Top浮世絵文献資料館浮世絵の世界
     浮世絵の基礎知識     C 浮世絵の題材による分類   浮世絵の題材による分類     <人物画>      女絵(美人画)      遊 女「松葉屋内 粧ひ」 喜多川歌麿画(国立国会図書館)      芸 者「三味線を持つ芸者」北尾重政画 (ボストン美術館)      評判娘「笠森おせん」   鈴木春信画 (大英博物館)              役者絵      役者絵  「市川団十郎の竹抜き五郎」鳥居清倍画(東京国立博物館)       役者似顔絵「市川団十郎の暫」    勝川春章画(東京国立博物館)            武者絵      歴 史「宇治川合戦之図」 歌川国芳画(ボストン美術館)       伝 説「羅生門」     勝川春章画(東京国立博物館)      フィクション「八犬伝之内芳流閣」歌川国芳画(ボストン美術館)      相撲絵      役者絵「谷風梶之助 小野川喜三郞」勝川春章画(東京国立博物館)      <風景画>      初期風景画      浮 絵「両国橋夕涼浮絵根元」     奥村政信画(ボストン美術館)      浮 絵「浮絵和国景跡新吉原中ノ町之図」歌川豊春画(ボストン美術館)            洋風風景画      冨嶽三十六景「駿州 江尻」 葛飾北斎画(メトロポリタン美術館)      江戸名所百景「蒲田の梅園」 歌川広重画(東京都立中央図書館)      光線画「築地明石町寒夜之月」小林清親画(Japanese Art Open Database)       <花鳥画>      鳥獣花卉魚介類      花鳥「鵤(イカル) 白粉花」葛飾北斎画(大英博物館)      獣類「桜につなぎ猿」 歌川広重画(東京国立博物館)      虫類「蜻蛉 蝶」   喜多川歌麿画『絵本虫えらみ』所収(ボストン美術館)      魚類「鯛 山椒」   歌川広重画(東京都都立図書館)     <その他>      戯画・判じ物      判じ物「源頼光公館土蜘作妖怪図」    歌川国芳画(早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」)      戯 画「みかけはこはゐがとんだいゝ人だ」歌川国芳画(山口県立萩美術館・浦上記念館)      鯰 絵「しんよし原 大なまづゆらひ」  画工未詳(wikipedia)      物語絵      今昔物語「藤原保昌月下弄笛図」月岡芳年画(ボストン美術館)        開化絵      横浜絵「神名川横浜新開港図」     歌川貞秀画(東京国立博物館)      開化絵「東京汐留鉄道舘蒸汽車待合之図」歌川広重三代画(国立国会図書デジタルコレクション)        見世物絵      見世物絵年表(本HP)      生人形  「浅草奥山生人形」 歌川国芳画(神戸市立博物館)      軽 業  「大坂下り早竹虎吉」歌川芳晴画(早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム)      豹の見世物「西両国に於て興行」歌川芳豊画(早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム)            (軽業・独楽まわし等の曲芸、あるいは虎・駱駝・象など動物の見世物、そして精巧にできた生(いき)人形、こうした       興行に取材した錦絵や摺物(報條=チラシ)。そのほとんどは、江戸の浅草奧山や両国広小路での興行、または大       坂の難波新地での興行に取材したもの)      死 絵      役 者 「八代目市川団十郎」三代目歌川豊国画(早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム)      役 者 「五代目瀬川菊之丞」歌川国安画(早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム)      浮世絵師「初代歌川豊国」  歌川国貞画(早稲田大学演劇博物館浮世絵閲覧システム)      〈歌川国貞と三代目歌川豊国は同人で似顔絵画きの第一人者〉      (主に歌舞伎役者が死亡した直後、訃報と追善を兼ねて出版された錦絵。役者の似顔絵に、死亡年月日・戒名・菩提       寺・辞世あるいは追善の歌句を配したもので、役者絵の一分野)      春画      艶本年表(本HP) 春画(本HP) 戯号(本HP) 川柳・雑俳上の春画(本HP)         おもちゃ絵(手遊び)      おもちゃ絵年表(本HP) おもちゃ絵(手遊び)(本HP)      おもちゃ絵「志ん板ほふづきあそび」   歌川芳藤画(東京都立中央図書館)      組上絵  「新板組上灯籠湯屋新見世之図」葛飾北斎画(兵庫県立歴史博物館)      双六      双六年表(本HP)       双六「新板大江戸名物双六」玉蘭貞秀画(国立国会図書館デジタルコレクション)      凧絵      凧絵(本HP・記事)      凧絵「当世見立凧つくし」豊原国周画(ボストン美術館)      絵暦(大小絵)      絵暦(大小)(本HP) 絵暦(大小)年表(本HP)      絵暦「夕立」鈴木春信画(ネット画像)      絵暦貼込帳(国立国会図書館デジタルコレクション)      (明和二年(1765)、好事家の大小(絵暦)交換会から錦絵が生まれた。この時彼等の図案に応じて作画したのが鈴木春       信。多色摺りの技術面でどれほどの役割を果たしたか分からないが、版画におけるカラー革命を主導したことは紛       れもない事実。その点で春信は浮世絵の歴史の中では逸することできない存在となっている。以来絵暦製作に浮世       絵師は欠かせないものとなっていった。その中でも作例が目立つのは、北斎を筆頭に柳々居辰斎・抱亭北鵞など北       斎門下。次いで左尚堂俊満・梅の本鴬斎・惺々狂斎(河鍋暁斎)等々が続き、明治に至るまで数多くの浮世絵師が作       画を担当している)      摺物      摺物(本HP)      狂歌摺物  葛飾北斎画      摺物交易図 柳々居辰斎画(早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」所蔵『四方戯歌名尽』より)      (ここで云う摺物とは誹諧や狂歌に興ずる趣味人たちや長唄・浄瑠璃などの音曲に親しむ愛好家たちが、新年の挨拶       や名弘めの時に互いに交換しあう木版の印刷物を云う。自分で作画する人も多いが、絵暦同様、図案を示して下絵       はプロの絵師に任せるケースも多い。浮世絵師が請け負うのは好事家のアイディアに見栄えのよい形を与えること       なのである。寛政の改革が一段落した文化文政期になると、市中では狂歌や音曲の会が盛んに開催される。襲名披       露には摺物が付き物となった。       〝北斎だねと摺物を撥(ばち)で寄せ〟(『柳多留』52編34番 文化八年(1811)刊)       三味線の稽古中、ふと摺物が目に入る、北斎と見て撥で引き寄せて見る。北斎の摺物は画料も高いが評判も高い。       摺物の交換会ともなると、たいした賑わいなのである。      赤絵(疱瘡除け)      赤絵(本HP)       赤絵「金太郎」一勇斎国芳画(ネット画像)      源氏絵      源氏絵「田舎源氏」月岡芳年画(Japanese Art Open Database)      (合巻の大ベストセラー『偐紫田舎源氏』(歌川国貞画・柳亭種彦作・文政十二年~天保十三年(1829-42)刊)に取       材した錦絵。参考までに云うと、版本の人気にあやかって出版された錦絵は他にもあり、読本では『南総里見八犬       伝』の犬塚信乃など八犬士に関するもの、合巻では『児雷也豪傑譚話』の児雷也(歌舞伎で上演されたため役者似       顔絵が多い)など)      戦争絵(以下の戦争に取材した錦絵)      西南戦争「鹿児嶌紀聞之内 副将村田討死之図」月岡芳年画(国立国会図書館)      日清戦争「威海衛上陸進軍之図」       小林清親画(ハーバード大学)       戊辰戦争:慶応四年(明治元年・1868)~明治二年(1869)       西南戦争:明治十年(1877)       日清戦争:明治二十七年(1894)~同二十八年(1895)       日露戦争:明治三十七年(1904)~同三十八年(1905)      往来物 百人一首      往来物年表(本HP)      百人一首(本HP) 百人一首年表(本HP)      赤絵「金太郎」一勇斎国芳画(ネット画像)      新聞錦絵      新聞錦絵(錦絵新聞)(本HP) 画工一覧(本HP)      新聞錦絵 一蕙斎芳幾画「東京日々新聞1060号」      (錦絵新聞とも言う。明治のはじめ頃、新聞の解説と錦絵とを組み合わせた絵入り新聞)     〔付録〕      凧絵 猪口絵 刺子半纏 はめ絵 びら絵 輸出扇面絵 新聞挿絵 かはり絵 さがし絵 道具絵      (浮世絵師の画業領域は市中の日常生活いたるところに及んでいたのである。読売新聞(明治25年12月19日付)記事)      〝歌川派の十元祖       此程歌川派の画工が三代目豊国の建碑に付て集会せし折、同派の画工中、世に元祖と称せらるゝ       ものを数(かぞへ)て、碑の裏に彫まんとし、いろ/\取調べて左の十人を得たり。尤も此十人ハ       強ち発明者といふにハあらねど、其人の世に於て盛大となりたれバ斯くハ定めしなりと云ふ        凧絵の元祖  歌川国次    猪口絵 元祖 歌川国得        刺子半纏同  同 国麿    はめ絵  同 同 国清        びら絵 同  同 国幸    輸出扇面絵同 同 国久・国孝        新聞挿絵同  同 芳幾    かはり絵 同 同 芳ふじ        さがし絵同  同 国益    道具絵  同 同 国利       以上十人の内、芳幾・国利を除くの外、何れも故人をなりたるが中にも、国久・国孝両人が合同       して絵がける扇面絵の如きハ扇一面に人物五十乃至五百を列ねしものにして、頻りに欧米人の賞       賛を受け、今尚其遺物の花鳥絵行はるゝも、前者に比すれバ其出来雲泥の相違なりとて、海外の       商売する者ハ太(いた)く夫(か)の両人を尊び居れる由〟      〈浮世絵師の画業は、観賞用の役者絵・美人画・風景画といった華やかな領域にとどまらず、大人や子供の視覚に多       彩な彩りを添える宣伝や情報用の挿絵、そして遊具や生活必需品に対する絵付など、市民の日常奥深くしかも多岐       にわたっていた。明治二十五年頃はというと、あれほど盛んだった合巻などの版本製作も皆無になり、浮世絵師の       仕事領域は次第に減少の一途をたどっていたが、こうした量産型の画業面では、まだまだ浮世絵師に対する需要は       旺盛だった。それが明治三十年代にはいり、写真製版など西洋伝来の印刷コストが下がり始めるや、これらの世界       の需要も機械にとって代わられることになっていく〉      ※ 参考資料
     浮世絵品目
 斎藤月岑著(『増補浮世絵類考』所収)      〈斎藤月岑(江戸の町名主・考証家)の分類〉
     曲画(作画の様子を見せるパフォーマンス・北斎の大達磨)