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浮世絵文献資料館
浮世絵事典
☆
筆禍
『神風倭国功』(ひっか じんぷうやまとのいさおし)
筆禍作品一覧
☆ 文政十二年(1829)
筆禍
『神風和国功』
(合巻) 処分内容
絶版
ただし、板元(岩戸屋喜三郎)・作者(十返舎一九)・画工(歌川貞房)御咎めなし 処分理由 幕臣諷刺 ◯『兎園小説拾遺』〔新燕石〕⑦68(著作堂主人(曲亭馬琴)編) 〝去己丑の春新板、十遍舎一九の草双紙、神風和国の功し、二冊物、蒙古入寇の事を作るといへども、高 橋作左衛門を諷して、素襖着たる武者の画に、剣かたばみを七曜の剣にしたれば、いかゞ敷由にて、同 年の春二月中、草紙類改名主より相達して、絶版せられ畢、此版元は地本問屋岩戸屋喜三郎也、但し、 板元作者等御咎めなし〟
〈己丑は文政一二年。文政十一年、長崎のオランダ商館医・シーボルトが帰国しようとしたところ、幕府天文方の高 橋作左衛門(景時)が、伊能忠敬の日本地図をシーボルトに写し取らせていたことが発覚。地図は幕府の禁制品で あったことから、幕府にとっては大事件である。この合巻はそれを踏まえたものとされたのであろう。剣片喰(ケンカ タバミ)は高橋景時の家紋、七曜は北斗七星だから、これで天文方の高橋景時を擬えたものと、改名主たちは判断し たのであろうか。同年、高橋景時は獄死し、シーボルトは国外追放処分となった。2015/10/14追加〉