浮世絵文献資料館
翻刻 『浮世絵類考』〔神宮文庫本〕
底本 …『浮世絵類考』〔神宮文庫本〕(近藤正斎写本) 『総校日本浮世絵類考』(由良哲次著・昭和54年刊) 「諸写本*図版」所収 (参照本)『浮世絵類考 論究』(北小路健著・昭和46年) 『萌春』200・201号所収
『浮世絵類考』〔昭和十三年序・大曲駒村校訂(奈河本助写本)〕 『ワラビヨフ浮世絵コレクション』展カタログ上に再翻刻 (日本浮世絵博物館館長酒井雁高監修・平成10年刊)以下「大曲本」と称す。『浮世絵類考』 は以下の三部からなる。 ◯『浮世絵類考』 大田南畝撰 。寛政七年~同十二年五月以前に成立。(『大田南畝全集』は『浮世絵考証』と表記) ◯『古今大和絵浮世絵始系』 笹屋邦教編 。寛政十二年五月晦日、大田南畝、これを写して『浮世絵類考』に補綴。 ◯『浮世絵類考追考』 山東京伝考証 。享和二年十月成立。文政元年六月晦日、大田南畝、これを補綴して一本とする。
本稿では以上の『浮世絵類考』 に「式亭三馬の按記」 を収録した。「式亭三馬の按記」 はカタカナ表記の古態を留める「大曲本」に拠り、『総校日本浮世絵類考』が底本とする 斎藤月岑の『増補浮世絵類考』「ケンブリッジ本」(天保十五年写)を参照した。三馬の按記は文政元年から文 政四年の間と考えられる。(『浮世絵類考』の「春潮」及び『古今大和絵浮世絵始系』の「柳文朝」の三馬按記 参照)本稿では「三馬按」 と表記した。なお「大曲本」になく「ケンブリッジ本」にある按記には二通りあり、(以下「ケンブリッジ本」) と表記して挿入したものと、本稿最後に〈以下、由良哲次『総校日本浮世絵類考』 が挙げる式亭三馬の書入れ及び按記〕〉 として一括したものとがある。〔追記〕本文中、岩佐又兵衛の記事は藤井貞幹の『好古日録』の項目「岩佐又兵衛」をそのまま引用したものだが、その『好古日 録』の出版が寛政九年四月であること。北斎が寛政九年まで名乗ったとされる「春朗」と、寛政六年末あるいは七年から名乗る という宗理の記載はあるが、寛政九年以降の号とされる北斎名自体はないので、南畝の「浮世絵考証」は寛政九年(1797年)頃に なったものと考えられる(2021年追記)
本稿のデータはTopの「浮世絵師総覧」 の中に、それぞれの絵師ごとに収録されている。
Top 翻刻 『浮世絵類考』