Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ しゅんちょう きっさどう 吉左堂 俊朝(勝川春潮)浮世絵師名一覧
〔生没年未詳 一説に文政7年(1824)没〕
〈没年については明治26年の『古今博識一覧』という番付を参照した〉
 ☆ 文政四年(1821)     ◯『浮世絵類考』(式亭三馬按記・文政元年~四年)    (本ホームページ・Top「浮世絵類考」の項参照)   〝三馬按、春潮浮世絵ヲ廃シテ後、俊朝ト改ム。吉左堂ト号ス。文政四年ノ今尚存ス。長寿ノ人ナリ。伝    ハ別ニ記ス。俗称吉左衛門〟    ☆ 没後資料    ◯『無名翁随筆』〔燕石〕③296(池田義信(渓斎英泉)著・天保四年成立)   〝春潮【明和、安永、天明、寛政、享和、文化、文政年人】俗称吉左衛門、後俊朝と改、号吉左堂    鳥居清長の筆意をよく贋たり、錦絵また草双紙に多し 類考     三馬云、春潮浮世絵を廃して俊潮と改む、吉左堂と号す、文政四年、今尚存す、長寿の人也、伝は別 記に録す〟    ◯『増補浮世絵類考』(ケンブリッジ本)(斎藤月岑編・天保十五年(1844)序)   (「春潮」の項)   〝〈勝川〉春潮、〔明和〕〈安永の〉頃より寛政中の人     俗称 吉左衛門、居(空白)後、俊朝と改、号 吉左堂 中林〔斎〕〈舎〉    〈春章の門人なれど〉鳥居清長の筆意をよく贋たり。錦絵又草双紙に多し(類考)     三馬云、春潮、浮世絵を廃して俊潮と改む。吉左堂と号す。文政四年辛巳今尚存す。長寿の人也、伝     別記に録す。    ◯『古画備考』三十一「浮世絵師伝」(朝岡興禎編・嘉永三年四月十七日起筆)   ◇中p1401   〝吉左堂春潮 安永中、後俊朝ト改ム〟     ◇中p1408
   「宮川長春系譜」春潮 鳥居清長の筆意をよく贋せたり、錦画又草双紙多し【浮世絵類考】    (補)後浮世絵を廃し、名を俊朝と改む、号を吉左堂と云    (補)[署名]「東紫園春潮」[印章]「刻字未詳」(朱文丸印)〟    ◯『新増補浮世絵類考』〔大成Ⅱ〕⑪204(竜田舎秋錦編・慶応四年成立)   〝春潮    安永の頃より寛政の頃の人、俗称吉左衛門、鳥居清長の筆意をよく贋たり。錦絵又草双紙に多し。後浮    世絵を廃して名を俊朝と改む。号を吉左堂と云。役者絵もあれば春章門人歟〟  ◯『扶桑画人伝』巻之四 古筆了仲編 阪昌員・明治十七年(1884)八月刊   (国立国会図書館デジタルコレクション)   〝春湖    吉左堂、名ハ春潮、後チ俊朝ト改ム、通称吉左衛門ト云フ。初メ鳥居清長ノ筆意ニ似タル錦絵ヲ画ク、    又草双紙等モアリ。後チ浮世絵ヲ廃止ス。文政年中ノ人、長寿セシナリ〟    ◯『近古浮世絵師小伝便覧』(谷口正太郎著・明治二十二年(1889)刊)   〝安永 吉左堂俊朝 通称吉左衞門、初め春朝と称す、画風春信に似たり〟    ◯『浮世絵師便覧』p235(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)   〝春潮(テウ)    勝川春章門人、東紫園、中林舎と号す、俗称吉左衛門、文化年間浮世絵を廃し、名を俊朝と改め、吉左    堂といふ、◯安永、寛政〟  ◯『古今博識一覧』番付 大坂 自択散人編 赤志忠七出版 明治二十六年十二月   (東京文化財研究所・明治大正期書画家番付データベース)〈本HP「浮世絵事典・う・浮世絵師番付」参照〉   〝流行浮世絵師    文政七年 東都 吉左堂春潮 七十一年〟〈文政七年は没年。ただその根拠は明らかではない〉    ◯『浮世絵師伝』p95(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)   〝春潮    【生】  【歿】  【画系】春章門人  【作画期】安永~寛政    勝川を称す、俗称吉左衛門、雄芝堂・紫園・東紫園・中林舎・三江等の別号あり、役者絵には殆ど筆を    染めざりしことは、例へば口絵第三十八図の如く役者は春英、美人は春潮の筆に合作せるを見ても知る    べし。美人画に於ては特に傑出せる作品尠からず、「浮世絵板画傑作集」の第十集柱絵の内、及び十一    輯の内、美人行歩の図等天明より寛政初期までの作は清長と対立し得る程度の作なり。又黄表紙、絵本    などをも画きたり、其の最も早き時期のものとしては、安永六年版の黄表紙『敵討七色唐辛子』あり、    絵本中の傑作には『絵本栄家種』二册(寛政二年版)あり、最後に寛政十年版の落款本『無事志有意』    の挿画を描きしが、錦絵の作は、それ以前に跡を絶ちしものの如し。初め馬喰町に住し、中頃日本橋大    工町に移り、文化年間に至りて瀬戸物町に転ず、其の頃よりして窪俊満の門に入り、号を吉左堂俊潮    (或は朝)と改め、専ら狂歌狂文の作を事とせり、而して、彼が文政頃まで生存せしことは、写本『浮    世絵類考』に式亭三馬の書入れせし文中に「文政四年今猶存す長寿の人なり」とあるを以て証とすべし。