◯『近世花押譜』(三村竹清著「集古」所収 大正9年~昭和18年)
(出典『三村竹清集一』日本書誌学大系23-(1)・青裳堂・昭和57年刊)
〝佐原菊塢
利口になりたがる世の中に自ら愚慢になりすまし 学者連に愚弄されつゝ其実学者を愚弄して世渡りす
る人 菊卯これが典型たるべし、初称は平八、仙台より江戸に出て 芝居茶屋の男衆となり 平蔵と呼
ばれ馬鹿になる修業ができ、北野屋平兵衛といふ骨董屋となりしも、日(ママ)ありて隠居し、菊屋卯兵衛
と称し 寺島の町二千余坪を開き、新梅屋敷と号梅の隠居となる、天保二年八月二十九日七十歳にて没、
浅草阿部川町称念寺塔頭観名寺に葬る〟