそれを演じる「アムリーシュ・プリー」に拠る所が大きい、というより彼そのものの魅力なのでしょうね。このハリウッドも認めた悪人づら(”インディ・ジョーンズ
魔宮の伝説”のギョロ目の悪人をご記憶の方もいらっしゃるでしょう)のインパクトは計り知れず、出てきただけで絶対に悪い人とわかります。でも、すんごく悪い人なんだけど、なぜか憎めないのよね。あんまり悪すぎて最後には笑っちゃうのよ。でもいくらなんでもその濃い顔に「金髪」はまずいよねぇ・・・いや、もちろん嫌いじゃないんだけど。
この映画はセリフがわからなくても全然問題なく楽しめると思うし、モガンボの魅力はもちろん、透明人間になったアニルの「Mr.インディア」とシーマーの恋物語も「見えないのをいいことにそんな大胆な・・・」なんてところもあって、とても楽しいので見て欲しいというか、”見てもらえばわかる”ので見て欲しいな〜。そうすれば、ずばりこの映画の題名は「モガンボ」とするべきと主張する私の意見にも頷いてもらえると思うんだけど。
ラジニ |